幻影魔法使い同士の争い
相手は幻影魔法使い手だ、つまりそれは同じ幻影魔法を封じられたらも同然だ。今幻影魔法以外で使えるものはスルースキル、テンペスト、風の加護(イガラシに掛けてもらった補助魔法)のみであり腰には攻撃できない刀ときた。
あれ?これ勝てなくね?
「ふははは!!貴様もネクア様の供物になるが良い!!」
「ネクラに取り込まれるつもりは全くないんで!!」
次の瞬間仮面が一目散に掛けてくるがそれをあえて無視する、すると突っ込んで来た仮面は体を透け後ろを未だに走る。
「んな?!」
「そこだ!!」
声の聴こえた場所へ刀を差し入れる。
「んぐぅ?!………ふははは!!フッハッハッハ!!何だこの子供だましは!痛くも痒くもないわぶあぁぁ?!」
仮面が叫んでいる中刀を入れた場所に思いっ切り蹴りをいれ刀を引き抜き切り付けまくる。
「痛い痛い!蹴りは痛い!なんだこの威力はあぁぁ?!」
「腕力482なんでねぇ」
「腕力は腕の力であろぐあぁ!!」
「言われてみればそうだな」
そんなやり取りをしながら斬ったり蹴ったりしていると違和感に気づいた。
「アイツ抜け出したな?」
目の前の痛がるフリをしている仮面を無視し辺りを見回し警戒する。
「我へと風の加護を与えよ」
その詠唱にイガラシが目を見張り驚いていたがそれを無視して仮面を探す事に集中する。
「お遊びは終わりだ!!」
声のする方へ視線を動かすとそこには仮面が立っており仮面に隠れていない口は二タニタと気色悪く笑っている、そしてその足元には倒れたファル達があった。
「そんなものを見せるってことは余程死にたいらしいね………テンペスト!!」
次の瞬間暴風が吹き荒れ仮面を切り裂きながら風の檻へと閉じ込める。その風に巻き込まれたファル達は霧となって消え去り唯一その場で笑っていた仮面だけが鮮血を晒すこととなった。
「貴様!何故!!」
「お前如きにファル達がやられる訳ないし、そもそも幻影魔法が使えるのは俺も同じなんだ。多少の違和感くらい感じる」
苦しそうに悔しそうに口を歪ませる仮面に向かってもう一度テンペストを放つ━━
「処刑の時間だ屑が」
━━その暴風は仮面の首へと吸い込まれ難なく両断した。
首を斬られ体が数回ピクピクと動くと力無く床へ倒れた。
「残念だったな邪神とやらはお前如きでは現れてくれないそうだぞ?」
動かなくなったソレへと言い放ち踵を返し他の仮面達を捻り潰すためファル達の元へと歩き出す。
━━しかし待っていたのは楽しい楽しい惨殺ではなく後ろから発せられる威圧とそれにより冷や汗が背中を伝う感覚だった。




