即死王、冒険者になる?
おぉ、ここが冒険者ギルドか…。酒場としても使ってようで賑やかな声が聞こえてくる。
「じゃあ入るよ、リア。」
「うん。」
扉を開けたら、"カランコロン"と鈴が鳴る。
酒場が少し静かになった、そして集まる視線……だが直ぐに興味を失ったのか、また元のように騒ぎ出した。
ちょっと、緊張したがテンプレの様に絡まれることはないらしい。
少し残念だが私はテンプレ的なチート能力は持っていない(変態的なプレイスタイルの賜物は持っている)のでありがたい。
早速冒険者登録をしたいのだが、肝心の受付の場所がわからない。
私の思い描く冒険者ギルドは受付が限られていたが、ここは幾つかの受付があり、それぞれ役割が違うようだ。
何処の受付が正解なのか迷っていると丁度近くを職員らしき人が通りかかった。
私は銀髪と眼鏡がキリっと決まった職員らしき人に聞いてみることにした。
「すみません、冒険者登録は何処でして貰えますか?」
「冒険者登録でしたら。あちら右奥の受付ですよ。」
ここから見ると右奥の受付は人が居ない、だがあそこが正解らしいので向かってみよう。
「わかりました。ありがとうございます。」
出来る女オーラを醸し出す銀髪眼鏡さんの指示に従い受付に行く。
そして、たどり着いた受付には銀髪と眼鏡がキリっと決まった職員がいた。
ん?
いや、さっきまで誰も居なかったよね!?
いつの間にか誰も居なかった筈の場所に銀髪眼鏡さんがいるんですが。
銀髪眼鏡さんって増殖するの?倒れても第二、第三の銀髪眼鏡さんが現れてくる感じなの?
ちょっと目の前で起きたことに驚いて固まっていると、銀髪眼鏡さんに話しかけられた。
「冒険者登録の方ですよね?」
「はい」
うん、普通に話してるけどすっごく聞きたいことがあるんだけど。受付嬢って増えるの?増殖するの?ねぇねぇねぇ!いや、落ち着け俺、俺のそばにはリアが居る、リアの前で醜態を晒すわけにはいかない。案外受付嬢は増えるのが当たり前なのかもしれないしね!
ね!……。
「……つかぬことをお聞きしますが受付嬢って増えたりし「増えません。」」
「で、ですよねー」
言い終わる前に否定されてしまった。いや、初対面の人に『あなた、増えますか?』 なんて言ったら失礼だよね!いや失礼か?うん失礼だね!
「あの、冒険者登録の説明をさていただいても宜しいでしょうか?」
「はい、すみません変な事聞いて」
くっ、受付嬢さんになんか残念なものを見るような目で見られている。
「では、まず冒険者ギルドとは何か?と言ったところからお話しさせて貰いますね。冒険者ギルドとはその名の通り冒険者を支援、管理する組織の事です。また、クエストの斡旋もすることがあります。」
「クエストはどこで受ければいいですか?」
「クエストはギルドが直接頼む事もありますが、基本的には掲示板に貼ってある依頼を早い者勝ちです。」
なるほど、つまるところ異世界版ハローワークって事か。依頼は基本的に早い者勝ちらしいけど。
「では、冒険者登録の為に犯罪歴やステータスをチェックさせて頂きますね。」
「あの、リアも一緒にお願い出来ますか?」
「いいですよ、実力が伴わない依頼は受けさせられませんが登録だけなら可能です。こちらの石版に触れて貰わないといけないのですが届きますか?」
リアが頑張ってプルプルしている。うん頑張る姿も可愛いね!
