目から光線?いえ、口からです
「んぬぅあぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
ルアンが投擲したハンマーにより倒れていた邪竜神が雄叫びを上げ、部屋全体を震わせながらながら起き上がる。
「ブフッ、お前余裕そうに受けて倒れてやんの」
「貴様ァァ!!この我をコケにしおってぇぇ!!」
ルアンがわざとらしく口に手を当て大きな声で嗤うと邪竜神はくしゃりと顔を歪めると腹の底から煮えくり返った怒気を込め叫び声を上げ大きく振り上げ、ルアンへ向け怒りに身を任せに振り下ろす。
大振りな攻撃だったためルアンは余裕を持ってそれを避けると舌を出して更に挑発しながら邪竜神の周りを走り出す。
「おやおやぁ?当たらないなぁ!?」
「貴様ァ直ぐに殺してやる!!」
大振りな攻撃では避けられてしまう悟ったのか口から光線を出し更にロキの使っていた黒い刃による攻撃を合わせ本気で殺しにかかってくる。
口から放たれる光線は軌道がわかるため余裕を持って避けられる、だが如何せん黒い刃の出処が飛び出る前の何コンマまで分からないため余裕が無い。
「クハハハ!!どうした、先程の余裕はどこに行った?」
「怒ったり笑ったり忙しいな、だが一発たりとも当たってないぞノーコン」
余裕がないのを見破ってか邪竜神が口から光線を放ちながら笑うという器用な真似をしているので煽ってやると血管が浮き出そうな程顔を顰める。
そして邪竜神の顔が下にいるルアンに向いたその瞬間。
「今だファル!!」
「せえぇぇい!!」
ゴッといういい音を立てファルが邪竜神の頭を蹴り飛ばし口から光線を出しながら忙しなく表情を変えていた顔を邪竜神の身体の方向へと向ける。
━━ジュウゥゥゥ…………
「アグァァァアア!?」
顔が身体へと向いたため放っていた口の光線が上半身と下半身が別れる程ではないものの邪竜神の腹部を焼き切る事となった。
「馬鹿だな、俺に気を取られてもう一人に気が付きやしないなんてな」
「おぐおぉぁあ」
「これハデス来なくても倒せるんじ━━」
その言葉を言い切る前にルアンは一瞬で壁に叩き付けられた。
「あ?」
突然の事に思考が追い付かず呆けた声が口から漏れ出る。
「クフ、クフハハハハ!!貴様ァ我がこの程度で痛み悶えると思っていたのか?浅はかよな、おやおやぁ?虫の息ではないか、大丈夫かぁ?」
「馬鹿言え、俺は夏休み最終日に宿題をまとめてやるタイプだ。追い詰められてからが本番だ」
口から血反吐を吐きながら無理矢理口を吊り上げ邪竜神を嗤うとスルースキルを使い一旦その場をファルと共に離脱する。




