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爽やか紳士ボーイの日常。

作者: 研矢マユ


彼は1日1回、知らない人に話しかけるのが趣味だと言った。


(ちょっと何言ってるのかわかんない、、、、。)


事務的な会話はノーカウントだそう。


例えば休日に映画を観に行ったとしよう。


(なんか語り出したなこいつ。)


ーーー素晴らしい休日じゃないか。


ワンクッション入れてきた。


もちろん自分で言ってる。


彼の流儀で、ポップコーンなどの音を立ててしまうものを嫌うらしい。


いや、知らんけど。


棒読みで合いの手。


そんな彼でも最低限必要な接触、チケット引き換えを担当するスタッフと対面する。


こちらが何を言わずとも話しかけてくる。

これに答えるだけでは“話しかける”にならない。


ここはスルーしたそうだ。後ろに客いたからと、もっともらしいことを口にこぼす。


劇場に隣接したベンチに彼は腰をかける。隣には華奢な若い女性(淑女)。


ーーその日のノルマを今ここで消化することを選んだ。ーー


彼女の引き寄せているハンドバックからブランケットが顔をのぞかせてた。

それを見逃す彼じゃない。


「いやー、夏場とはいえクーラーが冷えますね、、、!」


身を丸め、両手で体をさする。


一瞬間がいた。当然といえば当然だ。


しかし彼はキョドらない。普段から爽やか紳士を自称するだけあり、

心証は悪くなかったらしい。


「ーーー本当にそうなんですよ。先週は薄着オンリーでここに来ちゃって、

大変だったんです。」


笑顔で返事をしてくれた。


「先週もひどい暑さでしたから、仕方ないですよ。

もしかして、ご覧になられたのは“アルパカ山脈”ですか?」


「え、正解です!他にもヒット作あったのに、よく当てましたね!」


「いやいや〜!原作を読んだことがあって劇場版が公開されていると知っていたので、

単なる当てずっぽうです!」


話題を持ち出した時は無理やり自分のフィールドに持ち込むのも手の一つ、だそうだ。


「読書家なんですね、すごい!私なんて、

俳優さんが目当てで気になっちゃっただけで、、、。」


すかさずフォローを入れる。


「スダくん、、、ぐらいしかわからないですけど、、、。」


「そう、そのスダくん!」


こんな感じで10分足らず、上映開始時間のギリギリまで

途切れることなく会話していたらしい。


驚いたことに上映が終わった後、受付付近で顔を合わせた2人はそのまま

遅めのランチをご一緒したそうだ。


(なんというか、凄まじいまでの行動力、、、。)


連絡先までは聞かなかったと、高校生の立場をわきまえていた。


ノルマを達成した彼は満足げに帰路につく。


ーーーもちろん、軽く言葉を交わすだけのパターンが多いらしいが

学生の身で毎日実践するのは難しいだろう。


不覚にも感服してしまう。


、、、。


「ーーーんで?何ヶ月くらいやってんの?」


「ん?、、、いちにい…3日間!今日で4日目だな。」


「ばりくそ週末かぶっとるやないけ。」


まっ、そうだよな。



憂鬱な月曜の朝、与太話にかまける2人組であった。ーーーー





半分くらい短くしたい。

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