豚顔三姉妹の日常会話
夕食を食べ終わって、片づけをし、
いつものように、
三姉妹揃って、ゴールデン帯のテレビを見ていた。
もちろん分かってると思うけど、
美少女三姉妹じゃなくて、豚顔の三姉妹だからね。
長女である私が、細い目で豚鼻が突き出ている本物の豚みたいな豚顔で、
次女は目が私より少し大きく、鼻も前方に突き出てはいないけど、豚鼻ではあるので、
ほどほどの豚顔。
三女は、鼻は豚鼻だけど、家族の遺伝子からすると目は奇跡的に普通の大きさであり、
マスクをつけていれば美人で通らなくもない感じ。
そんな3人で仲良く、テレビを見ているわ。
脳内でちゃんと変換してよね。
可愛い三姉妹じゃなくて豚のようなブス三姉妹だから!!
挿絵とか描ければ分かりやすいんだろうけど、
それができないから脳内で想像してね。
テレビを見ながら、妹(次女)はせんべいをボリボリ食べていた。
ここで次女の体型について説明すると、大柄ね。
部活が柔道部だから、大柄でも引け目を感じないのかなとは思われる。
日にも焼けているので、黒豚という表現が適当かしら。
そして、三女はクッキーをつまんでいた。
三女は一応テニス部に入っているけど、あんまり部活には行けてないみたい。
最近はお菓子を食べるために、少しずつ太ってきている。
目は大きめでも鼻は完全に豚鼻で、それに肉が少しついているから、
それこそ子豚という表現がしっくりくるわ。
せっかく目が大きいのに、もったいない。
テレビを見ながらお菓子を食べているというのが見慣れた光景となっていたけれど、
私はここらでガツンと注意することにしたわ。
「あんた達、何でいっつも、夕食後にテレビ見ながらお菓子食べてるの!
太るじゃない。顔が豚なのに、体型まで豚になってどうするのよ!」
これが妹たちに響くといいなと思っていたが、
すぐに反論される。
次女「顔が豚っていっても、姉貴ほど、ひどい豚顔ではないじゃない(笑)
今は少し太っているぐらいがモテるのよ。」
三女「だいたい、お姉ちゃんの方が意味分かんないよ。
テレビの女優とかアナウンサーに影響されているのかもしんないけど、
そんな豚みたいな顔してるのにスタイルを保つ必要がどこにあるの?」
私「なんだって! だって、ブスでデブとか終わってるってのが、
世の男性の常じゃない。」
次女「そこの認識でもう間違っているわよね。
そんなの本当にごく一部とかアイドルファンとかの男性だけであって、
普通の男性は、少しぽっちゃりしている方がいいらしいわよ。
それこそ癒されるっていう声も聞いたことがあるわ。」
三女「そうそう、それに、お姉ちゃんみたいなブスが
かえってスタイルが良いと、期待していた人が物凄くガッカリすると思うわよ。
その顔なら最初から小太りとかデブな方が変な期待をもたせないはずよ。」
私は今まで自分が信じてきた→ブスでもいいけどデブにはなるな、
という言葉が間違っていたのかと感じ、すぐには言い返せなかった。
次女「一般的なイメージだけど、痩せている人は神経質で、
太っている人は温和というイメージがあるわ。
全員がそうではないにせよ、そういうイメージよ。」
三女「そうそう。お姉ちゃんの豚みたいな顔で、痩せているなんて何の意味があるのよ。
痩せてて神経質でも可愛い顔だったら許せるけど、
豚小屋から出てきたような豚顔のブスが痩せてて神経質なんて、何の意味があるの?」
私「わ、私は神経質じゃないもん!!」
次女「落ち着いて姉貴。だからイメージだって言ったじゃん。
でもそうは言っても姉貴は神経質よ。
外出する時は必ずマスクをしているんでしょ。
ブスを隠すためだろうけど、ちょっと自意識過剰じゃない。
誰も姉貴の豚鼻なんて見てないわよ。」
三女「そうよそうよ。ま、お姉ちゃんの豚鼻は群を抜いてるから、
豚みたいな凄いドブスがいたということで記憶に残られるかもしれないけど、
そんなの一時よ。
そんなことを気にして、マスクを装着して窮屈に過ごす必要なんてないわ。」
妹達からさんざん言われて、正直泣きそうだった。
でもそれじゃあいけないと思い、
反撃に出る。
私「そんなこと言っても、あなた達だって男に相手にされてないでしょ!!」
