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Cafe Shelly

Cafe Shelly 男だから、女だから

作者: 日向ひなた

 まだ残暑厳しい日曜の昼下がり。カップルが涼しいところで過ごすにはもってこいの状況。あちらこちらのカフェやレストランでは若いカップルが肩を並べて涼し気な表情で笑いながら会話を交わしている。

 ここカフェシェリーでも、二組のカップルが会話を繰り広げている。一組はまだ大学生のようだ。店の真ん中の丸テーブル席で本を広げて、仲むつまじくお互いの言葉に耳を傾けあっている。その光景は誰が見てもさわやかでほほえましい。

 問題はもう一組。窓際の半円型の席に陣取り、なにやら激しく会話をしている。いや、これは口論と言ったほうがいいかもしれない。男性の方は短髪で、いわゆるイケメンタイプ。ちょっと線が細く、最近の言葉で言えば草食系男子という言葉がピッタリ。出てくる言葉も

「いや、でもそれはね…」

と自己弁護的なものが耳につく。

 逆に女性の方は色黒で、髪を束ねて活発に言葉を発している。背はそれほど高くはないのだが、がっちりとした、という言葉がふさわしい。タンクトップから出ている二の腕がそれを語っている。出てくる言葉は、どちらかというと男性を責め立てるものが多い。

「だから、あなたは…」

というのが口癖になっているようだ。

 一見するとケンカをしているように見えるこの二人。だがよく見るとそうではない。これが二人のコミュニケーションのとり方、と言ってもいいだろう。その会話をもう少し観察してみよう。

「だからぁ、真司はもっと外に出て遊んだほうがいいんだって。遊ぶっていっても、仕事と違うからね。真司の遊ぶ、は子どもと追いかけっこしたりなわとびしたりすることになるから」

「いや、でもそれはね、ボクの仕事柄仕方ないじゃない。保育士をやってると、子どものことを優先して考えるクセがついちゃってるから。それに、アウトドア系の遊びって苦手なんだよね。家でパソコンいじっている方が性に合ってるし」

「だから、あなたはいつまでたってもヒョロヒョロなのよ。私みたいに、テニスをしたり海に行ったりしなきゃ」

「いや、でもそれはちょっと。さくらは体を動かすのが趣味みたいなものだから、それでいいだろうけど。そもそもガテン系の仕事でそれだけ体を動かしているんだから。たまの休日くらい体を休めたほうがいいんじゃないの?」

「だから、あなたはダメなのよ。体っていうのは、一旦動き始めたら止まらないのよ。下手に休めちゃうと、次の仕事の時に動かなくなるでしょ」

 保育士の真司も、とび職をやっているさくらもお互いに自論を譲らない。性格的にさくらの方が押している感もあるが、だからといって真司が完全にさくらに同調することはない。

 この二人がどうしてカップルなのか、はた目にはそこが理解出来ない。友人たちの間では、七不思議の一つとしてあげられているほどだ。この二人、カフェ・シェリーに来るのは今日が初めて。たまたま立ち寄った喫茶店がここだった。

 注文したのはシェリー・ブレンドではなく、真司は生搾りグレープフルーツジュース、さくらはアイスミルクティー。お互いに注文した品に時折口をつけながら口論を交わしている。しかし、さすがに会話を交わすのに疲れたようだ。

「ねぇ、ケーキでも食べない?」

 普通、こういうことを提案するのは女性の方なのだろう。が、これは真司の方から提案があった。

「えー、ケーキ? まぁ真司がそう言うなら」

 実は真司は大のスイーツ好き。それに対してさくらはスイーツよりお酒の方が好きという性格。周りからはオヤジと言われるほどだ。だがスイーツも嫌いではないらしい。

「じゃぁ、ブルーベリーチーズケーキね」

 さくらは好みがはっきりしている。それに対し、真司は優柔不断である。

「うわぁ、どれもおいしそう。ガトーショコラもいいし、こっちのタルトもフルーツたっぷりだし。迷うなぁ」

 そんな真司を見てさくらが言うセリフは決まっている。

「ほら、いつまでぐずぐずしてんのよ。男らしくさっさと決めなさい!」

 竹を割ったような性格のさくらから見ると、この真司の優柔不断さが許せない。だが真司もこのセリフをさんざん聞いているせいか、最近ではこう言い返すようになった。

「さくらも女らしく、もっとおしとやかにしなよ」

 そう言って、またメニューに目をやる真司。まるで対照的な、そして男女が入れ替わったような二人。ようやく食べるケーキを決めて注文。

「かしこまりました。マスター、ブルーベリーチーズケーキとフルーツタルトお願いします」

「はい、ブルーベリーチーズケーキとフルーツタルトですね」

 この店員のやりとりを見て、さくらはポツリとつぶやいた。

「なんかさ、息あってるよね」

 さくらは真司と会話を交わしながらも、さっきからチラチラと店員の様子をうかがっていた。カウンターにいるマスターに対し、店内を動いてお客さんの対応をする女性店員。それぞれのポジションにいながらも、二人のコンビネーションはなめらかである。さくらのそのつぶやきに、真司もこの言葉で同調した。

