悪魔再来
「あー、くそ痛てぇ」
「大丈夫?」
「問題ない」
口の端から血を垂れ流すルアンにファルが心配そうに声をかけるとルアンは作り笑いをしファルにそう返す。
正直な所あいつに勝てる気はしないんだよな。
まずリーチで負けている、あいつはロキの使っていた技を使え遠距離攻撃ができる。
次に火力、あの一撃で若干意識が遠のいた上に一発でこのザマだ。
そしてあの装甲だ、ゲイ・ボルグを投げ付けても浅い傷程度にしか入らなかった。
これを何とかしないことにはまず勝つ事は出来ないだろう。
『主、こんな時こそこんを使って』
邪竜神のことについて頭を悩ませていると手に納まっているこんがキラキラとした念を送ってきた。
『こんならあんな黒い刃のなり損ないとでっかい人を簡単に斬れるよ』
うぅむ、確かに俺の努力次第ではどっちも斬れるだろうな、黒い刃の方は多分魔法的なものだから容易に。
でも肝心のあの神もどきはどう攻撃すりゃいいのか分からねぇな、こんじゃリーチが無いし他のものだと速さが足りない!!
もとい火力が足りない。
「お困りですかぁ?そんな時はこの私におまかせを〜」
「…………メフィストフェレスか」
「お久しぶりですねぇ、元気でしたか?今は見ればわかりますけど」
「煽りに来ただけか?」
「いえいえ、滅相もない」
ムカつく薄ら笑いを貼り付けたメフィストフェレスを睨み付ける、するとメフィストフェレスはその薄ら笑いを崩さず両手を前にだし手首から下だけを動かしふざけた態度で否定する。
「いやいや、この前お会いした時もこんな風にキレてましたねぇ?」
「お前がタイミングが悪いだけだ、そんな事より対処法があるんだろ?」
「おやおや、流石ですね。ご明察です」
メフィストフェレスはルアンの発言に指を鳴らし、その鳴らした手を流れる様に変えルアンを指さす。
その動きに少々イラッと来たルアンはメフィストフェレスを小突くと本題に移させる。
「ルアンさん、あなたの創造神としてのリソースを用いあの破壊マシーンを弱体化させ、更にあなたを強化することが出来ますよ?」
先程までのふざけていた顔から一変して真剣な顔をし、見るものを射殺すような威圧的な視線になる。
「なんだか雰囲気的に俺にそんなことをさせたくなさそうだな」
「当たり前でしょう、あなたは他ならぬ創造神様。そんな方にこんな選択して欲しくはないのです」
「前は楽しそうだったが」
「あれはあなたの大切なものを守るためにやったことですから、罪悪感なんて少ししかありませんでしたよ」
ルアンは少しはあるんじゃねぇかと心の中で突っ込みつつその手段を選択するか否か頭を悩ませる。
「あいつとこのまま戦って勝率は分かるか?」
「正確な数字は分かりませんが五分五分…………いえ、破壊マシーン七の創造神様三ですね。私が手を出せば寿命が向こう十八年の代わりに五分五分程度になるでしょう」
「よし決まりだやれ」
「即等ですか」
ルアンの即答にメフィストフェレスはぐったりとしたような顔をし、肩を竦ませる。
「三が五に増えるんだ、二割が戻ってきたならやるしかないだろ?」




