こいつ使えねぇ!
キメラの鎌のような鋭い爪が俺の首めがけて飛んでくる、それをかろうじて刀で受け止めることに成功したがステータスの差が激しいのか3メートルほど吹き飛ばされそのまま地面をゴロゴロと転がる。
キメラがその瞬間を見逃すわけもなく転がる俺へ向けて爪を突き立て、尻尾の大蛇で噛み付きをしてくる。
「Ksyarrrrrrr!!」
吹き飛ばされる際に幻影魔術を使い別の場所にいるように見せて爪を回避する事は出来たがやはり尻尾の蛇は誤魔化せないらしい。
蛇には確かピット器官というものがあってそれで熱感知をすることによって獲物を見ている、だっけか。
つまりもう幻影魔術は封じられたも同然という訳か。
だが━━
「ピット器官を切り捨てれば変わらない!!…………こいつ肝心な時に使えねえぇぇ!!」
「Ksyaarrrrrrrrrrr!!」
「Grarrrrrrrrrrrr!!」
後にその三者もとい一人と一匹?の咆哮は人魔大戦の銅鑼と呼ばれることとなった。
しかしこれを本人が知る事になるのはもう少しあとの話。
右からキメラの爪、左からはキメラの尻尾が迫ってくる。
キメラの爪を次空間から出したナイフで弾き、大蛇の尻尾の下に潜り斬り付けながら走り抜けて行く。
分かってはいても斬っても斬っても傷もなんにもないのは何だかなぁ………。
尻尾が叫びこちらを向いた瞬間ナイフをピット器官と思われる場所に打ち込む。
「Ksyaaaaaaa!!」
不意にナイフを刺された尻尾は唸り声を上げ悶える。
この調子ならいけぶふぅっ?!
突然脇腹に強い衝撃が走り俺の体と意識が遠くへ飛んでいく。
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