「そうだね。さくらとあんな家庭をつくりたいなぁ」

 ボソリと言ったこの言葉。今までの流れだったら、さくらはこう答えていただろう。

「なに言ってんのよ。あたしとあんたがそんなことできるわけないじゃない」

 だが、今のさくらは違っていた。

「真司…結婚しようか?」

「えっ!?」

「えっ、じゃないわよ。あんた今私にプロポーズしたでしょ。だからそれに応えてあげたのよ」

「ちょちょっ、そ、そんな簡単に応えちゃっていいものなの?」

「じゃぁさっきの言葉は、私とあんな家庭をつくりたいって言ったのは冗談なの?」

「冗談じゃないよ。本気でそう思ってるよ。そうじゃないと言わないよ」

「じゃぁ決定だね。真司、結婚しよう」

 真司はハニかんで言葉が出てこない。そんな真司を見て、またさくらはイライラを募らせた。

「ほら、男らしくさっさと返事をしてよ」

「わかった、わかったよ。はい、喜んでお受けいたします」

 完全に男女のセリフが逆転。けれどこの二人にとってはその状態が一番心地いい。この瞬間、真司とさくらの関係は恋人から婚約者へと前進した。

 ちょうどそのとき、店員が二人にケーキを持ってきた。

「お待たせしました。ブルーベリーチーズケーキとフルーツタルトです」

「わぁ、おいしそう。ね、真司、私たちのお祝いだね」

「うん」

 さくらの言葉に真司もにこにこ顔で応えた。

「お二人に何かいいことあったのですか?」

 店員が尋ねると、さくらが喜んで答えた。

「はい、今プロポーズされました」

「されたって、どっちかというとさくらのほうがプロポーズしてきたような気がするんだけど」

「いいの。だいたいプロポーズは男性からするものでしょ。真司がいつまで経ってもグズグズしてるからこうなったんでしょうが。だからあなたは…」

 またいつもの二人に戻っている。

「わぁ、それはおめでとうございます。この場所で夫婦誕生だなんて、お店としても光栄ですよ」

 店員は小さく拍手をして、喜びの表情を見せた。そしてすぐさまマスターに報告。マスターがあわててカウンターから出てきて、真司とさくらにお祝いの言葉を述べた。

「いやぁ、なんだかありがたいですね。私たちも心からお祝いします。おめでとうございます。そうだ、ひとつお祝いをさせてもらってもいいですか?」

 マスターはそう言って一度カウンターに戻り、何かを手にしてきた。

「こんなもので申し訳ありませんが」

 マスターが差し出したのはコーヒー無料券。

「よかったら次回お使いください。あ、ただし条件をつけさせていただきます。必ずお二人でおいでくださいね」

「わぁ、ありがとうございます。なんだか得しちゃった」

 さくらは遠慮無くそのコーヒー無料券を受け取った。

「なんだかすいません、私たちのためにこんなことしていただいて」

 真司は横で恐縮しっぱなし。

「じゃぁごゆっくり」

 マスターのおかげでさくらはニコニコ顔。真司はそんなさくらを見るのは好き。いや、そんなニコニコ顔のさくらに惚れたから、今があると言っても過言ではない。

 そもそも二人の出会いはこのさくらのニコニコ顔がきっかけであった。これはまださくらが職を探していた時のこと。二人がまだ知り合いでもなんでもなかったとき。たまたまバスに乗り合わせた二人。二人とも一人がけの席の前後に座っていた。車内が徐々に混みだす。そのとき、おばあさんが乗車。それを見てすかさず席を立ったのが真司とさくらであった。

「どうぞこちらに」

 この声がはもったのだ。思わず顔を見合わせる二人。そのときさくらが見せたニコニコ顔が真司にとってはとても印象的だった。

 結局おばあさんは真司のゆずった席に座った。その後、たまたま降りるバス停が一緒だった真司とさくら。このとき、初めて会話を交わした。

「さっきはどうも」

「いえ、こっちこそ。あなた、学生さん?」

 質問したのはさくらの方。

「ボクは保育士をやっています。今日は保育園が休みなので、図書館にでも行こうかと思って」

「あーそうなんだ。だったら私と行き先は一緒ね。といっても私の場合本を読みに来たんじゃなく、就職相談に来たんだけど」

 その図書館には若者の就職支援のコーナーがあり、職を探している人たちがよく姿をみせていたことを真司も知っていた。そこからなんとなく会話が始まった真司とさくら。真司はニコニコ顔で話をするさくらにどんどん惹かれていった。その日はお互いの用事が済んだあと、近くの喫茶店でお茶を飲む約束まで進んで、気がついたら連絡先の交換まで。それから頻繁に会うようになり、さらにさくらの就職を機に仲が一気に縮まった。

