サーカスの影
「さあさあ皆寄っといで!!これから始まるは世にも奇妙なショーだよ!!」
白塗りの仮面を被った怪しい男が周りの人間を呼び寄せる。
「アスさん、あれ面白そうじゃないですか?」
「お〜、たのしそう」
「さあ、まず始まるは猛獣達の芸でございます!!」
白塗りの仮面を被った男が叫ぶとテントから魔獸が飛び出し当たりは騒然とする。
「ま…魔獣だぁ!!」
「なんで街中にいるんだ!!」
集まっていた住人が叫び混乱に陥る中。
魔獣が飛び出しても白塗りの仮面を被った男は動じずにどこからか火のついた輪っかを取り出す。
「な、何をしているんだ」
「おいみろ、あの魔獣様子がおかしいぞ?」
魔獣は男が火の輪を取り出すのを見るとその輪に向かって走り出す。
「おいおい!」
「危ないぞ!!」
魔獣が男に向かって猛スピードで突進し、男に向かって飛びかかる━━
━━と、思われたがその魔獣は火の輪へ向って飛びこんで行く。
「ど、どういう事だ?」
「まさか、あいつら魔獣を飼い慣らしているのか?」
その言葉を聞いた瞬間白塗りの仮面を被った男の口が釣り上がる。
「さあさあ、皆様!!お次は燃えさかる灼熱のジャグリングでございます!!」
今度はテントから男と同じ仮面を被った集団が現れ一人を残し魔法の詠唱を開始する。
「「インフェルノ!!」」
仮面を被った集団が魔法を唱えると灼熱の塊が一つの仮面めがけて飛んでいく。
すると仮面は独りでに浮きそこからいきなり人が現れ、あろう事か灼熱の塊でジャグリングを始めた。
「さぁてさて!!これだけじゃありませんよ!!」
仮面の男が叫ぶと次は魔獣がジャグリングをしている仮面へと向かって走って行く。
すると器用な事にジャグリングの仮面は魔獣の背にとびのり、片足で立ってジャグリングをしている。
「凄いですね」
「ふぁんたすてぃっく」
ファルやアス、観客達が歓声を上げる中、仮面の影は蠢いていた。




