ロキ 帰還
俺達は道中スキルについての話をしながら何事も無くファル達の待つ竜車へと戻って来た。
「おかえりマスター!!」
「おかえり、なさいませ……ご主人様」
「やっと帰ってきやがったですか、おせぇんですよ!」
「おっ、久し振りなのだ!!」
竜車の扉を開けた瞬間そこからは一斉にお留守番していた全員(+α)が目の前に餌を出された犬の如く飛び出して来た。
「おわわっ?!なんじゃなんじゃ?!」
「よしよし、みんな留守番させてごめんなー」
俺はこうなるだろうと予想していたため子供をあやす程度に流すが準備も何も出来ていなかったレヴィは留守番組の飛び出しに驚いていた。
「あっ、おかえりーどうだった?大罪集会ってやつ」
「あー、正直もう勘弁だな」
留守番組を相手し笑いながらファルの質問に答えているとどこからか音楽が聞こえてきた。
「街で何かやってるのか?」
「いや、これは色欲の音楽じゃな」
「ほーん、アイツ逃げてこれたのか」
「そのようじゃの」
━━ガチャッ
噂をすればなんとやら、アスモデウスの話をしているとその本人が竜車の扉を開け入って来た。
「お邪魔しますよ」
「おん、まじでお邪魔だよ」
「そんな堅いこと言わないでおくれよ、僕一人だとあのキチガイ女にぶち殺されかねないからさ。少しの間でいいからここにいさせてくれないかな?」
「一つ、近所迷惑になる様な演奏禁止。二つ、人で楽器を作らない、それを使って演奏しない。これが守れるなら少しの間なら置いてやる」
「もちろん守るさ!僕が死んだらこれから先語り継がれる僕の傑作が生み出せなくなってしまうからね!」
調子いいなコイツ、守れなかったら追い出してやろ。
俺はそう心に決めつつアスモデウスを余っている部屋へ投げ込む。
「お前はこの部屋、後は適当に自分で揃えて作曲でもしてろ」
「まさかこんな立場の僕に部屋を貸してくれるなんてね、君は本当にお人好しなんだね」
「うるせぇ、んなこと言うならお望み通り外に出すぞ?」
「おお、怖い怖い」
アスモデウスはそうおどけると時空に空いた穴からピアノだのバイオリンだの様々な楽器を取り出す。
「次、レヴィはこの部屋な」
「おお!妾にも部屋があるのか!」
「アイツにやったんだからレヴィにはあって当然だろ。操られて暴走はしたけど夏に一緒に花火大会したし魔力操作についても教えて貰ったりしてるからな」
「うぅ、ルアンお主ってやつわぁ!本当にいい子じゃの!!」
「お、おう。「み、皆さんご飯の用意が出来ました」よよし、みんな飯にするぞ!!ダイニング集合!!」
メアの丁度いいご飯コールに即座に反応しレヴィからの嬉し涙でぐしゃぐしゃになった顔をびったりつけられるのを回避する。
「ふぅ、危ない危ない」
━━「モテる男は大変だねぇ」
「「っ?!」」
ダイニングに突然発せられた女の声に俺とレヴィだけでなくファル、アスモデウス、アス、ケト、アウルの戦闘の出来ないメアを除く全員が自分の得物を揃えて突然現れたロキへと向けた。
「あらん、怖いわぁ?」
「知らねぇよ、そこは食べもんを置くテーブルだ、お前は食いもんじゃないからさっさとご退場願いますよ」