 お互いに性格は反対。しかも男女を逆にしたような関係。口げんかも多い、なのになぜか気が休まる。そんな付き合いを九ヶ月ほどして、ようやく今日のこの日を迎えた。

 だがこれは思いもしない苦労の幕開けでもあった。その日の夜、それは真司の家で始まった。


「えーっ、あの子と結婚するの!? ダメダメ、あんな男みたいな女の子。今まで黙って見てたけど、もっと女の子らしい人にしなさい。じゃないと、親戚に笑われるわ」

 さくらにプロポーズをしたことを両親に伝えた真司。そのときの母親の第一声がこれだった。

 二人がつきあっていることは承知している。だが、そのような目で見ていたとは今まで真司も気づいてはいなかった。

 真司の家はいわゆる本家筋にあたる。家も古くからの建物ではあるが、その作りは立派である。お盆や正月になると親戚が集まるようなところ。真司の父親は長男で、真司もいずれは家を継ぐ形になっている。そんな家だから、真司が保育士になる時も一悶着あった。

「もっと男らしい職業に就きなさい」

 両親からも、そして親戚からもさんざんそう言われてきた。が、男女雇用機会均等法のおかげで「男らしい職業」という概念を取り払わなければならないという新しい考え方を真司が得々と解説。真司の父親も会社役員をしているせいで、その考え方を受け入れざるを得なかった。だが結婚となると話は違う。

「あのさくらという子は、我が家の嫁としてやっていけるのか?」

 真司の父親は腕組みをして真司にそう問いかけた。

「そ、そんなの関係ないだろう。ボクはさくらが好きなんだ。好きだから結婚する。それのどこがいけないんだよ」

 真司は両親にそう力説。しかし真司の母親がそれに反論した。

「あのね、結婚というのは好きだけじゃやっていけないのよ。特に我が家は本家になるんだから。家のしきたりとか伝統を守っていかなければいけないの。それにふさわしい女性でないと。あんな男みたいな女にそれができるわけないじゃない」

「さくらをそれ以上悪く言うな!」

 真司はそう言い放つと、両親の前からプイッと去って自分の部屋に戻ってしまった。まさか、平成のこの時代にまだ家柄にこんなにこだわっているなんて。そのことに腹を立てた真司。だが両親にこれ以上逆らえない自分もいる。

 なさけない。さくらにどう言えばいいんだ…。

 一方、さくらの方も大変なことになっていた。


「えーっ、あの真司くんからプロポーズされただって!? あんた大丈夫なの? あそこって長男でしょ。あんたのその性格じゃ、結婚したらお姑さんからいじめられるわよ。そんなとき、真司くんがあんたを守ってくれるとは思えないけどなぁ」

 さくらから報告を受けたさくらの母は、せんべいをかじりながらそう答えた。

「でも、真司だったら大丈夫…とは思うけど…」

 言いながらさくらも自信がなかった。いざという時に私を守ってくれるのかしら。それとも両親の言いなりになってしまうの? そもそも、結婚したら住まいはどうするの? 同居はイヤ。それに真司が賛同してくれるのか。悩み始めたら不安になってしまう。

「あんた、そんな不安な顔してたら結婚なんてできっこないわよ」

 母は、さらにせんべいを一かじりしてそう言い放った。

「好きだけで、勢いで結婚して後から後悔するってのが一番よくないパターンよ。ちゃんと将来を考えてみな。そもそもあんたのような男みたいなのに、お嫁さんの役割なんてできるとは思えないけどねぇ」

 実の母とはいえ、なんて言い方。

「結局私が男みたいだから、女らしくないからダメだってことなの…?」

 さくらは拳をギュッと握って、母にそう反論した。が、それは反論にはならない。

「だから、お化粧の一つくらい覚えなさいって言ってたでしょ」

 それが母の答だった。さくらは子どもの頃から「おとこおんな」なんて呼ばれていたくらい活発で、スカートをはいたことがないというのが、ある意味さくらの自慢でもあった。だからといって女を捨てたわけではない。