「届かない…にぃ、持ち上げて。」
一生懸命手を伸ばして手が届かないリア…可愛い。
さっそく持ち上げてあげよう。
「ほい、このくらいでいいね?」
「にぃ、ありがとう。」
リアが石版に手を置いた瞬間、ステータスが表示された。
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職業 魔王
筋力 B
魔力 B
体力 A
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「A判定があってB判定が2つですか。しかも職業に王が付く冠シリーズの職業……。」
受付嬢さんが固まっておられる。うちの子凄いだろ。
「…おかしいところあった?」
「何も可笑しくないよ、リアが凄いから受付嬢さんが驚いてるみたい」
「リア、すごい?」
「うん、ちょー凄い」
褒められて照れるリアも可愛いものですなぁ。リアと戯れあっていたら、銀髪眼鏡さんが放心状態から帰って来たようだ。
「少々取り乱してしまい申し訳ございません。次の方も石版に触れて貰っても良いでしょうか?」
「はい」
石版に触れたらリアと同じようにステータスが表示された。これぞ異世界って感じだよね!
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職業 即死王
筋力 C
魔力 B
体力 D
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「B判定一つとCとDですか…。しかもまた冠シリーズ……。いえ、いいんです私はもう驚きません」
銀髪眼鏡さんが悟ったような表情をなされている。
そうえば冠シリーズ。そうえば死ぬ前にやってた〈SecondLifeonline〉でもそんな区切りがあったな。
まぁ、あまり気にしてなかったから覚えてないけど。
「と、取り敢えずギルド登録おめでとうございます!こちらギルドカードとなっております。街の滞在許可証がわりにもなりますので絶対に無くさないでくださいね。再発行には小金貨3枚掛かりますから。」
なるほど、紛失したカードを使えなくする手続きとかがあるのかな。単純に罰金の可能性もあるけど。
よし、目的も果たしたし今日は取り敢えずの拠点探しをしようかな。
「リア、宿を探しに行くよ。」
リアがコクンと頷く。
リアを連れてギルドを後にしようとしたら、1人の冒険者らしき人に道を阻まれた。
「待ちなさい!その子は私が保護するわ!」
へ?
「あなた方のステータスをさっき盗み見たけど、あなた人攫いでしょ。」
え?この冒険者はいきなりなにを言っているんだ。
「知らん顔しても無駄よ!ほらその子を痛い目に会う前に素直に明け渡しなさい。」
と言いながら、強引にリアの手を掴もうとしていたのでつい反射的にその手をはたき落としてしまった。
「誤解があるようですが私はリアの兄で保護者ですよ?」
「嘘の設定なんて私は聞いてないわ!」
ダメだ人の話を聞かないタイプだ。
しかもなんか武器を構え出した。
「あんたみたいに弱い奴がそんな才能のある子の兄な訳ないじゃない!!」
何を見たのかは知らないが、いくらネタパラといっても一応戦えると思うよ?
「にぃ…は……凄い強いよ。」
ありがとうリア、こんな状況で怖いだろうに。
「そのステータスで強いなんてあり得ません!こんな幼気な少女を洗脳するなんてクズの所業ね。」
さぁ、名前も知らない冒険者さんがヒステリックに叫び始めたぞ。危なそうだからささっとずらからせてもらおう。
「リア、ここから出るぞ。」
「うん。」
「なにを言ってるんですか?その子は私が保護すると言っているでしょう!」
炎弾が飛んできた。しかも保護とか言っていたリアまで巻き込んでいる。
私にはなす術がないので全て身体で受け止めた。
ぐぅ…あつ!熱いんですが!
出来るだけ穏便に済ませたかったんだけど。リアに危害を加えたのは頂けない。流石に切れる。
「貴方の様な炎弾程度も消す力もないクズが連れて良い存在じゃないんですよ、その子は!」
そうかい、
「大した力もない、ねぇ…。よろしい、ならば戦争だ!」
この冒険者はおそらく簡易ステータスでこちらの実力を決めつけているのだろう。なら実力を知らしめてやるだけだ。
「たかが、体力D判定のカスがBランク冒険者の私に歯向かうつもり?」
「見える物だけが全てじゃないと教えてやるよ。」
そう即答したら野次馬冒険者達が騒ぎ出した。
「あの新入りBランクの烈火のレカリ嬢に喧嘩売りやがったぞ!」
「ただのニーちゃんかと思ったけどおもしれぇじゃねぇか!」
「烈火と新顔どっち掛けるよ?」
「俺は当然烈火の嬢ちゃんに銀貨6枚よ!流石にあのレカリ嬢が弱いって言うステータスじゃ無理だろ。」
「んじゃ、俺は面白そうだから新顔に小金貨3枚だ!」
「おいおいマジかよお前嫁がいるのに勝手にそんなに出して良いのか?」
「良いんだよ!負けねぇから。」
「ガッハッハ!面白くなってきたなぁ!最近暇だったから良い暇つぶしになりそうだ!」
その場で戦う雰囲気になった所で、ギルド中央の扉からエルフ耳の女性が出てきた。
「さっきから何の騒ぎですか?」
「ハッ、ギルドマスター!」
「レカリさん、何の騒ぎか説明して貰えません?」
どうやらギルドマスターが出てきたらしい。
「この男が幼気な少女を洗脳していた為、少女を保護しようとしていたら邪魔をしてきたのです!」
清々しいほどハッキリ虚実報告しやがったこの冒険者!
