幸せな家庭の、ブスの朝
11時30分のバイトの入りに間に合わせるために、
廊下で小走りに玄関まで向かう。
その間、
寝ている両親や妹達の顔が見える。
今は土曜の11時。決して早い時間ではないのだが、
普段の学校や仕事の疲れでみんな寝ているようだ。
「ふっ、あなたたちが結ばれなきゃ、こんな豚顔の私が産まれなかったのよ!!」
産まれたのは嬉しいが、両親の寝顔(お互い豚顔)を見ながら、
憎まれ口をたたく。
そうは言っても、お父さん、お母さんのことは大好きだけどさ。
「せめて妹達には遺伝させてほしくなかったわね。」
すやすやと寝ている、高校1年生と中学2年生の妹2人。
私よりは若干マシな顔とはいえ、
程度問題であって細い目、豚鼻には違いない。
2人とも運動部に所属しており、今日はたっぷり寝る計画の様子。
いびきをかいて、豚のように寝てるわ。
その顔じゃあ男子にちやほやされないから、
勉強とか運動とか何かに熱中するしかないしね。
私もそうだったわ。
本当は男子にちやほやされたいんだけど、
そんなことは不可能だと気付いた中学生の頃から運動に熱中してたしね。
豚顔でデブになっちゃうようじゃ本当に豚になるから、
せめてスタイルは保てるよう、陸上部に入っていたのよね。
ホントなら、妹達にはそんな学生生活送らないでほしいとは思うのだけれども、
この豚顔じゃあ、華のJKとかJCを満喫するのも限界があるだろうしね。
とか考えながらも私は玄関を出て、
自転車を漕ぎだした。
いつもと同じところを通っているはずなのに、
なぜだろう・・・? 何か違和感が。
というか昨日まで、私って男だったような・・・・。
いやいやいや何言ってるのよ。
そんなわけないじゃない。
私は昔から、あの家の長女よ。
お世辞にも美男美女とは言えない、
というより、
ぶっちゃけブサイクカップルだった
お父さん、お母さんの間に産まれたのが私。
私同様、豚みたいな顔してるけど可愛い妹たちにも恵まれてさ、
他の人には、
例えば豚家族とか豚小屋とか呼ばれているのを小耳にはさんだことはあったりするけど、
私にとってはとても幸せな家族よ。
「あれ、なんで私こんなこと考えてんだろ。
疲れてるのかしら。
何か、自分が違う人、
それこそ男だったような・・・。
「なんて、そんなわけないわよね。」
「ささ、今日もバイト頑張ろう。」
自転車を停めて、私はバイト先へ向かった。
ブスな女性、それこそ作中に出てくるような豚みたいな顔した女性を侮辱するようなことはいたしません。
主人公=作者で、作者はブスでもいいから一度、女になってみたいとか思っているので。
ただ、もちろん元に戻れる設定がいいですね(笑)
この作品では、私自身、ブスでもいいからと書いていますが、
本当に、朝起きたら豚みたいな顔した女性になっていても大丈夫なの?って
自問自答の意味もこめて、書いています。