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5話

----一方その頃、Bチームでは。


「ごめん、四人が限界だったよ」


リサが申し訳なさそうに、Bチームの部隊長に報告する。

サイの襲撃にあってからおよそ三分、彼女は、Bチームのスタート地点まで戻ってきていた。


「ううん! 四人も退場させられたなんてさすがだわー! これで、戦況は私達の圧倒的有利よ! さーて、後は物量で押していくだけね! 」


Bチームの部隊長は、鼻息を荒くして息まいている。

その姿に、リサは眉をひそめ、嫌悪感を感じているようだ。

ケージに来てからというもの、彼女はその高い能力から様々な期待をされ、そして答えてきた。


それが、この場所での生き方なのだと頭ではわかっているが、周りの人々が見ているのはリサ自身ではないこに彼女は憤りを感じているのだろう。

その為、彼女はしばしば、他人を信用していないそぶりを見せることがある。

今回の、単独での特攻も、彼女自身による提案だあり、そんな彼女の性格が顕著にでていると思われる。


そんな二人のやり取りの直後、地面が揺れる程の衝撃が、リサ達を襲う。


「なに!? 」


一瞬で、Bチームの部隊長の顔に緊張の色が滲む。

先ほどの衝撃からおよそ一分、彼女たちは足元にひんやりとした冷たさを感じた。

そして、その答えはすぐにわかった。

水。

足首まで覆う水が、エリア全体に満たされたていた。


「隊長! 足元に水が流れています! 」


「みればわかるわ! でもこのクラスには電気を使う魔法使いはいないし……、ただのはったりかしら? 」


リサは、嫌な予感を感じたのか、部隊長に打診する。


「ひとまず、エリアの一番奥まで下がりましょう! なんらかの作戦だったとしたら危険だわ! 」


「そうね、念には念を、で行きましょう。あなたとそこの君、私と一緒に来て。他のみんなは、予定通りAチームを殲滅して頂戴」


そして、リサと部隊長、そして、煙を使う魔法使いをひとりつれて、Bチームの部隊長は塀の奥へと隠れる。

彼女にとって、自分をかくまうものと、一騎当千のリサさえいれば、この演習は勝てると考えての作戦のようだ。

Bチームは了解し、リサ達三人を残して、歩を進める。

そして、彼らがエリアの半分ほどまで来たとき、それは起こった。


「なに……、これ? 草? 」


一人の生徒の足元に生えてきた、一本の白いもやし。

先端に、かわいらしい白い髭をたくわえたそれは、あっという間に、Bチームの足元を埋め尽くした。


「え? え? 何これ!? 気持ち悪い! 」


Bチームの絶叫など虚しく響き、もやしはどんどん成長する。


「ちょ、ちょっと待って! もやしに圧迫されて、身動きができない! 」


二メートル近くまで成長したもやしは、隙間なく空を目指し、やがてBチームを飲み込み、動きを封じた。


「何……、あれ」


Bチームの部隊長は、今、目の前で起きている事実に頭が追い付かない様子で、目を白黒させていた。

先ほどまで、ただの水たまりしかなかった場所に、突如として現れたもやしの森。

その光景は異様としか言い表せなかった。


「もやしみたいですね、巨大な。あれだと、しばらく身動きはできないでしょうね」


無表情で、淡々と説明をする煙の魔法使い。


「でも、逆に相手チームもこちらにペイント弾を当てることができないんじゃないでしょうか」


煙の魔法使いが更に呟く。

その言葉に、Bチームの部隊長は少しだけ安心した。

彼女は、あの状況ではAチームも手出しできない。時間を稼いで、もやしから脱出したところを攻撃するつもりだったのだろう。と、考えていた。


「今なら、相手は全員捕えられたと思っているはず! 一気に攻め込むわよ! 二人とも! 」


そして、彼女は、先頭はまかせるわ、とリサに告げる。

リサは、どうせこうなるだろうなと思っていたのか、すでに塀から飛び出す姿勢をとっていた。

そして、彼女が一歩を踏み出そうとした、その時。

もやしを吹き飛ばす何かが、彼女たちの隠れる塀に飛んできた。

ずどん、とまるで砲弾のようなそれは、拳大の岩。

そして、その岩は、緑色に着色されていた。

サイ達は、水の魔法でもやしを育てる基盤を作り、そして成長したもやしでBチームを足止め。その後、打ち出す岩にペイント弾を撃ち込むことで、間接的に相手に塗料を塗りつける作戦だったのだ。


