対阿呆娘専用兵器
王子、それは将来国を導く役目を背負った者。
この世の多くの者は王になる事にあこがれる、何故なら富、名声、権力このすべてが手に入るからだ。
人は欲望の集合体である。
動物は本能によって生きている。
しかし、人間の場合生きたいという欲望、飢えを満たしたいという欲望、その他の欲望によって出来上がっている。
そんな欲望の塊が一生遊んで暮らせる程の富や名声、権力を持った王を前にしたらあこがれないはずがない。
その結果、王子や姫は誘拐され王から富を奪う為の餌にされる。
「その二人はソロガス王国の王子と姫様だよ?」
「……………………………………今、なんて?」
「だからその二人はソロガス王国の次期王様と王女様だよ?」
「「おいアガナ」ルアン」
「「とてつもなく面倒な事になったあぁぁぁ!!」」
俺達は目配せをすると寸分違わず同時に同じ事を叫ぶ。
「はぁ、変なところで息ピッタリだな」
「「うっせぇ!!」」
「おうおう二人で怒鳴んな」
「おねーちゃん達は何者なの?」
「お姫様なのに随分砕けた喋り方だな」
アガナが少しキレ気味にマリーと呼ばれる姫様に問うと王子が姫の前に立ちふさがるように入り込む。
「マリーは基本こんな感じに人と話すんだ、お父様やお母様にはちゃんとした喋り方なんだぞ?」
「ヘイヘイ」
それを見たアガナは首を少し傾け、気だるそうに返事をする。
「幽霊のお兄さんはどうしてそんなに疲れた様な顔をしてるんですか?」
「幽霊言うなし!!てか疲れてんのはほぼ君たちのせいだかんね!?」
残りはこの街の規定だったりファル達と離れた事によるものだ。
ネスとかルスとかならまだいいがファルやアスが心配だ━主になにかやらかさないかが━
「もうどうでもいいから早く飛行船に行こうファル達が心配だ」
「んじゃあこの子達は君達が抱えていってね?」
「たく、いい性格してんな」
アガナと俺は姫と王子を抱えて裏路地を走ることとなった。
もう一度支援魔法をかけてもらい裏路地を駆け抜け一気に大通りに出た。
「なぁ、あんまり人に見られたくないんだが」
「普通に歩いていれば捕まりはしない……と…思うよ」
「また捕まるなんてまっぴらだかんな?」
イガラシは苦笑いをしながら視線を逸らす。
「おい、こちとらさっき牢にぶち込まれてたんだぞ?さらに今はお姫様と王子様抱えてんだぞ?」
「い、いやぁ〜大変だね」
まぁ勿論こんな奴には問答無用でやってやったよ対阿呆娘専用兵器、やられた方はもちろん涙目だったけど。
「さっさと飛行船に行くぞ」
イガラシは涙目で頷き飛行船へと案内をする。




