=邪竜神
「ククッ、ハハハハハ!!素晴らしい、邪神の力に神の力、良い…最高に素晴らしい!!」
魔王が自分の身体を見回し部屋が震える程の声で笑う。
「そうだな、我はこれから邪竜神と名乗ることとしよう」
魔王改め邪竜神とやらは自分が強くなったことに気分を良くしたのかスルースキルで隠れてるとはいえかなり大きめの声で独り言を続けている。
「さて、このままでは上半身と下半身が別れたままだな、この魔方陣を消去してこんな狭い部屋ではなく地上に降りたってやるとしよう」
邪竜神は独りでそう口にすると魔方陣に手を当てる。
すると魔法陣はマ〇リックスの様に1と0が規則的に並んだ文字列へと変わっていく。
『創造神様、魔王が目覚めてしまいました!!』
『それ知ってる、しかも目の前にいる』
『えっ?』
『邪竜神とか名乗って召喚された魔法陣消し始めてる』
突然入ったアテナからの連絡にルアンは冷静に現状を伝えると、アテナはかなり焦った様子だった。
『もし魔法陣が壊れて完全な状態になったらこの世界が全て崩壊されてしまいかねません、今からハデスをそちらに送るので彼と共に上半身との相手をしてください、こちらは地上に降りたって下半身との相手をします。』
『分かった、取り敢えずハデスが来るまでは魔法陣破壊の邪魔をすればいいのか』
『よろしくお願いします』
アテナはそう残すと通信を切り、恐らく地上の方に向かった。
「こっちはこっちの仕事しますか」
「あれを倒すの?」
「イエス、あの上半身だけの状態野郎をぶち殺すんだと」
「やっちゃうか」
ファルとひそひそと話し合うと魔法陣のすぐ近くまでスルースキルを発動している状態で近付く。
「よし、行くぞ!」
ルアンのその合図と共にファルは翼を生やしルアンの上空へ、ルアンは次空間から何やら武器を取り出した。
「こんのいやいやにより封印されし我が作成武器ナンバーワンゲイ・ボルグ!!」
ルアンは少し前に使った槍を取り出すと憤怒を発動し身体を大きく捻り邪竜神に狙いを定め一気に投擲する。
ゲイ・ボルグがルアンの手を離れ数秒すると無数の同じ槍が現れ邪竜神に浅く刺さる。
「ぬぅ、この我に傷を付けるものは何だ」
「創造神様ですがなにか?」
「ほぅ?創造神様の名を語ると、世界の前にいち早く貴様を消し炭にしてやらねばな」
「やれるもんなら━━━」
即座に次空間からハンマーを取り出しマイ〇ィーソーの様に邪竜神の顔面目がけて投げ付け、それを邪竜神は余裕を見せるようにそのまま受けると家庭用にある床置きのサンドバッグの様に上半身を床に打ち付ける。
「━━━やってみな?」
降り抜いた姿勢で倒れた邪竜神を見ながらルアンはニヤニヤと嗤う。




