星の子
復帰1発目!出来は………目を瞑ってください!!
頑張りますので!!
「よし、じゃあしっかり聞かせてもらおうか?」
「うん、少し長くなるかもしれないけど……」
フレイと俺は、外だと寒いってわけで、この時間にまだやってる飲食店に入った。
この街は、星空が有名なこともあり、この時間帯でも案外繁盛していた。
それに噂だと、お偉いさんがなんかの取引をやってるとかなんとか………
「じゃあ、話すね」
「あぁ、あ!その前に少しいいか?」
「え、いいけど、どうしたの?」
俺は店員に頼んである飲み物を取って来た。
眠気を吹き飛ばす例の飲み物である。
「飲んどけ、目、据わってるぞー」
「え!嘘!」
フレイはかぁーっと顔を赤くさせ、反対を向いてしまった。そんなに恥ずかしいだろうか?
まぁ可愛ければよかろうなのだ!
可愛いは正義、だよなぁ!お前ら!!!!
「ごめん!もう大丈夫……」
「おぉ、じゃあ今度こそ……」
「うん、話すよ、ボクとねぇちゃんに何があったのか」
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聖神国家、ルシャーナ
そこで、フレイとリエルは生まれた。
二人の親は国随一の騎士と魔女だった。
この国には冒険者という存在はあまり定着しておらず。また、貿易を嫌って来たため、長年謎の国として知られて来た。
「フレイ、リエル、貴方達はいずれ、この国の盾にそして最強の矛になりなさい」
一人の女性が、二人の子供に語りかける。
二人の母親である。彼女の名前はフィエル、この国最強の魔女である。
「そうだな、二人とも期待してるぞ!」
一人の男性もまた、子供達に話しかける。
この二人の父親である。彼の名前はレイーリ、この国最強の騎士である。
「「うん!私、ボク、頑張るよ!!」」
この時、フレイは12歳、リエルは14歳である。
事件は、三年後に起きる。
国に、ある呪詛師が侵入し、禁忌を犯した。
この呪詛師は、元々ルシャーナの魔導師であったが。
犯罪を犯し、追放された。
動機は、国への恨み。
街に降り注ぐ火の雨、そして
街の人々を次々に喰らっていく怪物………
呪詛師が禁忌を犯した結果、呪詛師を媒体にした怪物が生まれた。おそらく、呪詛師の狙いはこれだろう。
「リエル、フレイ、ここなら安心よ」
「お母さん、お父さんは?………」
「……あの怪物を、止めに行ったの。お母さんも、行かなきゃ。愛しているわ、二人とも」
フィエルは二人の額にキスをして、レイーリの元へ行くと言い出した。当然、二人の子供はそれを良しとしない。
「嫌だよ!!なんでお母さん達がやらなきゃいけないの!?なんで、な……んで……」
「行かないでよ!お母さん!」
フィエルはこの上なく優しく、そして悲しそうな顔をして………
「ごめんね……でもこれが、私たちに与えられた使命……二人共、強く……生きてね」
フィエルは涙を流しながら、二人の子供から手を離して去っていった。
その後、2人の最強の戦士は、国に伝わる秘奥義を発動させた。
リエルとフレイは直接見てはいないが、その秘奥義の発動はすぐに分かった。
それと同時に、もう二度と両親に会えないことを悟った。
秘奥義「天神降臨」
それは文字通り、自らの体に神を宿す。
ただし、発動は一度きり。生贄となった体は、一定時間で消滅する。
「………2人には、お別れ言ってきたのか?」
「……貴方こそ、良かったの?もう会えないのに」
「あぁ、あの二人なら、大丈夫だ。なんたって、俺たちの子供だからな……」
「そうね、あの子達なら……きっと……」
それが二人の最後の言葉
「「天神降臨」」
空が光に包まれる。二人の体を光り輝く光の柱が包み込む。より長い間神を顕現させるため、二人分の命を差し出した。
神が、降り立った。
「「我が名はミラエル、天界を統べるものである」」
その声を、当然二人は聞いていた。
「おねぇちゃん、あれが……お父さんとお母さん、なの?」
「……ううん、もう、二人はいないのよ……」
怪物の咆哮が鳴り響く
「グルルァァァアァアア」
