タネ明かしと行きましょうか
「で?どうしてあんなことをしたのでしょうか?」
「デジャブだ……」
「声が小さいですが?」
俺はまた怒られている、今度はイガラシにだ。
「敵を騙すなら先ず味方からってよく言いますし……」
「私の故郷では主を護れ無いことは恥なのですよ?」
「それについては済まないと思う」
「お前、生きてたのか」
イガラシにお説教されているとアガナが横から入ってきた。
「首を斬られて何で生きてんだ?」
「あぁその事か、初歩的な事だよ、友よ。
まず扉を開ける前に幻影魔法を使って俺と同じ動きをさせる、そうする事で扉を開いた時に違和感がなくなるし、相手に魔法を使ったことがバレない、まぁ念の為だったんだがね?
イガラシが男達を倒した後増援を警戒して部屋の真ん中で俺のユニークスキルを発動させ気配を断つ。
そっからはあの男の後ろに回って先程倒した男達の武器で心臓をブスリとする。どうだい?簡単だろ?」
「だが首を斬られた時はどうしたんだ?首の落ちる音までしたぞ?」
「それも簡単なことだよ。幻影を部屋にあった扉付近に立たせ、もし増援が来た場合わざと死なせるようにする。
そうすれば相手は一人減ったと多少なりとも油断する。
首が落ちる音は男達の死体の首をとって実際に落とした。」
「見てからだと追いつかねぇだろ」
「相手は一撃でこちらを仕留めたいはずだから狙うのは急所に絞られる、その中から目線を送っている急所を探り相手が首を斬る前に斬り落とせばいいだけの話だよ」
「あなた、何者ですか?」
「ただの空気ですが何か?」
「……………まぁそういう事にしておきましょうか」
イガラシはやれやれ、といったように肩を竦める。
「ロリショタ大丈夫か〜?」
「あの人ってたまにわけわからないこと言いますよね」
「だな」
少年少女は泣きながら身を寄せあっている。
「もう大丈夫だよ?」
「ゆ、幽霊!!」
「助けて!!おねーちゃん!!」
「俺は死んでないわ!!」
「自業自得ですね」
「だな」
イガラシとアガナは顔を向かい合わせると微笑みルアンの無事を喜んだ。
「おふたりさーん助けて、俺が助けたのに懐かれるどころか怖がられてる」
「二人共、この人は嘘つきだから信用したらダメだよ?」
「オイィィィイ!!さっきの恩は?!」
「はいはい、この人は嘘つきだけど幽霊でもないし悪い人……では……ない?まぁもしこの人が悪い人でも私達が護るから安心してね?」
「「はーい」」
「酷い言われようだな!!」
「雇い主の事あんま知らないしなー」
「そうデスねー」
ずんずんイガラシが近付いて目を輝かせて質問して来る。
「あなた、もしかして魔族だったり?」
「いや、違うよ」
「魔族の中には相手の名前と職業を見る能力がある魔族もいるんだけど……違うとなるとますます怪しい」
「ど、どうしてだ?」
あぁもしかしてあの時の事か……
「何故名前も明かしていないのに私の名前を呼んだので?」
「名前って?」
「さっき言ってたじゃないですか」
「し、知らないなぁ」
声を震わせながら誰にでもわかるような嘘をついた。
すると、イガラシは溜息をひとつ吐くと俺の額にペシりとチョップを入れ死体を端に寄せると扉の前で立ち止まった。
「その子達を元の場所へ返してあげましょう」
「そうだな、お前達どこから来たんだ?」
「その二人はソロガス王国の王子と姫様だよ?」
その台詞に俺とアガナは固まった。
イガラシの喋り方が定まらない……(ど阿呆)




