高いところ怖いの
よし、この街壊そうか。
朝食を見た瞬間俺はこう思った。
この街はバーサーカーである俺には居心地悪いし毎度毎度チキンランナーを使った料理が出てくる始末。
どう考えても俺に対する挑発にしか思えない。
「おい、早くこの街出るぞ」
「ル、ルアン?どうしたの?」
小声でファルに話すとファルは困惑した様にこちらを見て返事をする。
「このままこの街に居続けたら多分俺はこの街を破壊する」
「なんで?」
「バーサーカーの扱いに飯に使われてるモンスター」
「あぁ、そういう事……」
朝食を食べ、用意を済ませて飛行船乗り場へ向かう。
「いやぁ!いやだぁ!乗りたくないよぉー!」
暴れ回るはジェットコースターに乗りたくない小学生の如し。
「そんなに嫌なのか?」
「うん」
ケトはいつもの口調ではなく普通の話し方で話している。口調が変わるくらい苦手ってどんだけ苦手なんだよ。
「いらっしゃいませ、本日はどのようなご要件で?」
「ケット・シー領行きってありますか?」
「タマタビ公国とエノコロ街のどちらかになります」
「なら………タマタビ公国で」
「何名様でしょうか?」
「六人で」
「でしたら銀貨十八枚になります」
受付の人に銀貨を渡し、チケットのようなものを貰うと俺達は嫌がるケトを連れて飛行船へと乗り込んでゆく。
「だぁぁ!!いやぁだぁぁ!!」
「子供じゃないんだから!!大人しく乗って!!」
ケトを飛行船に乗せる為に連れていこうとするとゲートにしがみついて全く動かない。
「くっそ、その体のどこからこんな馬鹿力出してんだ?!」
「んふふふ、このまま掴まってれば乗せられまい」
「お前そんな話し方だっけ?とにかく!連れてくぞ!」
「剥がせるものなら剥がしてみやがってくださひゃあっ?!」
生意気なケトの脇腹をくすぐってゲートからひっぺがす事に成功する。
押してもだめなら引いてみろ、力がダメなら擽りをってね。
「何するんですかぁぁ!」
「ケトがわがまま言うからいけないんだよ?」
擽った事により無抵抗になったケトを割当てられた飛行船の小部屋へ入れる。
「大人しくしててよ?」
ケトに言いかけ部屋を出ようとするとキュッと何かにつままれる。
「高いところ怖いの、一緒に居てくれない?」
最近こういうの多い気がするな…




