即死王、街ではなく遺跡に辿り着く
建物が見える!ようやく人里についたのか!私は人との会話がしたい一心で全力ダッシュした。
しかしたどり着いたのは人里ではなく遺跡だった。
「これ…遺跡だよな?」
恐らくなんらかの研究をしていたところなのだろう。地下に続く階段があるが地下なのは光による物質の変質を恐れたか、世に出せない研究でもしてたのか。
そんな事を考えていたら急に雨が降り出した。
「食べ物も暖を取れる手段もない中で濡れるのは危ない、日も落ちてきたし遺跡の中で雨宿りでもしよう。」
こうして私は遺跡の中に足を踏み入れた。遺跡の中は神殿と研究室が合わさった感じの内装で今も何かしらの機能が生きているのか私が入った瞬間に明るくなった。少し、びっくりした。
「よし、少し探検をしてみようかな。」
まずはこの場所の壁を調べてみる。未知の文字で書かれたものがびっしり書いてあるがこの世界に来るときにもらったスキル【言語理解】のおかげかスラスラと読める。内容は要約するとこうだ。
《遥か昔に魔王と呼ばれる存在がいたらしい。その存在は恐らく強く厄災をもたらすものとして人間が全てをかけて封印したらしいのだ。俺は俺を追放した帝国とこの世界を恨んでいる。死際にこの魔王とやらの封印を解いてやろうと思った。12年の研究の末にようやくこの場所に魔王が封印されていると分かった。まっていろクソ帝国、俺がこの世界ごと引導を渡してやるよ。 帝国滅ぼしたら何しようかな!ハーレムとか作っちゃう?アハハ! グリムス•カーン》
なんかヤバイ奴の研究所だったらしい。と言うか魔王?シリスさん封印されてるって言ってたけど封印解けてるのか?いや、この研究者は魔王の封印を解けなかった可能性の方が高いな。もしそんな存在が解放されているなら神のシリスさんが気づかない筈がないし、あの時今はもう忘れ去られてるって言ってたからね。
問題はこの場所の奥に恐らく封印されている魔王がいる事だろう。とりあえずどんなものか見に行ってみよう。
奥へ伸びる廊下を進み、階段を更に降りると大きい神聖さを感じる門があった。その門開けて先に進むと広い空間に出た。中心には祭壇の様な物がありその祭壇を6個の石板が守る様に規則的に並んでいた。何やら魔法陣の様な物が構成されている。
近づいて見ようと足を陣内に踏み入れようとした瞬間見えない壁に阻まれた。そして何が閉ざされる様な重い開閉音が響いた。
「封印されているものを守るのは当たり前だよね…」
音の響いた場所は私が入ってきた門だった。つまり閉じ込められたのだ。普通守るなら追い出すか殺すと思うんだけど閉じ込めるんですね……。一応門を開けようとしてみたが完全に閉じてしまっている。
ここら出る方法考えないとまずいな。私はスキル【不撓不屈】があるから死なないけど、このままじゃ餓死の無限ループに陥ってしまう。
とりあえず、周りにあるもの無差別に鑑定してみよう。
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『終焉の門』逆側は『誕生の門』この2つは対となっていて誕生の門は全てを招き入れ、終焉の門は役目を終えるまで永遠に開かない。
『封印の台座』魔王が封印された台座。常に『流星』に守られている。
『流星』全部で7個の石版。自由自在に動き回り『封印の台座』を守る。魔王封印の際裏切り者に一個破壊された。
『グリムス•カーンの亡骸』全てを恨み魔王の封印を解こうとした復讐者の亡骸。死因は餓死のようだ。
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グリムス•カーン死んでんじゃん!怖いわ!ミイラじゃん!と言うかやっぱり封印解けてなかったんだね。良かった……。
あそこを飛び回ってる石版は『流星』って言うのか。元々は7個あったらしい。
うん、調べてみても抜け方がわからない!