「私だって…女なんだよ」

 小声でそういうのが精一杯だった。だからといって、今何かができるわけではない。さくらは悔しさで胸がいっぱいになった。

 翌日、さくらは真司に電話で昨日のことを伝えた。

「さくらのところもか…」

「えっ、ってことは真司のところも何かあったの?」

「うん、さくらには本家を継ぐことなんかできないって、あたまっから反対された。だからボクも腹がたっちゃって」

「そう…やっぱ私が悪いのよね…」

「そうじゃないよ、ボクはさくらの魅力をちゃんと伝えられなかったのが悪いんだよ。ボクはさくらと結婚する意志は固いんだから」

「ありがと。やっぱ私が変わらなきゃいけないのよね…」

「変わらなくていいよ。ボクは今のさくらが好きなんだから」

「真司、あいかわらず優しいね」

 さくらは涙ぐみながらそう言う。

「わたし、努力してみる。真司の両親に認められるよう、女らしくなってみる。そしてウチの親も見返してやるんだ」

「さくら…」

 真司はそれ以上何も言えなかった。さくらのその決意に応えるには、自分も何かをしなければならない。そう感じている真司であった。

 その日から、真司は男らしく、さくらは女らしくするための修行が始まった。


「おい、なんだその顔は!」

 まずさくらが始めたのがお化粧。だが一度もお化粧などやったことのないさくら。自分なりに頑張ってはみたが、その顔で現場に出た途端、親方や周りの人から笑われるやら気味悪がられるやら。果ては「何かに取り憑かれたのか?」とまで言われる始末。ほとんど化け物扱い。そして最後に言われたのがこの言葉。

「なんかおめぇらしくねぇなぁ」

 私らしくないってどういうこと? 私はお化粧しちゃいけないの? 大いに頭を悩ませるさくら。結局二時間かけて格闘したお化粧も、わずか三十分ほどで落としてしまう始末。

 しょんぼりしているさくらに、親方はこんな声をかけた。

「さくらよ、おめぇはニコニコ顔で大きな声を出して元気に働いてる方が性に合ってるぜ」

 その言葉にはホッとさせられた。だがこのままじゃいけない。いつもの私じゃ、真司のお嫁さんにはなれないんだから。

「親方、一つ質問してもいいですか?」

「ん、なんだ?」

「女性らしいって、どうすればいいんですか?」

「おい、何かあったのか?」

 さくらは親方に真司とのことを一通り話した。が、答えはこれ。

「そんな男との結婚なんかやめちまえ」

 結局、女らしさが見つからないさくらであった。

 一方、真司の方は「男らしさとは何か?」を自分なりに考えていた。

「やっぱ、まずは男らしいヤツに聞いてみるのが一番かな」

 そう思って訪れたのは、学生時代の友人である渉のところであった。渉は身長180センチを超え、体格も堂々としている。高校時代は柔道で県のチャンピオンになったほどで、今では総合格闘技とやらにはまって、毎日トレーニングをしている強者である。どこから見ても男らしい男。

 それに比べ、真司は身長が165センチ程度で、ヒョロッとした痩せ型。まずは体格からして違う。

 渉に今の事情を一通り話し、男らしくなりたいということを伝えたところ

「まずは体力をつけるこったな。お前の彼女、えっと…」

「さくらだよ」

「そうそう、さくらちゃん。前に会ったことがあったよな。間違いなくガタイは彼女の方がよかったもんな。ガッハッハ」

 渉は笑い方も豪快。なるほど、これが男らしさなのか。真司はメモ帳を取り出して、気づいたことを一つ一つ記録していった。

「じゃぁ、体力をつけるためにはどうすればいいんだ?」

「そりゃトレーニングしかないさ。まずは毎朝走ってみろ。それとお前の言葉遣い。真司は丁寧すぎるんだよ」

「言葉遣いねぇ…」

「そうだな、まずは自分のことを『ボク』じゃなく『オレ』と言ってみるのはどうだ。男らしくなるぞ」

 渉は確かに自分のことを「オレ」と言っている。そのせいか、言葉が男っぽく感じるのは確かだ。

「わかった。まず体力づくり、そして『オレ』だね」

「あーダメダメ。『オレ』だね、なんて言うんじゃなく『オレ』だなと男っぽく言わなきゃ」

「あ、あぁ、わかったよ」

 なんだかぎこちない感じもするが。とりあえず言葉遣いには気をつけようと早速実践を始めた。異変が起きたのは職場の保育園。

「しんじ先生、ちょっとこれ手伝える?」

 真司が朝の子どもたちの世話をしているときに、同僚の先生から声をかけられた。だが今は手が離せない。

「あーゆうこ先生、ボク…じゃなかった、オレ今手が離せないんです」

 その瞬間、近くにいた先生たちの目線が真司に集まった。先生だけではない。なんと、園児までもが真司の方を向いている。

「えっ、な、なに?」

 とまどったのは真司の方。

「あ、ごめん、なんかしんじ先生らしくないなって思って」

「は、はぁ」

 それからたびたび、「オレ」という言葉を使う真司。だが、その度に相手から変な顔をされる。真司もその状況に違和感を感じている。で、結局真司の「オレ」は、半日を待たずして終わりを告げた。