その瞬間、時間が止まったように静かになる。
ふふふ、痛いパンチを散々食らわせられたが、
これで痛み分けよね、ふふふ。
と思っていたのも束の間、
妹達から笑いの渦が巻き起こる。
私「な、何がおかしいのよ!?」
次女「昼間、話してたんだけどさ、うちら2人ともいい感じなんだわ。」
三女「もちろん、男の子とね。」
私「な、なんだってー!!」
次女「私は同じ柔道部の男子と最近よく話して、一緒に帰ったりしてるわ。
デートもしているし、もう少しでたぶん告白されると思う。
その人の体型も大柄だから、周りのことが凄く気になる姉貴みたいな人には、
暑苦しいデブカップルとか豚カップルって思われるかもしれないけれど、
でも今すごく幸せよ。それでいいんじゃない!?」
三女「私もクラスメイトの男子と毎日一緒に下校してるのよ。
その子と話し始めたのは、私が、ぽちゃっとしてきた時から。
私が痩せていた時は、その男子には、
性格がキツそうで鼻が残念な子なんだなという印象だったらしいけど、
ぽちゃっとしてきてからは、
話しかけやすくなったし、
この豚鼻もかえってキュートに思えてきたんだって。」
妹達の恋愛話を聞いていると、耳が痛くなってきた。
わ、私だってそんな青春時代を過ごしたかったわよー!!
そんな浮かれた話を聞かされたので、三女に質問してみた。
私「でも、マスクをつけずにその豚鼻を晒して恥ずかしくないの。
ふとした拍子にハナクソや鼻水が見えてしまって周りに不快感を与えるかもしれないし。」
三女「なんだ、そんなことも気になってるのね、お姉ちゃんは。
本当に神経質よ。
いいじゃない見えたって、何か困る? それこそ自意識過剰じゃない。
それに仲の良い男子は、恋は盲目ってやつなのか、
下校中に私のハナクソが丸見えになっていても、
お茶目で可愛いねって褒めてくれるわよ。」
な、な、な、なんだってー!!!
もう言い返す言葉はなかった。
次女「そういえばさー姉貴。明日バイト休みだよね。
うちら、スイーツ食べ放題の店に行く約束してたんだけど、
姉貴も行く?」
三女「お姉ちゃんも、太ってみた方が可愛くなると思うし。
もちろん、行くときは自分をさらけ出すためにマスク着用なしだけど。」
うーん・・・・。
私は迷っていた。
今更、この保ってきたスタイルを放棄しろというのか・・・・。
でも2人の話を聞いていると、
単純にであるが、この豚顔だったら太った方がいいとも思えたし・・・。
私「うーん。分かったわ。行きましょう!!
私を美味しいスイーツに連れて行って。」
次女「やったー。そうと決まれば、寝るまでにここのお菓子全部食べてね。」
私「な、なんで!?」
次女「姉貴みたいに痩せてて体型に気をつかっている人が、
急にスイーツ食べ放題の店に行っても、あまり食べられないじゃない。
明日のことだから、あまり時間はないのだけれども、
それでも食べないよりは、いいわ。」
そして私の前に、大量のドーナツやらが並べられる。
三女「お姉ちゃんだって、本当は食べたいんでしょ!?」
私はスタイルを維持する為に陸上部に入った中学1年生の時のことを走馬灯のように
思い返しながらも、
そうよ!
食べれるのなら食べたいのよ、私は!!
ということで、むさぼりついた。
30分後
私「ふぅ~~~~っ、満腹、満腹。」
次女「本当に!? やっぱそれしか入らないかー。」
妹達はまだまだ食べていた。
私は眠くなる。
私「このまま食べてすぐ寝たら、豚になっちゃうわ。」
次女「それを言うなら、牛でしょ。」
三女「大丈夫よ、お姉ちゃん。お姉ちゃんは生まれつき顔が完全な豚顔なんだから、
そんな細かいこと気にすることないわ。」
カロリーとか考えずに、こんなに食べたのはいつぶりだろう。
そして明日は、スイーツ食べ放題か。これはすぐに太っちゃうわね。
でも、これだけ食べれて幸せ。
私は、豚のようなイビキをかき、豚のように眠りについた。
思ったより長い文となりました。
作者自身も若干、ぽちゃっとしている女性が可愛いとは思います。
今回の後書きは、
いろいろ書きたいことがある気もしますが、
これだけです(笑)