散歩しましょ
街を吹き抜けるよ風が頬を撫でる。
こちらの世界は今どんな季節なのか、そんな事を思い浮かべたが次の風がそんな思いを連れ出しそんな事どうでもいいと思えた。
夜空には雲一つ無く無数の星が皆各々輝いている。星星が輝いている中、大きな星があった。
まずは月、夜に欠かせないというかこれが出ていなければ俺は夜とは認めないそれほど好きな月……に似た星。
更に月もどきの近くには紅く妖しく輝く星があった。
「なぁ?あの星って何なんだ?」
「何って、ルアンまさか火星も知らないの?」
火星?つまりあれか、他にも水木金土って星が近くにあるんか?
「他にもあんな星あるのか?」
「いや?無いよ?」
無いのかよ、少し期待した俺が馬鹿だった。
「あれは日によって色が変わる星だよ」
「マジで?」
「マジ、あの星は七日間かけて色が変わっていくんだよ」
つまりあれで一週間を測るってわけか。
「さすが魔法の世界なんでもありか」
「それどういう事?」
「おおっと、これ以上踏み込むと情報屋には戻れないぞ?」
「えぇ…」
「今のは聞かなかったことにしなさいね?」
イガラシに笑顔でそう言ってやると頭を上下にブンブンと振り肯定してくれた。
「素直でいい子だ、んじゃ散歩の続きしましょうか」
「そ、そうだね」
そのあとは何も無く夜の静寂を楽しみながら宿屋へと戻って行った。
宿へ戻り自分の部屋へと戻るとそこにはファルを始めその他のメンバーが何やら話をしていた。
おそらく女子会という奴だろう、どうせ俺の悪口かなんかを言っているのだろう
「………邪魔みたいだし俺また散歩行ってくるわ」
〜〜〜
再度夜風が吹き抜ける、別に外にいる必要は無いが俺はまた夜の街を徘徊する事にした。
夜の帳が降りた街はまるでゴーストタウンのように暗く静かで人っ子一人いない。
「静かでいいな、あっちの世界じゃこんな事無かったもんなぁ〜」
気分がいいので何気なく呟いてみる。昔から夜に歩くのは好きだった、でも学校という鎖に繋がれ好きな事がしにくい生活になってしまった。
この世界でならば自分の好きなように生きることが出来る、何故ならこの世界にはそんな鎖がないからだ。
「これだからこういう風に転移なり転生なりがしたかったんだ」
しばらく歩いていると前からローブを着た何者かがこちらへと向かってきた




