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解決策

「━━ファルを……倒す」


その一言に辺りの兵士達は歓喜し、アスを始めとしたファルを知る者は言葉を失った。


「ちょ、ちょっと待って欲しいっす!他に方法は━━」

「無いよ」


ルアンの発言にいち早く反論するフィルだったがそれを制するように冷たいアスの一言が刺さった。


「結局こうなっちゃうんだね」

「アス、どういう事なんだ」


全てわかりきっていたような様子で言うアスにルアンが問いかけるとアスは口を開け


「私はこれで32回目の世界を見てるの」

「つまりアスはこの選択を31回見てたって事?」

「違うよ、別の世界ではみんなが死んだりルアンだけ生き残ったりしてる。勿論ファルだけが死ぬのも……」


アスはそう口にし、アテナから槍を受け取るとルアンに渡す。


「大丈夫、この世界でやっと良い方法を思い付いたから。私が何とかする、マスター……世界を救って?」


アスは儚く今にも消え入りそうな微笑み否、作り笑いを浮かべるとルアンの背中を押す。


あぁ、これはそういう事なんだな


ルアンはアスに押された感覚を感じながら自分の持ちうる力を全て使いファルへ向かい投擲した。


投げられた槍は寸分違わずファルの心臓を貫きその痛みにファルはこの世界全てに届く程の悲痛な叫びを上げボロボロと崩れ去っていきながら落ちてくる。


「マスター、行こ」

「うん」


アスの一言に確信を得たルアンはアスを抱き上げ落ちるファルの真下まで全力で走り始める。


ファルの真下まで辿り着くとアスを降ろし二人で上を見あげる。


「長い間頑張ってきたんだもん、少しぐらいワガママ言ったって良いよね…………私の命を使ってファルを助ける事ぐらい許してくれるよね」

「そんなのワガママに入らないさ」

「マスター」

「なんだ」

「だぁいすき」

「俺もだ」


落ちてきたファルを受け取るとゆっくりと地面に下ろす。

その時頬に一瞬小さく柔らかい感触がし、そちらを見るとアスが淡い光を発しファルの心臓へと両手を当て目を閉じていた。


「お別れ」

「おう…………」

「楽しかったよ、マスター」


その言葉にルアンが返事をしようと口を開けるがその時には既にアスはピクリとも動いていなかった。


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