閑話 ハッピーバレンタイン
ハッピーバレンタインです、え?本編?
ちょっと知らないですねぇ
竜車の中に甘くいい匂いが充満している。
「♪~」
俺が自室で読書をしていると鼻歌やら楽しげな話し声が部屋まで届いてくる。
『なぁ、今日ってなにか特別な日だったか?』
俺は読書の手を止め、前に見つけた通信用魔道具を手にあいつに連絡を取る、
すると十秒もしない内にあいつからの返信が返ってくる。
『別に何も無いですし!?今日はただの平日ですし!?貰えない男のいい訳では無いですし!!』
俺の質問に対してあいつは怨念の篭もったメッセージが送られてきた。
充満している甘い匂い、楽しそうな女子組、あいつの怨念の篭もったメッセージ…………分からねぇんだが。
「マスター、おさんぽ……いこ?」
「兄ぃ、散歩に行くですよ」
ここまでのキーワードを使い脳内検索をかけてみるも何の日なのか思い出せず、悶々としているルアンにアスとケトから散歩のお誘いがかかった。
「気晴らしには丁度いいかもな…………良し、行くか!」
「「やった(です)!!」」
ルアンの肯定の返事に二人は声を揃えて小さくガッツポーズをする。
「散歩に行くだけだっていうのにやけに嬉しそうだな」
「ん、んなこたぁねぇです」
「そうそう、べつにチョk……むぐっ」
「さっさと散歩に連れてきやがるです」
「お、おう」
俺が笑いながら質問するとケトは何か恥ずかしそうにもじもじとしながら言い、アスが何かを言いかけたその瞬間ケトは目の色を変え、アスの口を抑え有無を言わせぬ勢いで散歩へと流れを持って行く。
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竜車から出て近くの街を歩くことにした俺達は街の大通りでやっていた祭りに参加していた。
「どこもかしことチョコレートだらけだな」
「そ、そうみてぇですね」
「ぜんぶおいしそ~」
「お、あれ美味そうだな、あれ買うか?」
「さんせ~」
「ちょっと待ちやがるです!!」
良い匂いに釣られて店で食べ物を買おうとした時、ケトが俺の掴み止めに入る。
「どうしたんだ?」
「いや、その…………この後晩飯がある…し、入らなくなるからやめた方がいいです」
「ケトが言うならそうしておこうかな」
ケトのどこか悲しそうな顔を見てしまっては止める他ない。
「んじゃ!他の所でも廻るか!!」
「お~!!」
俺の明るめの声にアスは腕を高く上げ、ケトは恥じらいながら手を顔の高さ程まで上げ、街を歩き出す。
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道中男共の汚い視線━勿論俺が黙っている訳もなく、こんの刀身をちらりと見せる事で男どもの視線を斥けたのだが━や出店の方や他の人達の温かい視線などを受けつつ何事も無く竜車へと到着した。
そして、竜車のドアを開けたその瞬間テーブルの上に豪華な料理と共に大きなホールケーキがそびえ立っていた。
「「ハッピーバレンタイン!!」」
「お、おお!」
「ふふっ、びっくりした?みんなでメアちゃんに教えて貰いながら作ったんだよ?」
「びっくりするに決まってるじゃないか、こんなに凄いケーキ出されたら」
みんなが作ったケーキに素直に驚きと称賛の声を上げると次空間からあるものを取り出す。
「なんですか?それ」
「ん?みんなへのプレゼント」
そう言って俺が出したのはみんなのイメージカラーに合わせたブレスレットだ。
「みんな、いつも助けてくれてありがとう」
ブレスレットをみんなに渡すと各々嬉しそうにそれを見やり、席につき楽しく晩飯とケーキを食べたのだった。