 帰り際、同僚の先生からこんな一言を言われた。

「しんじ先生はやっぱりそのままが一番ですよ」

 そうなのか。でもそのままだとさくらと結婚はできない。もっと男らしくなって、家族にさくらと結婚することを認めてもらわないといけないのに。

 とりあえず体力だけはつけるか。そう思って翌朝走ろうかと思った矢先、天気は雨。出鼻をくじかれた真司。結局その翌日も天候不順で走ることなく、これも挫折をしてしまった。結果的に、何も変えることができなかった真司であった。


「でね、結局男らしくって思ったんだけどうまくいかなくて。さくら、どうしたらいいと思う?」

 金曜の夜、真司はさくらに電話をかけた。これはかなり前から習慣化していることで、お互いに土日のスケジュールを確認して会えるときは会うようにしていた。ここで真司は男らしさがが身に付けられなかったことをさくらに打ち明けた。

「そうなんだ…」

 妙にさくらの声が沈んでいる。いつもなら「だから、あなたは…」という言葉で戒められるのに。

「さくら、なんだか元気がないけど、何かあったの?」

「実はね、私も同じなんだ」

「同じって?」

 さくらはお化粧をして仕事に行った話をした。そこで親方から「そんな男との結婚なんかやめちまえ」と言われたことを真司に伝えた。

「女らしくするってどういうこと? 私がお化粧しちゃいけないのかな?」

 真司は何も言えなかった。

 しばらく沈黙が続く。そしてさくらがボソリとこう言った。

「私たち、結婚しちゃいけないのかな?」

「そんなことはない!」

 真司がすぐに反論。

「絶対にそんなことはないよ。確かに傍から見れば、ボクたちは男女が逆転しているかもしれない。でもね、それと結婚とは関係ないよ」

「じゃぁどうすれば結婚できるの?」

「そ、それは…」

 再び沈黙。今度は真司がその沈黙を破った。

「とりあえずさ、明日はどうする?」

「そうね…」

 さくらは言われて、何気なく自分の財布をあさった。というのも、実は財布にそれほどお金が残っていなかった。真司と遊びに行くにもお金が必要だが、その点がちょっと気になっていた。すると、そこでいいものを発見。

「あ、この前行った喫茶店のコーヒー無料券がある。あそこに行こうか」

「カフェ・シェリーだっけ。あそこのマスター、気の良さそうな人だったよね。居心地いいし、あそこでいろいろ話をしようか」

「うん」

 真司の言葉にめずらしく素直なさくら。それだけカフェ・シェリーが気に入っているということでもあるし、また真司に会って今の心境を話したいという気持ちも強い。

 翌日、二人そろってカフェ・シェリーの扉を開いた。

「いらっしゃいませ。あ、先週いらした方ですね。婚約、おめでとうございます」

 店員のマイが二人の顔を見るなり、すかさずそう言葉をかけた。それに続いてマスターもこんな言葉を。

「早速いらしてくださったんですね。あいにく窓際の席は埋まっていますが、よかったらこちらへどうぞ」

 そう言ってカウンター席を勧めた。マスターもマイも、二人をにこやかな表情でみつめている。が、肝心の二人はあまりパッとしない表情。

「あれっ、なんだか元気がありませんが。何かありましたか?」

 マスターはカップを磨きながらそう言葉をかけた。

「えぇ、ちょっと…」

 真司がはっきりしない返事をした。

「もう、真司ったらあいまいなんだから。実はですね、結婚についてお互いの両親が反対しているんです」

「えっ、それはまたどうして?」

「それがですね…」

 さくらはまず自分の家であったことを話した。それにつられて、真司も同じように親に言われた言葉をマスターに話した。

「なるほど、男らしさと女らしさですか。なかなか難しい問題ですね」

 マスターは二人の話を聴いて首を傾げるだけ。

「何か私たち、おかしいことをしていますか?」

 さくらはマスターの様子を見てそんな質問を投げかけた。

「あ、いや、おかしいことをしているわけじゃないんだけど。そうだなぁ、その答えはシェリー・ブレンドに聞いてみるといいよ」

 真司とさくらはマスターの言葉に、さっきマスターがやったことと同じような感じで首を傾げて顔を見合わせた。

「まぁ飲んでみるとわかるよ。確かお二人にはコーヒー無料券を差し上げていたよね」

「あ、はい」

 さくらは財布からコーヒー無料券を取り出した。ちなみにさくらの財布は、ベルクロの迷彩柄。とても女の子が使うような品物ではない。

「じゃぁ少し待っててくれるかな。今用意するから」

 そう言ってマスターはコーヒーを入れる準備を始めた。その間、今度はマイが二人に話しかけてきた。

「えっと、さくらさんと真司さんでしたよね」

「あ、はい」

「あのね、さくらさんって、こうするととてもチャーミングに見えるんだけどな」

 マイはおもむろにさくらが後ろで結んでいる髪をおろし、上の方で結ぶような感じにしてみせた。さくらが唯一女らしいといえば、その長い髪くらいかもしれない。だがそれも無造作に後ろで束ねているだけである。