「目障りだ、この体の限界もすぐ来るだろう。貴様はここで消えろ」
ミラエルの手から閃光が放たれた、その威力は、レイーリが傷一つつけられなかった怪物の腕を吹き飛ばすほどだった。
「ギシャァァァァァァア!!」
怪物の口からも、赤黒いブレスが放たれた。
だが……………
「そんなものか、笑止」
神には無意味
だが、突如として変化が起こった。
「フレイ……あなた……目が……」
「おねぇちゃんも……光って……」
二人の体を赤い光が包んだ。
怪物に表情はないと思うが、この時は怪物が笑った気がした。
「「あれは……まさか……!」」
ミラエルが初めて慌てた表情を見せた。
それが、この現象がどれだけまずいことかを物語っていた。
「「感謝しよう、ミラエル」」
「「!!!」」
ミラエルとは違う、神々しいような、禍々しいような声。
それは怪物から聞こえてきた。
「「貴様とあの子供、いや、貴様の器となった体とあの子供の繋がりが見えたからな。貴様の器になり得るカラダの子供だ、もしかしたらと思ったが……我の器となり得るとは」」
怪物が徐々に形を失っていく。中から現れたのは……
黒い、ただ黒い人型の何かだった。
「「お前が、魂の器を見つけるとは、誤算だった」」
「「まだ未完成だ、器も、我の魂も、まだ完全に定着しきっていないからな。それ相応の年月が必要だろう」」
ミラエルも、謎の怪物も、体が透けていく。
顕現時間の限界が来たらしい。
後には、チリ一つ残らない。
結果、国の8割が崩壊、死者は全国民の7割にも及んだ。
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「その後、ボクとねぇちゃんが光ったのを見た人がいたのと、怪物の言った器って言うのが僕たちなんじゃないか?という声が上がって、国にいられなくなったってわけ」
「なるほど………うん、なんとなくわかった、かな」
「なんでそんなに曖昧なの………」
いや、分かったことはあったって!
ただ、気になることがある。
「フレイの目ってゆうのは?」
「……これ」
正面を向いたフレイの目には、不思議な紋章が刻まれていた。
「この紋章は?」
「これは、今話した怪物を呼び出す禁術に使う魔法陣と同じものなの」
「え、てことは………」
つまりそれは、フレイが術発動の土台ということを意味した。
「そう、禁術を発動させた呪詛師は自分の体を生贄にした。でも、一人の体じゃ不完全な怪物しか生まれなかった」
「お前ら二人を器にすることで、完全な形になるってことか……」
「多分……」
なるほどなー、さっきからなるほどしか言ってないけど……
じゃあクロエルは何者なんだ?あいつどこから来て何しに来た?考えることは山ほどある。
でも、一つ言えることがある。
「フレイ、お前ら姉妹の事情はわかった」
「……うん」
「俺たちのするべきことも分かった」
「…………うん」
なんか不安そうな顔してるけど、別に今から俺がいう言葉は不安になる必要のないものだ。
「お前とリエルに掛けられたその呪いを解くぞ!」
「え?!」
「何驚いてんだよ、そうゆう流れだったでしょうよ」
「いや、てっきりもう一緒にいられないとか言われるかなと思って……」
また典型的なセリフ持ってきたなー。そして、その典型的なセリフに帰す言葉ももう決まってる。
「馬鹿かお前、ここまで話聞いといてはいさよならとはならないだろ?むしろ、仲間のために立ち上がる!ていうのがお約束じゃね?」
フレイは呆れたかのような、安心したかのような、よく分からない表情をした。
それも王道だなー
これからやるべきことは多い、まずは仲間たちにこのことを話す。そしてこの国を出て、情報を集めよう。
働きたくないと常日頃から思ってる俺としては、この時点でキツイなーと思っているが。可愛い姉妹の為である。
痛くも痒くも無いぜ!へっ!
ここから始まるのは、神対人の戦い。
自堕落な生活と冒険をしてきた一人の冒険者が、英雄並みの功績を立てる物語である。
ありがとうございました!受験シーズンなのでさらに投稿頻度が落ちるかも……ごめんなさい!!