邪神?登場なのだ
背後から威圧と殺気がとめどなく溢れてくる。
その威圧と殺気に当てられた俺は膝が笑っており冷や汗がダラダラと流れてくる。
━━逃げろ勝てるわけが無い
本能がそう叫び足がそれに従うようにその場から離れようと動く━━しかしそれはあまりにも遅すぎた
「逃がしはしないのだ、さぁ我輩と遊ぶのだ!!」
目の前に現われたのはサファイアのように澄んだ青い瞳に空を映し出したような青の髪をもった少女だった。しかし確実に普通ではない威圧と殺気からこの少女が邪神なのだと認めざるを得なかった。
「何ぼーっとしてるのだ、早く遊ぶのだ!!」
「あ、遊ぶって?」
「我輩長い間封印されていたから暇だったのだ、だから遊ぶのだ!!」
「へ、へぇーな、何をして遊ぶんだ?」
「鬼ごっこなのだ」
この子ほどルビの使い方を間違えてる子なんてそうそういないぞぅ?!
「ほ、ほかになにか無いかな?」
「それ以外の遊びを知らないのだ」
「なら教えてあげようか?」
「本当なのだ?」
「うん、遊び相手がいないんでしょ?なら、遊んであげるよ」
「やったのだ!!」
ふぅ、これで死ぬ事は無いかな?
〜〜〜
どこのどいつだ死ぬ事は無いとか言ったやつ出てこい!!
「また負けたのだ!!」
この言葉と共にカードが岩ですら切り裂くのではないかと思う程の速度で俺目掛けて飛んでくる。
「だあぁぁぁ!!」
常識を超えた速度で飛んでくるカードを時の無視を発動して間一髪避ける。
てかなんで時間止めてんのに動いてんだよ?!
少女《邪神》から放たれるカードは時の無視を発動してもせいぜい速度が10分の1になる程度だった、更にはその空間でも彼女は駄々をこねていた。
「もう一回やるのだ!!今度こそ負けないのだ!!」
「いいけどそろそろカードを投げるのやめてくれよ」
「わかったのだ」
何故この彼女とトランプが出来ているのかと言うとトランプ自体は幻影魔法で作っているのだ。なら何故カードが飛んでくるかというと仮面たちの溜め込んでいた資材の中から紙のようなものをぬす━━借りてきてそれを幻影魔法でトランプに仕上げているというわけだ。
それにしてもこの少女《邪神》かなり弱い、初めてトランプをしたというのもあるがとにかく弱い、何しろ顔にすべて出ているのだ。
「トランプは表情に出しちゃいけないんだよ?」
「む、むぅぅ」
「仕方ないじゃあもう一回ね」
〜〜〜
「やったのだ〜!」
「あーらら負けちゃった」
「我輩はぽーかーふぇいすとやら?は出来ていたのだ?」
「うーんまぁまぁかな」
見た目相応の嬉しそうな笑顔を見て「まぁ相手してやって良かったかもな」と呟くとファル達のもとへと歩き出す。
「どこに行くのだ?」
俺が歩き出すと彼女は泣きそうな顔をしてこちらへ問いかけた。
「仲間のところに行くんだよ」
「我輩を置いて行くのか?」
「わったよ、置いてかない、置いてかないから。お願いだからその潤んだ目で見ながら接近して来ないで」
俺がそう言うと彼女は腕に引っ付き置いていかれまいと並行して歩き出した。
この後ファル達に事情を説明して説得するのに30分はかかった。




