バーサーカーは即・逮・捕
しばらくファルに乗っているとふとサツキがあることに気づいた。
「あなたの持っているって魂浄刀?」
「うん?そうだが、なんでわかったんだ?」
「なんでも何もそれ兄貴が作ったものだもの」
「マジで?!」
「変な名前でしょうそれ」
「ま、まぁそうかもな」
「兄貴ネーミングセンス皆無だからなぁー」
おいおい兄貴よ……妹にボロクソ言われてるぞ……技術は良いんだろうに…いや、ネーミングセンスを犠牲に技術を上げたのか?!
「それなら一度会ってみたいな」
「どうして?いいことなんてないわよ?」
「まずこれを作った人がどんな人かこの目で見たい。もう一つは新しいのを作ってもらいたい」
「へー物好きもいたものね、普通の人なら気味悪いとか言ってくるのに」
「俺の故郷では昔この武器を使って戦闘をよくしていたらしいぞ?」
「そんな話聞いたことないのだけど、こんな武器を使う人がいたなんてね……」
「名前はともかくカッコイイと思うぞ?」
周りから冷たい視線を感じるが得意のスルースキル━ただの無視━を発動する。
「なぁ、そろそろこいつから降りた方が良いぞ?これ以上行くと街が混乱するぞ?」
「そうだな、ファルどこか適当に降りてくれ」
『わかりました、ではそこに降りますね』
それは森の中にある泉であった。
「ここなら水を確保できるし長時間飛んでいたから休憩しようか」
「賛成です、私ずっと飛んでいたので疲れました」
「お前なんでドラゴンなんて従えてんだ?」
「ん?従えてるんじゃなくて友達だが?」
またもや冷たい視線を感じるが得意の(略
「んで?ここからケット・シー領まではどうやっていくんだ?」
「ここから歩いて行ける街があるからそこによって飛行船に乗るのがいちばん早いな」
「でもお高いんでしょ?」
「飛行船には一人銀貨五枚は必要だな」
この世界の通貨で言われると高いのか安いのかよく分からない。
「でしたらここは私がとびま━━」
「「駄目だ」」
「声を揃えて否定しなくてもぉ……」
ファルの気持ちは嬉しいが街を混乱に陥れる危険性があるためここは大人しく街まで行って飛行船に乗る事にする。
「飛行船ってのはどこの街にもあるのか?」
「いや、あるとしても城下町くらいだな」
領を県に例えると○○県の中の○○市に空港があるみたいなもんか。
「とりあえずそこに行くとしようか」
「そこは私が飛んでいけば━」
「せいや」
━━ペチン!!
「あうぅぅ?!」
人型ファルにいい音を立てデコピンをかまし、持ってきた水筒に泉の水を入れる。
「こっからはどうやって出るつもりなんだ?」
「さっき降りる時に見たけど、あっちの方に街があったよ?」
「ならその方向に行くか」
「了解」
次の街はどんな感じなのだろう楽しみだ━━
━━と思っていた時期が私にもありました。
「なんで捕まらなきゃいけないんですかねぇ」
「お前の連れがあんなんだからだろ」
「お前が凶悪な面してるからだろ」
「んだと?」
「やんのか?」
騒ぎに気づいた看守が牢屋の鍵を開けアガナと俺を引き離そうとする。
「お前ら大人しぐっ?!」
アガナが首を絞め俺は手や足を持っている縄で縛る。
「ふぅ、にしても牢屋に入ってくるとかこの世界の看守の知能低過ぎねぇか?」
「いや、お前なにサラッとそんなもん出して縛ってんだよ」
「奴隷館からくすねてきましたー、武器以外回収されなかったしねぇ?」
「そ、そうか」
そう、今俺らは目的の街マドレの牢獄に捕まっている。
あの後森から出た俺らは道中何事も無く街についた。
しかし、男二と少女四と二十の女一の構成で怪しまれることとなり。
いや、関係ないかな?それは置いといて。
門番専用のスキル職業『鑑定』によりバーサーカーの俺とアガナは街の規定という事で御用となりました。
「街の規定でバーサーカーは即逮捕ってどういう事だよ!!」
「確かにここはそんな規定あったな、確かバーサーカーや狂戦士は殺人を起こすとかなんだかでこの街では即牢獄行きなんだと」
「早く言えよ!!」
だからゴリラさんやカウンターのおっちゃんがあんな顔してたのか。
狂人は辛いよ。
看守を縛り上げ床に転がすと時の無視を発動しアガナを運ぼうとする━━
「何しようとしてんだ?」
こいつ動くぞ?!
時の無視が失敗したと思い鑑定でMPを見てみるもまだまだ余裕がある。
時の無視は発動者と同格以上のものもしくは仲間を止めることは出来ないのであろう。
「なんでもない早く出よう」
アガナに告げると牢獄から抜け裏路地へと向かった。




