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救急事態

あまりシリアスは得意ではないですが……

フィルが急ぎ先程の場所から全員を背負い飛んでいるとその背中にポタリポタリと止血用の布から滲み出てきた血が垂れる音が聞こえる。


そして、その滴り落ちる血と同様にもう一つ背中に落ちる水滴があった。


「ごめんなさい、私が話も聞かないで走り出したから……」

「いいの、別に私、戦闘もネス程できないし……やっぱり出来ることなんて、遠くを見るだけだもの……足がなくたって、できる……から」


泣きながら謝るネスにルスは弱々しい微笑みを見せると気にすることは無いと意をネスに送ると自分の失った足を手で確認し顔を暗くする。


「あぁ、本当に……無いんだ…………」


その言葉は誰にも聞こえないほど小さく、か弱く震えた声だった。

しかし、ルスの顔を見ていたネスにはその唇の動きだけでルスがなんと言ったかわかってしまった。


「フィル!!さっさとアガナ達のところに戻れねぇですか!?」

「これが最速だよ!これ以上はみんなが落ちちゃう!」


その様子を見ていたケトがフィルを急かすもどうする事も出来ない事を知り、ただ釈然とルスの痛々しい姿を見ながら心配するしか無かった。


その時、下から複数の矢がこちらへ飛んできているのを視界の端に捉えた。


「チッ、てめぇらふざけんじゃねぇです!!」


ケトの怒号が戦場の空に響き、飛んできた矢がフィルより少し前に出現させた空間の中にほぼ全て入っていく。


「てめぇらにそっくりそのまま返してやるです」


ケトが鼻息をフンッとひとつ吹いた後、もう一度開いたゲートから下の兵士達に向けて回収された矢が降り注ぎ下にいた殆どの兵達はその矢の餌食となった。


「早く!ルスが!!」

「落ち着けです、今危険のない程度で全速力なんです、これ以上速度を上げたら掴まれやしないルスが真っ先に落ちるです」


ルスの状態に焦るネスだがケトのバッサリと切り捨てる一言に何も言えず押し黙る。


そしてその沈黙はアガナ達の元に着くまで続いた。


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