踏み出す一歩は残念な
ルアンは胸に決意を抱き一歩前に出た。
しかしルアンが一歩足を踏み出したその瞬間一部の床が消え、前に出した足は踏み締めるはずの床を失った反動で床が消え代わりに現れた穴に思い切り突込む事になった。
前に出した右足に体重をかけていたルアンは右足に引っ張られるようにして穴へと落ちていった。
「ルアン?!」
落ちかけているルアンに逸早く気が付いたファルは大急ぎでルアンの落ちた穴へ飛び込みルアンを引き上げようとする━━
━━がファルが飛び込んだその瞬間図上に空いていた穴は閉じられ辛うじて掴んだルアンの手のぬくもり以外感じ取ることが出来なかった。
「ルアン、大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「暗いね」
「暗いな」
「ちょっと怖いかな」
「何か出てきても守るよ」
暗く何も見えず何も聞こえないこの場所で手を繋ぎ互いの存在と温もりだけを感じている二人は何処かぎこちなく会話を交わす。
「ちょっと待ってて、今明かりを出す」
ルアンが一言ファルに言いながら魔法により明かりを生み出すと真っ暗な闇を優しく照らし視界が復活する。
しかし、その復活した視界いっぱいには人のものと思われる骨が山のように積まれていた。
「〜〜〜!?」
「ストップストップ落ち着いて、俺が死ぬ」
視界に突如現れた大量の骨にファルは驚き、ルアンに肋骨が折れるのではないか心配になるほどの力で抱きしめる。
「ヒューヒュー、お熱いこと」
ファルの肋骨ぶち折りホールドに苦しんでいたルアンだったがその声を聞いた瞬間、ファルを片手に抱えもう片方の手をこんを声のする方へ構え戦闘態勢に入る。
「物騒だねぇ、そんな警戒しないでいいのに〜まっ、してなかったらしてなかったでいきなり奥の手でもう殺してたけどね」
一切の油断もせず声のする方を向き周囲警戒をしているとカラカラという音が周囲から聞こえてくる。
「ここの骨達はねぇ結構強いんだよ?」
「流石ラスボスのダンジョンだな」
ルアンはロキの言葉を前から後ろに流すと魔法で作りだした大きな光を放つ球体を天井に打ち上げ辺りを見回す。
すると周りには十や二十ではきかない数え切れないほどのスケルトンが立っていた。
「小手調べなんだからこんな所でくたばってくれないでね?」
魔法により照らされ現れたスピーカーのようなものからロキの嘲笑うような声が聞こえてくる。
「やってくれやがったな」
未だに怖がって目を開けないファルを脇に抱えたルアンはこんを握り直す。