「ちょっと待って! 相手が何か仕掛けてきているわ! 」


しかし、まだ状況を把握しきれていない部隊長が声を荒げ、リサを制止した。


「関係ないわ! 相手はあてずっぽに撃っているだけよ! 今なら、まだ、私達の姿は確認されてない! 」


「ダメよ! あなたは、攻めの要なの! 先走らないで! 」


けど、とリサは続けたが、Bチームの部隊長がそれを制した。


「部隊長は私よ! 指示に従いなさい! 」


リサは、部隊長の横暴な言葉に、了解しました部隊長、と素っ気なく答えた。

その手は、震える程硬く、握られている。

そして、Aチームのペイント弾付き岩石砲弾は、次々ともやしの森を破壊していった。

もやしと、中にいるBチームをまとめて緑色に染めてゆく。


「へへ、『白い巨塔(ホワイト・バベル)』の二つ名を持つオイラの【細く力強い森ストリングス・ストロングス・フォレスト】からは、誰も逃げられないぜ! 」


「お前、なんなの!? 主人公なの!? けど……、お前みたいな奴、嫌いじゃないぜ」


サイとヤスオは互いに、親指を突き上げた。

そして、ヤスオは、先陣を切って突撃していった。


「三人だ! 塀の後ろにいるぞー! 」


ヤスオがリサ達の隠れる塀に飛び乗り、その重力を無視して逆立った髪を振り回しながら叫ぶ。

すかさず、リサは、銃を構え、ヤスオを撃った。


「ぐはぁ、ちきしょう、オイラはここまでみたいだ……。あとは、お前らに任せるぜ。オイラ達、最高のチームだったよな……」


「ヤスオー! 」


わざとらしいくらい遠くに吹き飛んだヤスオに、サイは、スライディング気味に彼の元へと駆け寄る。


「ぐす、お前、最初はムカついたけどいいやつだったぜ」


ヤスオの退場に涙するサイ。

ヤスオの言葉を聞いたAチームの部隊長は、目標を塀へと切り替えた。


「追いこめ! ターゲットは塀の向こうだ! 」


その声は、リサ達にも聞こえたようだ。

彼女たちの表情に、緊張が走る。そしてリサと、煙の魔法使いは、部隊長を見た。

彼女は、目を血走らせながら、二人を睨み、指示をだした。


「あなたは、すぐに煙幕を張って! その後私について来て。一度距離をとって隙を伺うわ」


「私は? 」


リサは、少しいらだった様子で、青チームの部隊長に聞いた。


「あなたは、煙幕に隠れて迎え撃って」


恐らくこうなるだろうと、リサは思っていたようで、了解、と短い返事を返した。

二人のやり取りの後、煙の魔法使いは、両手の手のひらを地面につけた。

そして、ぶしゅぅ、という音と共に、灰色の煙が辺りを埋め尽くす。


「煙幕か……、『黒のブラックアイ』! 」


「わかってる! 」


Bチームの部隊長と、煙の魔法使いは、リサから見て左側へと駆けだし、 リサは、正面の煙幕を見据え、自分の聴覚に集中しているのか目を瞑り、じっと待つ。

そして、塀を飛び越えて着地する足音が、リサの耳に届いたのかその赤い瞳をかっと開いた。

その瞬間、リサは、先ほどまでのいらだちをぶつけるかのような爆炎を、うちこんだ。


「うおお、演習でそこまでするか!? 」


「サイ!? 」


 サイの言葉に、リサが反応する、しかし、すでに炎は、彼の眼前に迫っていた。

 リサは、ただ呆然と炎の行方を眺めている。

しかし、炎は空から降ってきた水の塊に消火され、あたりを高温の蒸気が覆った。

やがてその蒸気も晴れ、そこには、気絶したサイと、戦闘服を緑色に汚したリサが立っていた。

続けて何発かの銃声。

しかし、リサは、そんなことはどうでもいいというように、サイに駆け寄る。

そして彼女は、気を失ったサイに駆け寄り、黒い髪をやさしく撫でた。


「そっか今日は、私達がここに来た日、だったね」


リサは、優しく微笑んだ。

プロローグにつながりました。

だからなんだという感じですね。

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