試合前
あの事件の後、待機室に戻された俺は警戒心を最大限に引き上げ来る予選Eブロックに備える。
[えー、ある事象により予選Dブロックが無くなりEブロックから本戦出場者を二人決める事になりました!!]
司会さんのその一言に会場内が観客選手を含めザワザワとし始める。
やっぱりこうなるよな、Dブロックの選手が一人を覗いてみんないなくなった上その一人は錯乱状態。これはどう足掻いてもDブロックの戦いは望めない。
『主、事象ってさっきの事?』
十中八九それだろうね。
『それは残念、もっと色んな人の戦い見て参考にしたかった』
うちの子は偉いな、今夜は入念に手入れしてあげるよ。
『やった!』
「おいお前」
こんがカタカタと嬉しそうに刀身を震わせていると後ろから男の声が聞こえて来た。
「なんだ」
俺とこんの時間を邪魔しおって
「俺と手を組まね━━」
「断る」
「………………試合では後ろに気を付ける事だな」
俺が話の途中で断ったため額に青筋を浮かべた男はそう言い捨てると他の選手の元へ行き同じ事をしているらしい。
あんなんで勝ったとして本線でボコボコにされるのがオチなのにな。
あの男を憐れみながら使えそうな魔法とスキルを見直す。
最近電気系の魔法を使い始めたが今回はスタンガン程度のものしか使えなさそうだし他の使える魔法などとても戦い向きではないんだよな…………。
『主、魔法よりこんを使って。それなら殺さないしこんも嬉しい』
そうか、そうだな。こんは優秀だもんな、予選はこんだけで行こうかな?
『さすが主、分かってる。こん頑張っちゃう』
こん、アレ頼むぞ?
『まっかせて!!』
「Eブロックの皆さん、試合場への移動をお願いします!」
よし、行きますか!!




