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ファルの試練

ルアンがハデスとの文字通りの死闘を繰り返している中ファル達も同じように違う相手と死闘を繰り返していた。


「さぁ、ファルさん。貴方にはーそうですね、あなた自身と戦ってもらいましょう」

「私自身?」

「ルアンにもよくファフニールと戦わせてますがやっぱりこれが一番楽で手っ取り早いですからね」

「今そんな適当な理由で自分と戦わされそうになってるの!?」


ファルの渾身のツッコミにアテナは はい、とニコニコしながら指を鳴らす。

するとファルの頭上に黒い球体が生み出される、そしてその球体は大きく波を打ち徐々に波紋が大きくグチャグチャと広がり球体が崩れる。

崩れた黒い球体は液体になり地面へドロリと落ちるとそれらが人の形を為していく。


「毎度毎度ドラゴンだと芸がないですし丁度いいので人型のファフニールにしてみました。あとは頑張ってくださいね?」

「え?ちょっと!?…………いなくなっちゃった」


ファルが戸惑うような事ばかりを残して消え去ったアテナに呆然としていると右から顔に向け蹴りが飛んでくる。

それをファルは姿勢を低くしギリギリのところで蹴りを避け、両手で足を粉砕する気で掴み相手の勢いに乗せて縦回転し数メートル回転しながら飛んだ後相手の身体を運動エネルギー全てをフル活用し地面に叩きつけた。


━━ドパァ!!


ファルが相手を地面に叩きつけるとその相手は黒い液体となって飛び散った。


「あれ、もう終わったの?」


あまりの呆気なさにファルが呆然としていると地面に飛び散っていた液体が突如動きだし剣山のように無数の針の形を生み出し襲い掛かる。


「わっふっ?!」


その攻撃にいち早く気づいたファルはバックステップで距離をとるものの脇腹、肩、ふくらはぎに攻撃が掠り小さくはない傷をつくる事となった。


「っつう、痛いなーもう」


ファルは一言漏らすとむっ、と頬を膨らませ翼と尻尾を生やし相手の出方を伺う。


━━グズッ、グヂジズッ


不快な音を立てながら黒い液体が徐々に人の形を為していき、全ての部位が完成した瞬間ファルへ向かい一目散に飛びかかる。


「単調過ぎて簡単だよ!」


黒いファルが飛び込んで来るのに合わせファルは黒いファルの顔面に向け回し蹴りを入れ、その一撃で空中に回転しながら固定されている黒いファルの下に潜り込み手をバネにし下から両足で蹴る━━



━━はずだった。


黒いファルはファルが下に来ることを読み、下へ向け無数の針を発生させた。


それに反応する事が出来ずファルは心臓、肺、喉を刺し貫かれ絶命する。

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