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クルーダ、イカズチ

無数の轟音と断末魔が響き渡る中、槍を構える男と暗器を構える男が対峙する。


━━ドゴォン!!


無数の轟音の中、一つの爆発音を試合のゴングに二人の男が弾かれるように飛び出し互いの距離を縮める。


初手を取ったのはクルーダと名乗る男だった。

男は自分の間合いに入った瞬間閃光にも勝る程の突きを放ち一撃で屠ろうとする。

しかしそれを許すイカズチではなく、幾度となく別次元の者に殺され続けた経験を生かし、暗器で槍の穂先を滑らせながら身体の横に流しクルーダの懐に入る。


「ふん!!」


懐に入ったイカズチは間髪入れず胸部へ蹴りを入れる。

クルーダはそれを避けることが出来ず肋骨をミシミシと音を立てながら数メートル吹き飛ばされた後猫のように身体をひねり見事着地する。


「ゴフッ、俺の一突きに反応するたやるじゃねぇか…………」

「俺はお前よりも強いやつと戦った事があるのでな」


クルーダが蹴られた場所に手を当て、血と一緒に称賛の言葉を吐くとそれをイカズチは無表情のままそう答える。


「まだまだこの程度じゃないのだろう?」

「あったりめーだろうがよ、正面切って暗殺者に負けたんじゃ戦士の恥だぜ」

「すまんな、意地でも勝たせてもらう。この任務は俺だけの物ではないからな」

「けっ、仲間…ねぇ?」


イカズチの決意の漲る瞳と言葉にクルーダはどこか居心地悪そうに返すと再度槍を構える。

それに合わせイカズチも暗器を構える。


「暗殺者だからと少し油断していたが評価を改めてやる。お前は十二分に強いからな、俺の槍を見切るなんざ今までで師匠以外にいなかったからな」

「それは素直に喜んでおこう、ここで否定や疑問は無礼だからな」

「暗殺者にしとくにゃ勿体ねぇな、お前俺の所に来てコンビでも組まねぇか?」

「面白い提案だがそれは出来ない、俺にはやる事があるのでな」


イカズチの態度に気を良くしたクルーダは ふっ、と一つ笑うとその瞳を獲物を狙う肉食動物のものへ変える。


「こっからは本気で行く、これでお前が死ななかったら今度一杯奢ってやるよ」

「俺はこんな所で死ぬ予定は無いのでな、悪いが一杯奢って貰うことになりそうだ」

「ほぅ?言うじゃねぇか。んじゃ、殺させてもらうぜ!!」


クルーダは先程とは比べ物にならない程の速度でイカズチに急接近し、突きではなく穂先を使いなぎ払いをする。


「ぐっ」


その薙ぎ払いに対処できなかったイカズチは腹に切り傷を作り小さい呻き声が口から漏れでる。

しかし、イカズチはただやられるだけではなかった。

イカズチはクルーダの攻撃の対処に間に合わないと悟り、複数隠し持っている暗器を現状態の中で一番早く、強く投げられるものを選びクルーダの脚に投げつけていたのだ。


「足をやるたぁ随分と面倒なことしやがる……」

「こちらとしても槍をあんな使い方をする奴なぞ見たことも聞いたこともないからな。対処が遅れてカウンターに持ち込むしかなかった」


クルーダが脚に刺さったナイフを天へ放り投げ、イカズチが纏っていた衣服を切り裂き即座に腹部に巻き仮の止血をする。


そしてナイフが落ち キンッ、と甲高い音がなりお互いに第二ラウンドを始めようとしたその時だった。


地面が揺れ、盛り上がり、そして地面からダルマのような体型の大男が飛び出してきたのだ。


「オオオオオオオ!!オデ、オオザマ、ジデンノヴ、ヒドリ!!オマエラ、ゴロズッ!!」


二人はその大男から距離をとると互いを一瞥すると、大男に向かって自らの得物を突き出す。


「てめぇ、勝負の邪魔なんだよ!!」

「お前を先に処理しておこう」

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