罪の償いPart2
俺は今生まれて初めて負けた。
そして何か邪悪な物が俺から抜け去ったような気がした。
「早く…殺せ」
「断る」
「何故だ…」
「お前には罪を償うために働いてもらう」
「な……に?」
俺は罪を死ぬ以外で償える奴ではない
「お前らには傭兵になってもらう。そして今までの分人々を救えそれがお前にできる償いだ」
「傭兵……だと?」
こいつは何を言っているんだ?俺が傭兵など出来ると思っているのか?
「村を護り人を助け罪を斬るそれがお前達、断罪傭兵団の役目だ」
「俺に……傭兵など…出来るわけないだろう!!」
「いや、出来るね。見ていてわかったお前は俺を斬るのを躊躇っていた」
「んなわけねぇだ━」
「お前は悪人しか斬れない、そうだろ?」
こいつは何を言っているんだ。
「俺は気に入らない奴を手当たり次第斬ってきた……それだけだ」
「その気に入らないやつになんの罪もないやつが含まれているのか?」
「それは……」
「否定出来ないだろ?ここに切り刻まれている奴はここで悪事を働いている奴だろう?」
「だから何だ」
「だからお前には断罪をしてもらう。」
「ハッ馬鹿馬鹿しい。死なせてもらう」
俺にはそんな事をするなど許されない
「嘘ついてんじゃねーよ。本当はそんな事思ってないだろ」
「しつけーぞ」
「俺はお前がイエスというまでこの話を続ける」
「あぁ!わかった!!どうなっても知らねぇからな!!」
「それでいい」
何なんだこいつ、頭狂ってんじゃないのか?
俺が悪人以外斬れない?俺は村人達を奴隷にしてるんだぞ?
「本当はお前は村人達を奴隷にしたくないんだろ?」
「何故そう思った」
「勘だよ勘、俺の勘は変な所で当たるんだよ」
勘で俺の事をそこまで言うとはな……こんなクソみたいな世界大っ嫌いだがこいつは捨てたもんじゃないかもな。
「ハッ馬鹿かお前は」
「あぁ馬鹿だ馬鹿で何が悪い」
魂浄刀に殺傷能力が無くて良かったかもしれねぇな。
もしあったとしたら狂化しているのに俺を殺す気で斬りかかって来なかったのに気づかなかったかもしれねぇな。
「何故悪人しか斬れないのにこんな事してるんだ?」
「俺は本当は貧しくて行き場のない奴にちゃんとした生活をさせたかったんだ。だが部下共が村から攫ってきたり腐れ外道に売り払ったりしやがったんだ。」
「なるほどな、なら尚更傭兵になった方が良くないか?」
「何故だ」
「そういう輩から村人達を護って稼いだ金で施設かなんか建てればいいんじゃねぇの?」
「施設ってなんだよ、第一貧しい村なんて依頼してこねぇだろ」
「貧しいやつには安く貴族達には高く仕事を受けおえばいいんじゃねぇか?」
「なるほどな、で?その傭兵団ってのはどこだ?」
「これからお前に造ってもらうつもりだが?」
「お前なぁ!!」
「これから頑張れよ?アガナ団長」
「だあぁどうせお前のことだから何言っても聞かねぇだろ………いや、お前なんで俺の名前をし━━「お?この短い付き合いでよく分かったね、名前については教えん」
「やっぱりな!!」
「さ、ここから出るぞー」
「おいてめぇ待て!!」
この二人のやりとりは傍から見ると仲のいい友人同士がふざけているようにしか見えないだろう。
「ねぇ、私はボスを連れて来いって言ったわけじゃないんですけど……」
「あぁ奴隷館のボスは殺したぜ?今ここにいるのはボスだった人間だ」
「俺の部下共が悪い事をした……信じてもらえないだろうが俺はこんなことしたくはなかったんだ、本当に済まなかった」
「嘘でしょ!!ネス、この人嘘ついて━」
「この人嘘はついていないよ」
「依頼は果たしたよ?耳モフさせ……やっぱりやめときます」
「まったくもうまったくもう」
ファルが膨れているのを見ていると耳モフなどどうでも良くなった。
「まったく酷いわねあんな所に置いて行くなんて」
「あ、サツキ」
「あ、じゃないわよ!!」
「これからの予定としてはこの猫2人とそこのペタンぬ1人を村に送り届ける事だな」
「ペタンぬって何よ、なんか侮辱されてる気がする」
「確かケット・シー領の方がエルフ領よりも近かった気がしますが」
「じゃあまず子猫二匹を送り届ける事からか」
これでこれからの方針が決まったな。