「へぇ、すっごくかわいい」

 真司は目を丸くして思わずつぶやいた。

「な、なに言ってんのよ」

 顔を真赤にして慌てるさくら。その照れる姿を見て、真司がまたこんなことをつぶやいた。

「今のさくら、とても女の子らしいよ。ボクはそんなさくらが大好きだな」

 さくらをじっと見つめる真司。

「真司さん、今の言葉はとても男らしいと思いますよ。女の子を見守るその姿、それが真司さんなりの男らしさじゃないかな」

 マイは真司にそう言葉をかけた。

「えっ、そ、そうですか?」

 今度は真司の方が慌てふためく。

「まったくもう、あんたは何やってんだか」

 バシッと真司の背中を叩きながら、さくらは元のさくらに戻った。しかし、一瞬ではあったがさくらは女らしさを、真司は男らしさを見せた一幕であった。

「はい、シェリー・ブレンドです。今日は特別にマイ特性のクッキーをつけておいたから。まずコーヒーを飲む前に黒い方のクッキーを口に入れてごらん。そしてコーヒーを飲むと面白いことが起きるから」

 マスターの言葉通り、二人はそろって黒いクッキーを口に入れた。

「んっ、おいしい」

 さらに、同時にコーヒーを口に含んだ。その瞬間、二人の目の前には同時に同じ光景が広がった。

 それは朝の光景。パンをかじりながら新聞を広げるさくら。エプロンをして目玉焼きを焼く真司。明らかに男女の立場が逆転している。が、二人とも幸せそうに笑っている。

「じゃぁ行ってきます」

 作業着姿で先に家を出るのはさくら。

「いってらっしゃい」

 玄関でそれを見送るのは真司。いってらっしゃいのキスをして、元気に家を飛び出すさくら。

「さぁ、ボクも準備しなきゃ」

 そう言って慌しく片付けをしはじめる真司。これが二人の結婚生活。そして、二人ともこの光景がなんとなく居心地がいい。

「いかがですか?」

 マスターのその声で、二人ともハッと目を覚ました。

「えっ、あ、今の…何?」

「夢…みてた?」

二人とも顔を見合わせてキョトンとしている。

「何か見えたようですね。実はこれがシェリー・ブレンドの魔法なんです。この黒ごまクッキーを一緒に食べることで、望む未来を見せてくれるんですよ」

 真司もさくらもまだ不思議そうな顔をしている。

「真司はどんなのが見えたの?」

「あ、えっとね、さくらと結婚してて、それで朝の光景だった」

「えっ、私も同じ」

「それでね、ボクが朝食を作ってさくらの出勤を見送るんだ」

「それも同じ…その朝食ってパンと目玉焼き?」

「うん、そう」

 二人とも顔を見合わせてびっくりした目をしている。が、急にお互いに笑い出した。

「あははっ、なに、ってことはわたし真司と同じ光景を見たんだ」

「そ、そうだね、ここまでさくらと同じ思いができるなんて。なんか信じられないな。あははは」

 その笑いは安心の笑いでもあった。それだけ真司とさくらの二人が同じように未来を描けているとは。

「お二人とも同じ未来を描けていたようですね。どんな感じがしました?」

 マスターの問いかけに、笑いながら真司が答えた。

「ボクはとてもうれしいですよ。さくらはさくらのままでいいし、ボクはボクのままでいい。周りがなんと言おうと、ボクたちはこれでいいんだって気がします」

「そうね、真司の言うとおり。わたしが無理に主婦しなくてもいいんだよね。だからといって、わたしが楽をするわけじゃない。お互いにできることをやればそれでいいんだって気がしてます」

「そうか、それが二人が目指す未来の姿なんだね。私もそれでいいと思います。女性が家事をして男性が仕事で稼ぐなんてことにこだわらなくてもいい時代ですから。何が男らしくて何が女らしいのか。それよりも大事なことがあるんじゃないかって思うんです」

「大事なことって、なんですか?」

 真司はその答えが知りたくて、マスターを覗き込むように身を乗り出した。

「そうですね、私が答えを教えるよりもシェリー・ブレンドにその答えを見せてもらいましょう。次はもう一枚の白いクッキーを先ほどと同じ要領で食べてみてもらえますか」

 真司とさくらは、また同じようにクッキーを一かじりし、そしてシェリー・ブレンドを口に含んだ。今度のクッキーは口の中で溶けていくような感じ。それと同時に甘さがジュワーッと広がっていく。

