お気の毒な空賊さん
「オルァ!!グレイバードとは俺らの事よ!!命が欲しけりゃ女と金目のものを大人しく渡してもらおうか!!」
「ケヒャャャ!!アニキィあいつなんてどうでさぁ?かなりの上玉ですぜ?」
「いいな!連れてこい!!たっぷりと遊んでや━━」
瞬間アニキと呼ばれた男の頭は吹き飛びそこには首の無い胴体とトマトを握りつぶしたかのように飛び散った血が残るのみであった。
「アニ…キ?へ、へえぇ?!」
隣にいる男だったものを見てやっと思考が追いついた手下はその光景を目の当たりにして声にならない情けない悲鳴をあげ腰を抜かす。
「人が急いでるっていうのにはた迷惑な奴らだね、だがまぁ、お父様ならこうしていただろうし今は一大事だからね。ここで引かないと言うなら━━━潰すぞ?」
その男の顔はローブにより見えないが声からして俺と歳が近いであろう、そんな男から発せられる殺気を当てられ空賊もといグレイバードの一員のみならずこの場にいる殆どの人は怯えきっている。
「ひっ、ひぇぇ!!て、撤退だぁぁ!!」
グレイバードの一味はその男の殺気に抗えず船へ逃げ帰り撤退して行く。
「ふぅ、皆さん安心してください。この船は私がいる限り安全です」
これでひとまず面倒事が増えなくてよかった。
「お前凄いな、どうやって頭潰したんだ?魔法か?」
「え?えぇと」
「すまんな、まだ名乗ってなかったな。俺はルアン、よろしく」
「え、エルと呼んでくれ」
「了解だエル、ところであの頭を潰した方法に興味があるのだが」
「ぁぁ、ぅん、えぇと、あれはユニークスキルのお陰なんだ」
「ユニークスキルか、魔法じゃないならいいか」
「へ?」
俺の返事にエルは素っ頓狂な返事を返す。
「普通の人ならどんなスキルなんだーって聞いてくるけど…」
「いや、お前俺と同じ感じがする」
「どういう事━━」
「お前、友達少ないだろ」
「そ、そんな分けないだろぅ!!」
俺はエルの顔の横で囁くとエルは慌てて否定する
「なぁ、ここであったのもなんかの縁だ。話し相手ぐらいにはなるぜ?俺も友達少なかったんだよ」
「じ、じゃあ」
「短い間かもしれないがよろしくな!」
「よ、よろしく!」
基本俺はこんな事しないんだがエルを見てるとこいつとは仲良くなった方がいいと思えた。