「ほぅ、それは問題ですね。ですがちゃんと調べましたか?」
「い、いえ…。ですが!この男明らかに怪しいんです!きっと犯罪者に違いありません!」
まさかの犯罪者に昇格だよ?あと決めつけてた発言、ガッツリ言いやがりましたね!
「それで決めつけるのは冒険者としてどうかと思いますが?それにギルド登録の際に犯罪歴の確認もされている筈です。」
「くっ…。」
「先程体力D判定のカス、だなんて聞こえましたが、あくまで簡易ステータスである事を忘れないでくださいね?D判定でも化け物は沢山いますよ?」
何か先生に叱られる子供みたいだな。
お説教中の様だしリアを連れてさっさとずらかろうかな。
「そこの貴方。」
おっと、お呼ばれしてしまった様だ。出来れば早く宿を探したかったんだけどなぁ。
「なんですか?」
「うちの冒険者がご迷惑お掛けした様で申し訳ございません。お詫びとして、精密鑑定とお茶をご馳走させて頂くので少しお時間貰えませんか?」
この主人公意外と切れてるけど、リア関連じゃなかったら全力で逃げる子なんですよね。
幼女様パワーでメンタル面でも強くなってます。
リアちゃんを主人公に依存させ過ぎない様にするのは難しいですね。
説明枠
冠シリーズ 名称に王とつく職業のこと。基本的に強力なものが多く希少。その道を極めた者や、極める素質のある者が取得する。例外として、冠シリーズの所持者から継承する事も可能。その際その職業特有のステータス(拳王の場合筋力など)の100分の1を引き継ぐことができる。継承型と呼ばれ、馬鹿にされる事が多い(中には自分で昇華させる者もいる(拳王の場合魔拳王など))
ちなみに魔王は継承型で即死王が自力取得型である。
周囲の反応で名前が発覚した冒険者さんは主人公のことを魔力を引き継いだ継承型だと思ってたらしいですね。(リアの魔王は全能力引き継げます。当然100分の1になりますし、主人公に乗っ取り阻止されたので不完全ですが。)
簡易ステータスの目安
L 100000〜∞
S 10000〜99999
A 1000〜9999
B 100〜999
C 10〜99
D 1〜9
※Lからは測定不能扱い。ちなみにお花になった魔王(前代)はオールLでした。まさに伝説級の化け物ですね。
冒険者のランクと強さ※あくまで目安イレギュラーもいる。
S 最低でもオールA最高でオールS。(現在9人しか生存が確認されてない)
A最低でも平均B最高でオールA
B最低でも平均C最高でオールB
C最低でも平均D以上最高でオールC
D 最低でオールDそれしかない。
E ギルドに貢献してない場合ずっとこれ。強さは関係ない。
※ギルドの貢献度が良ければどんなステータスでもCまで行けます。(ステータスオールDでもドラゴンの巣などでの素材収集依頼実績を何回も残したなどすればAランクになるとかもある。※ただし採取限定)
※所有スキルなどでも左右されますのであくまで目安です。
使ったネタ 『よろしい、ならばクリークだ!』
平野耕太先生の漫画作品『HELLSING』の少佐が発した言葉