「んっ、おいしいっ」

 さくらがそう言った瞬間、二人の目の前にある光景が広がった。

 目の前にはたくさんの人がいる。そして、なぜかみんな裸。けれどそこにはいやらしさはない。裸というのは、何も着飾っていない、素の自分を表している。そして、みんなが手を取り合い、笑顔でお互いを見つめている。年齢も性別も関係ない、その人そのものをみんなお互いに見つめ合っている。

 なんとなく大事なことがわかった気がした。隣を見るとお互いのパートナーがいる。真司の横にはさくら、さくらの横には真司。お互いに見つめ合い、納得した表情。うん、とお互いを確認し合ったところで、二人とも同時に目を開けた。

「どんなものが見えましたか?」

 二人の様子を確認したところで、マスターがそう話しかけてきた。

「さくら、わかったよ、どうすればいいのか」

「うん、私もわかった。マスターが言ってた大事なことが」

「何が大事なことなのか、見えたようですね。よかったら教えていただけますか?」

 マスターは二人を包み込むような笑顔でそう問いかけた。

「じゃぁボクから話すね。ボクは今まで、男らしさとか女らしさを追いかけていました。というよりも、ボクたちの周りの人がそれを求めていたのでそうしていただけです。でも大事なのは、男だから、女だからということじゃないんです。ボクはボク、さくらはさくら、その人そのものを認めること。素の自分を見せて、それをお互いが認識しあうこと」

「うん、真司の言うとおり。女だからといってお化粧でそれをつくっても、その中身を見つめてくれないと意味がないのよ。その人そのものが何を考え、どう行動しているのか。それを認めて、納得しあえばそれで十分じゃないかな。わたしはそう思うの」

 真司とさくら、二人が同じ答えを出したことを確認したマスター。

「お二人ともまた同じ光景を見たようですね。私も常々そう思っていました」

 正解をもらったようで、真司とさくらには安心した笑顔が飛び出した。マスターはそれを確認すると、さらに自分の考えを伝えた。

「女だから女らしく、けれど男性に負けないように社会進出を。それが今の風潮のように思えます。そのおかげで、今まで男性しかやって来なかったような仕事を女性がやるようになりました。その逆もありますよね」

 真司とさくらはお互いを見つめ合った。まさに今の二人がそうだから。真司は今まで女性しかいなかった保育士という仕事に、さくらは男の現場であるとび職についている。

「最初、ボクは保育士になることを親から反対されました。そんなのは女の職場だって。でもボクはそれがやりたかった。そして今、働いてみてこれが天職だって感じています」

「わたしもそう。とび職が天職だとまでは思わないし、とにかく職がなくて飛び込んだ世界だけど。でもとても楽しいし、私じゃないと気づかない視点とかあるみたいで、親方からはとても重宝されているから」

「うん、それでいいんですよ。今までは男の役割、女の役割として決めつけられていたことも、本当はその人の役割という目線が必要なんだと私は思っています」

 うんとうなずく真司とさくら。

「それにさ、今は女性の社会進出って言っているけれど、男の世界に女性が飛び込むことだけが平等ってことじゃないんじゃないかしら」

 マイが横から割り込んで自分の意見を述べてきた。

「それってどういうことなんですか?」

 マイの言葉に興味を持ったさくら。マスターの言っていることと、ちょっと違うと感じたようだ。

「私ね、こう思うの。いくら男女参画だからといって、やはり女性には女性の、男性には男性の役割ってあるんじゃないかって。さくらさんがとび職をやっていること、それとはちょっと違う観点の役割なの。例えば、女性は赤ちゃんを産むでしょ。そして母親にしかできない子どもとのコミュニケーションのとり方があるの。おっぱいをあげたり、やさしく抱きしめてあげたり。逆に男にしかできない役割もあるわ。いくら女性が力を持ったとしても、やはり体格のいい男性にはかなわないんだから。そういった力仕事はそういった男性の仕事でしょ。他にも、男性の視点や女性の視点でしか気づかない点もあって、それを世に出すのはそれぞれの役割じゃないかしら」

「ボクは力仕事はできないです…」

真司がボソッとそうつぶやいた。

「でも、真司にしかできないことあるよ」

「えっ!?」

 さくらの言葉に真司が反応した。さくらはちょっとうつむき加減で、はずかしそうな仕草をしている。そしてゆっくりと顔を上げ、真司にこう伝えた。

「真司はわたしにとっても優しいの。だからわたし、安心して真司にわがままを言える。仕事の愚痴だって言える。真司はわたしのこと、すべて受け入れてくれるから。だから、だからわたし…」

