罪の償い
「確かここがボスの部屋だよな?」
「私にはわからないわよ」
ホークアイの情報を元にボスとやらの部屋までたどり着いた。
中からは血のむせるような匂いが扉ごしに漂っていた。
その匂いを漂わせる部屋の扉に左手をかけ右手にダンカに譲って貰った刀を持ち勢い良く扉を開ける。
━━━そこには無残に散らばる死体と血の海があった。その真ん中に佇む男は赤く目を光らせこちらに視線を送る
「新シイ獲物ダァヒキチギル切リ裂ク木ッ端微塵ダアァァ!!」
「うおっ?!バーサーカーか?!」
男は両手でやっと持てるような剣を片手で振り回す。
「おい!サツキ!!この部屋から離れろ!!」
男が無理矢理振り回す剣は精度が悪くなんとか避けることが出来る。
しかしサツキが後ろにいる事で狂化を使うことが出来ない、そのためサツキにどこか安全な所にいてもらう必要がある。
「ん?まてよ?」
普通狂化は血を見ると発動するはずだ。
だが何故血の海を見た後にこんなに冷静でいられるのだろう。
確かベルフェゴールは俺の狂化は普通のヤツらとは違うと言っていた。
今までは血を見るだけで狂化したはずなのだが。
「切リ刻マレロォ!!血ヲヨコセェ!!」
男は右上段から剣を振り下ろし勢いのまま回転斬りを放つ。
それを俺は後ろに下がることで避ける、そこから姿勢を低くし足を狙う。
男は俺を掴もうとするがスピードについて来れず空を切り、男の足を斬ると男の間合いから離脱し動きを観察する。
「ウグァァ小癪ゥ」
先程切ったはずの場所には傷はなく男が呻いているだけだった。
こいつ再生能力でも持っているのか?鑑定してみるか。
アガナ[バーサーカー]状態:狂化
Hp156/156 Mp53/73
腕力142 守備力 56
魔力14 俊敏性24
器用32 運 26
ユニークスキル
切り裂きジャック
ノーマルスキル
剣術Lv3
武術Lv4
切り裂きジャック
斬撃系統の物を装備中刃こぼれに関係なくほぼ全てのものを切り裂くことができる
装備した斬撃系統の武器などは刃こぼれを起こさない
こいつと戦うなら刃物に触れたらアウトって事か。
でも再生能力は持ってないのか。
ならこっちの刀の方が何か仕掛けがあるのか
妖刀・魂浄刀(無名)
物理的ダメージを与えることは出来ないが精神体に干渉しダメージを与えていく
生きている物以外は物理的ダメージを与えることが出来る
精神体ってなんだ?物理的ダメージはHPなら精神体へのダメージはMPに入るのか?それに名前があるのに無名だと?
男が隙ありと言わんばかりに斬りかかってくる。
それを躱し、足払いを食らわせ魂浄刀を腹に突き立てる。
「うぅグクソが」
「正気に戻ってきたのか?」
男はやっと言葉を使える程度まで狂化が解けていた。
鑑定
アガナ[バーサーカー]状態:半狂化
Hp156/156 Mp28/73
腕力142 守備力 56
魔力14 俊敏性24
器用32 運 26
ユニークスキル
切り裂きジャック
ノーマルスキル
剣術Lv3
武術Lv4
MPがごっそり減ってるし狂化が半狂化になっている。
恐らくこの刀のお陰だろう、精神体ってのがイマイチ分からないけど要するに斬ってりゃ勝てるってことか。
俺はアガナから距離を取り霞の構えをとる。
アガナが走ってきたところに目に向けて牙突をかます。
アガナは刀を避ける間もなく眼球を貫き脳にまで達する。
刀を引き抜くとそこに傷はなく、アガナはもがき苦しんでいた。
「降参するか?」
「こ……降参だ……もう、動けねぇ」
「嘘は言ってないみたいだな」
「早く…殺せ」
「断る」
「何故だ…」
「お前には罪を償うために働いてもらう」
「な……に?」
「お前らには傭兵になってもらう。そして今までの分人々を救えそれがお前にできる償いだ」
「傭兵……だと?」
「村を守り人を助けるそれがお前達、断罪傭兵団の役目だ」




