汚掃除
潰れた声帯が震える音とズルズルと腐りゆく足を引きずる音が耳を掻き回す。
「あぁ、向こうでゾンビゲーやりまくっといてよかったわ。なれてなかったら腰が引けてたわ」
「ぞ、ゾン……ビ?」
「メア、目が汚れるから見ない方がいいよ。今からこのゴミを処理するから待っててね」
メアはコクコクと頷く事で肯定の意を示す。
メアは素直でいいな……アスには悪いことしたらゾンビになるぞって脅したかったな、そうすれば少しはマシになりそうなのに。
━━フゥッ
肺にある空気を一気に吐き出し集中すると襲い掛かってきたゾンビの頭部へ一閃する、するとすり抜けると思っていた刀が気色の悪い音をたてて頭部をはねていた。
「ウッソだろお前なんで斬れんだよ!━━━っあ」
確かこれの能力は物理的ダメージを与えることは出来ないが精神体に干渉しダメージを与えて生きている物以外は物理的ダメージを与えることが出来るだったよな………生きているもの?
「そうだ!こいつら死んでたわ!」
もちろんそんな大きな声を出してもゾンビに気付かれないということはなく一斉にこちらへと向かって歩いてくる。
その中には先程見た冒険者がチラホラと混じっていたが心を痛めることなどなく一太刀の元に斬り捨てる。
「メア、ちょっと耳抑えて目を瞑ってな!」
「は、はいぃ!」
「簡易爆破魔法!!」
手に握っていた刀をメアに当たらないように━当たったとしても傷を作る訳では無いが━納刀し空いた手で魔力を操る、瞬間空気中の水素を九割含んだ空気が一点へ集まりそれにより生じた熱によって小規模の爆発を起こし辺りの死体を肉片へと変えてゆく。
「うへぇ、最悪だな」
「?」
「おっとメアお嬢さん?もう少しだけ目を開けないでいてくれるかい?」
「お……おじょう…さん」
流石にメアにこんな地獄絵図を見せるとトラウマになりそうだからな。
辺りは先程まで人の形を保っていた肉片がゴロゴロと転がっておりその中にはヒモやらハツやらレバーやらがあり勿論タレは血の海だ。
「フィル!降りて来てくれ!」
「グォオオ」
「もう一度乗せて飛んでくれ」
「グォオ」
なんのために降りたのかって?決まってるじゃないか!降りる場所を間違えたんだよ!まだここら辺で戦ってるのかと思った…
まぁゾンビ達を野放しにはできないがな。
「フィル、炎は使えるか?」
「グォオ!」
「よし、あいつらを見つけたら一緒に焼き払うぞ、あれは放置していいものじゃない」
「グォウ!」
作者体調不良により今回はお休み




