異世界初遭遇
チキンランナー用の罠を仕掛け終えた俺達は罠を仕掛ける前に見つけた広場にて焚き火を焚いていた。
「夕暮れにも気づかないってあなたアホでいらっしゃいやがりますか?」
「う、その事については謝るよ。でもその敬語もどきは何なんだよ」
「ほーはーふぁーふぅふぃはふぃはー」
「コラコラ流石にお腹空いたからって人の腕を食べない」
ファルは空腹のあまり俺の腕をガジガジと噛みまくっている。
可愛い、可愛いんだが恐ろしく痛い。
「はっへー」
「はいはい、ちょいとそこら辺の動物でも狩ってきますよ、だから噛むのはやめようね?」
そう言ってファルの頭を撫でて宥めると獲物を探しに森の中を歩き出す。
「完全に暗くなる前に戻らないと危なそうだな」
いつもの如く独り言を吐きながら森の中を闊歩していると何やら蠢く物を見つけた、そこで俺は気になってそれについて行く事にした。
しばらくの間それをスルースキルを活用して尾行していると別の方向から一匹、二匹とそれについて行き徐々にその数を増やしている。
何なんだこいつら?少し気になるな……鑑定
ハンターゴブリンLv5
ウィザードゴブリンLv7
ゴブリンシャーマンLv4
ゴブリンリーダーLv8
おぉぅ、団体様でいらっしゃいますか。でもそんな事より異世界初の魔物だ!!ゴブリンだ!!━━チキンランナー?ファフニール?ゴーレム?そんなもん知らん━━初の魔物との戦闘なんてワクワクすっぞ!!
情報を少しでも取り入れ勝率を上げるよう鑑定でゴブリン達を見た。だが鑑定を持ってしても名前とレベルと思われるぐらいしか出てこなかった。
魔物相手だと効果が弱まるのか?それか鑑定に慣れてないせいで失敗してしまったのか?
━━えぇい、そんな事考えるよりもこいつらを殲滅する手立てをみつけよう。
「ギギッ!!」
「グギャギャ!!」
「グギィ!!」
行動を見てるとなんと言うか幼い子供みたいなんだよな、幼い子供は手に棍棒なり石の槍なり持ってないけど。
「グ……ラ……ンギ……モ……イタカ?」
「アッチグ……マチョ………タカラ……ソ……カル」
「さ…んせ……ギ」
「かりに……いくぞ」
「了解」
シャァベッタァァァァァァァ!!!あいつら喋ったぞ?!どういう事なんだ?さっきまでグギィとかしか言わなかったのに。
━━ガサッ
やっちまった!!
「何かいる」
「獲物?獲物?」
「人型の音だ」
「どうするどうする」
「まず様子見しよう」
あれ?以外と知性的だな?てっきりサーチアンドデストロイかと思ったが……仕方ない、ここは大人しく出ていくか。
「敵対するつもりは無い(大嘘)」
「人間?!」
「おかしい、なんで人間この言葉喋れる?!」
「殺せ殺せ人間殺せ」
「本当に本当?本当に本当?」
「静まれ馬鹿共、ここは俺に任せろ。済まないうちの連れが騒ぎ立ててしまった」
「あぁ、いいよいいよ、所でさっきなんの話をしていたんだ?」
「それは━「さっき魔楮を見付けてこれから狩りに行くなんて言わないもんね!」━………おい、ハンターお前は馬鹿なのか」
「お前も苦労してるんだな……」
「人間にわかる奴がいてくれるとは」
「んで、その魔楮狩りのことなんだけど、俺も入れてくんない?」
「「「は?」」」
「人間、何故そんなことを言う」
ゴブリンリーダーは俺の発言が気に入らなかったのか殺気をのせた視線で睨んでくる。
「ん?あぁ、ただの食料不足だよ仲間が街で食料買うの忘れて腹空かせてね、さっさと獲物を狩って持ってってやんないとこっちが食われそうなんだよ」
ゴブリンリーダーにニヘラと笑いかけ答える。
「まぁいい、俺達の言葉を理解できる人間はそうそういない、こちらとしても魔楮を早く狩れるなら喜ばしい」
「おう、じゃあ決定だな短い間だろうがよろしくな」
「こちらこそよろしくたのむ、裏切ったら……」
「はいはい、腹を切る覚悟はできてるさ」
「ならいいさ」
こうしてゴブリン達と魔楮狩りを開始するのであった。
これからしばらく更新が三日に一回になります。