 さくらは今まで見せなかった、女の子らしい仕草でそう言う。そんなさくらを見て、真司はおもわずさくらの顔を胸に抱きしめた。

「さくら、ありがとう。ボクにとってのさくらも同じだよ。さくらじゃなきゃボクはダメなんだ。だから、だから…」

 真司は一度、胸いっぱいに空気を吸い込んだ。そして、胸に抱いたさくらの肩をつかんで、顔を上げさせ、そして正面を向き合い、真剣なまなざしでさくらを見つめた。

「さくら、あらためて言うよ。たとえ家族や親戚がなんと言おうと、ボクはさくらを守り続ける。だから、だから…」

 真司はゴクリとつばを飲み込んだ。一度目をつぶり、またさくらを見つめて…

「さくら、結婚しよう」

 カフェ・シェリーの時が止まった。その様子を、マスターやマイ、さらに他のお客さんもじっと見つめている。

「はい」

 はにかみながらさくらは小さくうなずいた。その瞬間、マスターやマイ、さらには周りのお客さんから拍手喝采。

「おめでとー」

「おめでとうございます」

 祝福の雨あられ。カフェ・シェリーはお祝いムードに包まれた。

「ど、どうも」

 照れ笑いの真司。笑顔のさくら。

「真司さん、とても男らしかったですよ。あー、私もこんなプロポーズされたかったなー」

 マイはマスターをつついてそう言う。

「あれ、ちゃんと男らしくプロポーズしたつもりだったけどなぁ」

「なに言ってんのよ。うどん屋でうどんをすすりながら、何気なく結婚しようか、なんて言われて男らしいプロポーズだと思ってるの?」

「えっ、そんなことあったっけ?」

 真司とさくらを差し置いて、マスターとマイがそんな漫才みたいな会話を始めたものだから、周りはちょっとあっ気にとられた。

 祝福ムードもようやく落ち着き、真司はマスターとマイにあらためてお礼を述べた。

「ありがとうございます。これで自分の中で一つけじめがついた感じがします。これも、このコーヒーがボクたちの未来を見せてくれたおかげです。さくらと同じ思いをしていたこと、これが大きな自信につながりました。やる気が湧いてきましたよ」

「わたしも、真司とだったらやっていけそうな気がします。よぉし、がんばらなきゃ!」

 さくらは腕まくりをして力こぶをみせながらそう言った。

「ってことは、力仕事はさくらさんの仕事ですね。これもまた、個性を尊重することになるんですね」

 カフェ・シェリーはまた笑いに包まれた。


 それから真司とさくらが起こした行動。まずは真司がさくらの家に行き、正式に結婚の意志があることを伝えに行った。その姿はふだんの優柔不断な真司とは打って変わって、一つ一つの行動、言葉がしっかりとしたものであった。その姿に、さくらの両親も見方を変えたようだ。その日の夜にはさくらの父親と真司は酒を酌み交わす仲にまでなった。

 問題は真司の家の方。ここでさくらは一大決心をした。なんと、今まで着たこともないワンピースのスカートを着てみた。そして、カフェ・シェリーのマイの勧めた美容院で化粧をしてもらった。自分でやったものとは違い、さくらのよいところを引き立たせるような化粧。より一層、さくららしさが引き出された。

 そんなさくらを見た真司の両親は目を丸くした。最初は別人を連れてきたのかと思ったほどだ。そして、その席で真司は思い切って両親にこう伝えた。

「ボクは周りがなんと言おうと、さくらと結婚します。家を継ぐことも大事だけれど、それ以前に一人の女性を尊重し、そして大事にしていくことを優先します。ボクはさくらを一生守り続けます」

 今までこれだけはっきりと、しっかりとしたことを言うことがなかった真司。いつも親の言うことを聞くだけだったのが、これだけ意志を明確にしたのだから。その姿を見て、真司の両親は何も言えない。首を縦に振るしかなかった。

 そして三ヶ月の月日が経った。

「郵便でーす」

「はーい、ありがとうございます」

 カフェ・シェリーに郵便屋さんが配達に来た。郵便屋さんから郵便物を受け取ったマイ。一つ一つを確認していくと、一枚のはがきに目が止まった。

「マスター、見て見て!」

 にこやかにはがきを手にするマイ。

「なんだ、どうした?」

 仕込みの手を止めて、マスターはマイの差し出したはがきに目をやる。

「ほう、なかなか幸せそうだな。男女が逆転しても、それぞれの個性を認める。これからの男女参画社会に本当に必要なことだな」

 マスターは写真を眺めながら、ふとそんな言葉を漏らした。そこには、さくらにお姫様抱っこをされている真司の姿が。二人ともこれ以上ない笑顔があった。


<男だから、女だから 完>

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