謝罪の理由と異世界へ
あの…どうして謝られるので?」
「実はですね…貴方は死んで此処に来たと仰りましたよね?」
「はい、てっきり死んで此処にいるのだと思ってましたけど違うんですか?」
「死んだ事は間違いないのですが、本来貴方は死ぬ筈ではなかったのです。」
えっ…死ぬ筈じゃあなかった?
いやまぁ、私もゲームやってて死んだとかはないなぁ〜とは思ってましたけどね⁉︎
一年間放置プレイで忘れてだけど普通におかしいよね?
「すみません、私がミスチェの悪戯に気づかなかったばっかりに…」
「えっと…ミスチェさんとは?」
「私の部下で悪戯好きの天使です。今の今まで気づかず本当に申し訳ありません…」
「天使にもそういう人が居るんですね…」
理屈はわからないが、恐らくあの日ゲーム内のダメージが私に反映されたのはそのミスチェと言う天使の仕業なのだろう…
「本当にすみません…」
「えっとじゃあ私の扱いはどうなるんですかね?」
そう本来なら死ぬ筈では無かったのなら蘇りとかあったりするのだろうか?
それとも普通に天国とか地獄に通されるのかな?
「本来なら生きている筈の人間ですので直ぐに記憶を消して現世にお帰りいただけるのですが…」
「もう既に1年以上狭間に消滅せずにいた為、魂が環境に適応し亜神になりかけていらっしゃるので元の世界にお戻しする事が出来ないのです…」
「なので、貴方様には天国でゆっくり暮らすか、元の世界とは別の高位世界に転移して蘇生すると言う対応が取られます。」
「どちらをお望みになりますか?」
そうか、もう蘇れないのか…少し寂しいな。ゲーム仲間達の顔を思い出すと少し涙が出そうになってくる。
だが、落ち込んでいても仕方ない。とりあえず目の前の選択に取り組もう。
「天国とはどの様な場所なのですか?」
とりあえず何も分からないので質問していこう。
「天国は何もない空間でただゆっくりぼーっと過ごすだけの場所ですね、普通死後には薄くしか自我が無いので善人はそこに送られます。」
こんなにガッツリ自我があるのにそんなとこに居たら狂ってしまうから無いな〜。
高位世界の方も聞いてみよう、少し心踊るが地獄の様な場所であるなら嫌でも天国一択だ。
「では高位世界とはどの様な場所ですか?」
「高位世界は貴方様にわかりやすく言うと魔法などや魔物と言った生物が存在する中世ヨーロッパ風の世界です。」
「衛生管理などのレベルが低くなりがちですが魔道具と言うものが普及しておりそちらを使う事で生活レベルを上げる事ができます。」
なんとなくわかった、要するに良くある異世界と言うやつだろう、だが問題は平和かどうかだ。
魔王とか邪神みたいな存在に脅かされてる世界とかだったら拒否させてもらおう。
「あの…その世界に魔王とか邪神みたいなやばい存在とか居ますかね?」
「はい、魔王と言う存在はいますが現在は封印が施され人々から忘れ去られる程平和なので安心してくださいね。ちなみに邪神は居ません。」
あっ…居たんだ魔王…けど今は平和なのか、でもでもまだ国家間の争いとかあるかもしれないからそれも聞いておこう。
「国家同士の争いとかありますか?」
「今はありませんね、それぞれの国のバランスが取れていてよっぽどの事が起こらない限り戦争などに発展する事はないでしょう。」
う〜ん…それくらいなら日本と同じくらいかなぁ
「わかりました、いろいろ説明をしていただいてすみません…」
よし、決めたぞ!
「高位世界での転移蘇生でお願いします。」
「はい、わかりました」
「すみません…私の監督ミスでこんなことになってしまい…」
「いえいえ、気にしないでくださいミスは誰にでもあるものですし」
そもそもミスチェと言う天使が悪いのだ、シリスさんを責めるのはお門違いだろう。
「それでは高位世界で貴方様を蘇生させます。此方の不手際で高位世界に行ってもらう事になったので何か特典をつけますが何か欲しいモノはありますか?」
遂に異世界に行くのか…何か欲しいモノあったかな…あっアレを貰おう!
「言語知識と鑑定能力をください!」
「言語知識と鑑定能力は元々つけようとしていたものなので他に欲しいモノを選べますよ。」
なんと!そこら辺優しいのか…
ふむ…どうしようかな…何か欲しいモノ欲しいモノ…
あっゲームのステータスを上乗せして貰う事って出来るかな。
そう良くあるやつである。
「私のやっていた〈Second Life online〉と言うゲームのステータスを上乗せして頂く事ってできますかね?」
「出来ますよ、ですがゲームの再現となるのと高位世界に合わせた形になるので少し違う能力になってしまう事があるかもしれませんがよろしいですか?」
「大丈夫です!」
少し変わったとしても慣れている技やスキルが使えるのは嬉しい、というか固有スキル【不撓不屈】は多少変わったとしても未知の場所に行く上で良い保険になるだろう。
「それでは高位世界への転移蘇生を開始します。」
そう、シリスさんが言った途端に光の門が現れた。
「其方の門をくぐっていただければ転移蘇生が始まります。」
「高位世界へ行って何か困った事があればすぐ連絡出来るようにメール機能もつけて置きますので御安心してお進みください。」
優しい!シリスさん凄く優しい!
「ありがとうございますシリスさん!」
「それでは、行ってきますね!」
「はい、行ってらっしゃいませ。」
「寂しい時にもメール機能を使って良いですからね!」
シリスさん…最後にそんな事言われたらくぐりたくなくなっちゃうよ…でも迷惑かけられないから進もう!ビバ!異世界!
こうして私は光の門をくぐり異世界に旅立った。
シリスさんとは今回でお別れですが、まだまだ出番を用意する予定なので、ご安心下ください。
最後に投稿頻度が低い作者の作品を見てくれてありがとう!
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