四柱
邪竜神を倒す算段が揃ったルアン達は早々に決着をつけるために急いで邪竜神の元へと駆け付ける。
「ぐっ、何故だ、何故力が出んのだ」
「あっそれ私の働きですねぇ」
邪竜神の少々苛立った声にメフィストフェレスがおどけた様子で返すと邪竜神の射殺すような鋭い視線がこちらへと向けられてくる。
「おお怖」
「おぉ怖」
「おっ怖」
「そこな神二柱、悪魔一柱、一応敵が前にいるので気を張ってくださいね」
ルアンを始めハデス、メフィストフェレスが全員で両腕を身体に付け自分を抱きしめるような格好でふざけていると後ろからアテナが微笑ましいものを見るような目で見ながら忠告をする。
「流石私達のお父様ですね、やはりあなたに作られた者は皆あなたのようにふざけるのが好きみたいですね。一人例外はいるようですが」
三柱のふざけた様子にアテナは微笑を浮かべながらその様子を見守り 私もそっちでふざけたかったんですけど、と漏らしていた。
ファルを除いてその場の全員がふざけていると邪竜神の顔に青筋が浮かびだし無言で拳を振るい始めた。
しかし弱体化されているため先程の大振りの拳よりも数段遅く全員簡単に避けることが出来ていた。
「むうあぁぁぁ!!死ね!死ね!死ねぇぇ!!」
「そんな攻撃じゃぁ?」
「この私たちに〜」
「傷一つつけられないぜ?」
邪竜神は黒い刃や光線、拳など全てをフル活用しその場にいる者を全て消しさろうとするが尽く避けられていく。
邪悪な雰囲気を醸し出している巨大な神もどきの攻撃を他の神や悪魔達がふざけ煽りながら避けている様はとてもこの世界の命運を背負った戦いとは思えなかった。
「おい、見つけたか?」
「まだだねぇ」
「あと少し時間を下さい」
「あらかた検討はついてますよ」
「アテナさんマジっすか」
「マジですよ」
四柱は一箇所に固まると先程までのふざけた表情とは打って変わって真剣な表情で会話を始める。
「今見たところ腹部と胸部に反応がありました」
「なるほど、あのふたつをカッ捌けば杖とロキが出てくるかも、と」
「そんなところですね」
「ならそこを集中力的に狙うぞ」
「「了解」」
ルアンの号令にその場にいた全員がしっかりとした声で返事をしバラバラに離れてターゲットに向け弾かれるように飛んで行った。
しかし、そんな中ファルだけはどこか元気がない様子で立っていた。