どう此処から出るか悩んでいたらシリスさんからメールのお返しが来た。
『神狩さんへ 早速メールを使っていただけましたね。名乗りの件は気にしていないので大丈夫ですよ。ステータスの方に新しくストレージを追加させて頂きました。ストレージは念じるだけで使用出来ます。アイテム引き継ぎが遅れてしまい申し訳ございません。神狩さんに幸ある事を祈ります。』
良かった〜名乗りの件は許して貰えるらしい。アイテム引き継ぎはなかったからそう言うものだと思ってたんだけど私の所持品が特殊すぎてまんま引き継ぐのに遅れが生じていただけなのか。シリスさん、ご迷惑をお掛けしました。……すみません、変なものばかり持ってて。
一応中身を軽く目につくものからちょっとみてみよう。
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『王の器』第44回世界対戦イベントの覇者に贈られたもの。所持者はプレイスタイルに応じた特殊な職業を付与される。他人への譲渡不可。破壊不能属性
『花鈴刀』春イベント〈温もりを求めて〉の成績一位の者に贈られた。この刀で斬られたモノはそれがなんであろうと花が咲き誇る。装備中に限り武器スキル【乱れ咲】が使える様になる。
『恋する乙女の料理セット』第4回料理イベント〈女子力の目覚め〉の準優勝者に贈られたもの。様々な調味料が入っており煮る焼く蒸すが一通り出来る器具がある。
『一級錬成師の指輪』錬金術検定一級保持者に贈られる指輪。着けているだけで錬成台の代わりになる。
※ロック中『宇宙戦艦デスカラミティ』製作者 即死王(神狩佑) 趣味全開でコストを気にせず作り上げられたもの。全長は東京ドーム2個分。中の居住スペースは平均的な一軒家10軒分。また自動修復機能があり半壊しても5時間で修復可能。主砲スターダストデストロイは進行方向にあるもの全てを塵すら残さず消滅させる。副砲のドラゴンフレアは太陽のプロミネンスと同等の火力から核弾頭一個分の火力の間まで火力調整できる。
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うん思い出の品々がしっかりあるね。こうしてみるとよくこんなの引き継げたな。一番ヤバイのは宇宙戦艦デスカラミティ…良くこれ引き継ぎ許可降りたね?デカすぎるし目立ちすぎるし世界終了クラスの主砲とかどこで使うんだよ…。いやはや厨二病とは恐ろしいものだな。ロックが掛かっているみたいだけど外れる条件はなんだろう?
まぁ、今の状況でお手頃に使えるのは『花鈴刀』かな?恐らく花鈴刀の力ならこの壁や門を切り裂いて突破することができるはずだ。さっそく取り出そう。
ストレージ!と頭の中で念じてみたら温かな春を感じさせる様な優しい光と共に花鈴刀が現れた。刀は男のロマン、スキルなんて無くてもある程度扱えるのさ!※良い子は真似しないでね
そうして私は見えない壁に向かって全力かつ滑らかに斬り込んだ。
「【乱れ咲】!」
その一太刀で見えない壁は切れ、門も壊れ、封印も大破し、地上の研究所ごと地下空間が吹き飛び、辺り一面が見事な花畑に変わった。
「…………。」
あっ、封印壊しちゃった。
ヤバイ凄くまずいことになった。なんか周りに黒い魔力的な力が乱舞し始めてるんですけど!これ絶対復活するよね?魔王。黒い霧の様なものが渦巻いている。
「くっ…仕方ない覚悟を決めて戦うしか無いか。」
そう刀を構え直した時、一つの影が封印の台座があったところから出てきた。
黒い霧が晴れ姿を現したのは幼げな少女であった。
すみません、主人公はまだまだ人に会えないらしいです。次回は確定で会話シーンなのでご期待ください!
そうえば周りを調べた意味無くなってますね…少し主人公のレベルが高すぎたかな?
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