魔王×邪竜×神
ロキとルアン、ファルが互いに構える中、先に動きだしたのはロキだった。
ロキは地面に杖の石突を床へ突き立てると両手から紫電を発し始めた。
それを見たルアンは瞬時に次空間から岩石をロキとの間に出現させ飛んでくるであろう紫電を事前に防ぎ、視界を遮る。
「チッ、めんどくさい」
ロキが舌打ちをすると岩石の後ろからルアンとファルが左右に二人ずつ出てくる。
「幻影魔法ですか、そんなものこれで何とでもなる…………いや、こうか」
ロキはボソリと呟くと床に刺さっていた杖を抜き、くるりと回転しながら右に避ける。
その瞬間先程までロキの居た上からはルアンがこんを上段から振り下ろし、真後ろからはファルが足の爪で首のあった場所を抉るような蹴りが飛んできた。
「危ない危ない、貴方のスキルは厄介です。でも創造主様らしい、あぁ……早く消えてくれないかなぁこの世界」
何かが外れている様子のロキは杖から黒く怪しい光を発し、口を三日月のようにつり上げる。
「ふ、ふふふふ……なんで、なんでいなくなってしまったのですか。私はただいつもの様に楽しく話していたかった」
ロキが徐々に壊れていく中、怪しい光を放つ杖から無数の武器が現れ、次々にルアン達目がけて飛んでくる。
「気張れよ!!」
「もちろん!!」
ルアンとファルは気合いを入れ直すと飛んでくる武器を次々と払い除けながらロキの元へと進んで行く。
飛んでくる剣をこんの腹を使い凌ぎ後ろへ流し、ファルの死角から飛んできた斧をナイフの射出で弾き飛ばす。
するとファルを守るためによそ見をしていたため視線を戻すと既に飛んできた武器が目の前まで来ていた。
「ふっ!!」
ヤバイ、と思ったその瞬間ファルの拳が武器を打ち砕いた。
「う、うぉ、ありがとう」
「どういたしっ、まして」
ファルに感謝をしつつ飛んでくる武器を凌いでいるとやっと魔力が切れたのか諦めたのか武器の射出が止む。
「今だ、行くぞ!」
その瞬間をルアン達は逃すことなく即座にロキの元へと駆け出す…………が、ルアン達が駆け出しロキの元へと近付くと突然地面から魔法陣が浮かぶ。
『「くクク、あハはハハハ!!コレで、これデこの世界ハ終ワりダぁ!!」』
左手を顔に当て不敵に笑うロキからはロキの声と共にノイズのような声が混じっていた。
『「あアァ、クソとカゲで番ダぞ。」』
ロキはそう一言言うと玉座の横に転がっている水晶玉を手に取ると魔法陣の中に放り投げる。
『「さア、来い魔王。創ゾう主サマが作り出した初キカ装置よ!!このトカゲノ力を使エ、私達ノソウゾウ主サまへのかタ道キッ符よ!!」』
ロキが叫ぶと魔法陣から人に近い人ではない形の何かの口がファフニールの入った水晶玉を一呑みにし出現する。
「グアァァァア!!」
ファフニールを一呑みにした後、腕を魔法陣から出しその手でロキを鷲掴みにした。
『「ア?何ヲする!!やメろ!!わタシは!!創造しュ様ニアウンダ!!ヤメてクレ!!」』
ロキが必死に抵抗するも魔王の高速から逃れることは出来ない。
『「いヤだ……わタシハ、ただ創造主様トまたおハナシしたかっタだけナノニ…………助け━━」』
ロキが助けを求める声を言い切る前に魔王はロキを飲み込み眩い光を放ち始める。
「うっ」
「ぐっ、させるか!!」
ルアンは明らかな強化を始めた魔王に光で照準が定まらない中次々と次空間からナイフを射出し、念の為にスルースキルまで使いその場を離れ安全を確保する。
眩い光が収まった頃、正面にはファフニールのような鱗と角、そして先程よりも格段に人間に近くなった顔の魔王が上半身だけを魔法陣から出しそこにいた。




