あの人気づいてますよね。
どのくらいの時間馬車に揺られていたのだろう。
ファル達が例の集団に連れ去られて馬車にしがみついて街から北の方角━方角と言うより北の門から━を体感時間で2時間ほど走り続けていた。
正直馬車酔いがキツいです、吐いていいですか?
まぁ今吐いたら見つかるから吐かないけども。
ファルから貰った加護がなければもうとっくに落ちていたであろう。
勿論スルースキルを発動させて息を殺し続けてなければ気付かれて落とされていたが。
「フフフ、この小娘共を捧げれば確実に邪神ネクア・フィート様を復活させることが出来るぞ!!」
馬車の中から先程ショーの説明をしていた?仮面野郎の声が聞こえてくる。
「はぁ、勘弁してくれ、なんだよ邪神って………邪神?!」
仮面共の発言のせいで思わずツッコミをしてしまった。
あいつらツッコミをさせる才能でもあるのか!?
『んなわけないでしょう』
頭の中に聞き慣れた、それでいて癒される声が響く。
『あらら?ファルさん?余裕そうですねぇ』
『マスターはどこにいるの?』
『ん?私ルアン、今あなた達の上にいるの』
と、ふざけている間に奴さん達のアジトに到着した。
「おい、てめぇらさっさと歩け」
アジトに着くと一人の仮面がファル達を乱暴に馬車から下ろす。
「もう少し丁寧に扱えネクア・フィート様に捧げる物だぞ?」
人の仲間を生贄扱いたァいい根性してんな━━
━━いいこと思い付いた
「へぇ〜そぅなのかぁ〜そのネクラニートとやらはまだお眠みたいだねぇ〜?」
「お前なんか言ったか?」
「いや、俺には何も「お前の耳がおかしいんだよタコが」
「タコ?まぁいい、ただの空耳か」
フハハ、「空耳か」だってさ!侵入者の発言を空耳で済ますとか警備ガバガバだな!
『それはマスターがすきるつかってるから』
『おっと、それはそうだねぇ。だって解除したらここで集中放火されるし』
『それにしてもそのスキル凄いですね』
正直ファルやシファーから貰い受けた力よりこの馬鹿みたいな能力の方が強いんじゃね?と思ってる。
息を潜めながら念話をしていると仮面の一人が何も無いところから何かを取り出しこちらを見つめてきた。
やばい!気付かれたか?!
次の瞬間何かが俺のいた場所へと飛んできた。
「何をしている」
「いえ、何かがいたような気がしましたので」
「無闇にナイフを投げるな」
「承知」
おっかねぇ、あの人どっからナイフ出してきたんだ?何も無いところからいきなり出てきたように見えたが。
冷や汗を流しながら息を潜め仮面達を尾行していく。
時々ナイフが飛んでくるがそれを躱しながら慎重にあとを付けていく。
てあかあの人気付いてね?




