嫌な予感
━━プチン
私の何かが切れた音がした。それが何なのかはどうでもよかった。
何故なら目の前で自分の大切な人が殺されそうになっている、ただそれだけだ。
この人に会うまではそんな事どうでもいいと思ったであろう。
しかしこの人は別だ、この人は結果的に私の命を救い私を拒まず受け入れてくれたただ一人の人。
自分に新しく名前をつけてくれて自分が新しい名前をつけてあげたその人。
前は圧倒的だった事とシファーが助けてくれた事によってこうなる事は無かったが今は違う。
その人が目の前で本当に死にそうになっているのだ、気色の悪い蛇の尻尾が食べ物を見る目でその人を見て愉悦に浸っているように見える。
その獅子の顔は冷たくゴミを見るような目でその人を見る。
それを見て怒りを覚えないものはいるのだろうか、否いないだろう。
もしいたとするならそれは心の無い物だろう。
━━ピキッバキバキバキ!!
卵をいくつも潰したような音が鳴り響く
その音と共にいつもよりドス黒く光を全く反射しない鱗が体を覆っていく。
「うぐうぅぅ!!ああぁぁ!!」
痛い、千切られる感覚がする。焼けるような痛みが全身に走ってくる。
「Gurrrrr?!」
キメラが間抜けな声を出しこちらを見てくる、あぁ早くその顔を潰して彼の元へ行かねば。
私はまずそいつの尻尾を爪で刺し一気に引裂く。
するとその尻尾は四枚に分かれキメラの顔に苦痛の表情が浮かぶ。
「Grrr……」
キメラの獅子の顔に腕を振り下ろすとキメラは避けることが出来なかったため顔に大きな爪痕を作った。
まだだ、まだ足りない。もっと痛めつけないと、無惨に殺さないと。
「ファル……」
「ッ?!」
「どこだ、ファル……」
その声を聞いた時私の頭からルアン以外のものが抜け落ちキメラなど気にせず一目散に向かう。
〜〜〜
暗い、寒い。
ここはどこなんだ……道…?
「ファル!!なぁファル!何処に行くんだ!待ってくれ!」
どこなのかわからない道をファルは自分と反対方向に進んでいく。
それは現実ではないとわかっていた、しかしここで見失ったら取り返しのつかないことになると本能が言っている。
「ファル!!」
突然道が崩れ落ちファルが下の見えない暗闇に落ちそうになったところで夢が終わった。
シファーの解説コーナー
シフ「今回はこれです!!」
真実と嘘
このスキルを持っている者が五感で感知した嘘に気付くことが出来る、しかしその違和感は注意していなければ気付かない程のものなのが難点
シフ「はへぇ、便利ですね」
イガ「嘘ですよね」
シフ「あ、バレました?」
イガ「スキル持ちなので」
シフ「意外と厄介ですね……とにかく今回はお開きです、また次回お会いしましょう」




