予選Bブロック
[さあ!!やって参りました予選Bブロック!!先程は謎の剣士が一瞬にして勝利しましたが今回はどんな戦いが見られるのでしょうか!!]
あー、司会さんハードル上げまくってるなー…………。
そんな事を思いつつモニターを眺めているとモニターに写っている映像━と言うより試合場━に何か違和感を覚えた。
何かおかしい…………誰も試合前だというのに微動だにしていない何か、変だ。
[試合開始!!]
試合開始のゴングが鳴らされたと同時に一人の男が消え、その数瞬後には周りの人間は血を流しながら倒れ伏していた。
[…………はっ?………………試合終了!!救護班の方々!!今すぐ治療を!!ええとぉ?勝者ラグナロク選手!!]
予選Aブロックに続き予選Bブロックまで瞬殺なこの状況に観客席は少し苛立ちを隠せないでいた。
「…………ラグナロク……か」
『主、そんな顔してどうしたの?』
「いや、何でもない」
これはこの大会どうなるか分かったもんじゃないかもな。
俺はモニターに移る30後半の人間の男に強い警戒を持つとファルへ念話を送る。
『ファル、聞こえるか?』
『大丈夫、聞こえてるよ』
『近くに近衛ドラゴンはいるか?』
『うん、いるよ』
『ならこう伝えとけ試合より王様の首でも見てろ、ってな』
ファルが元気よく返事をしたのを確認し念話を切る。
~~~
「王、闘技場へ出向く時間です」
「お?もうそんな時間か、ちょっと待てすぐに用意して行く」
王と呼ばれた人型のドラゴンは鍛錬の為使ったバキバキになった的を一箇所に集めると自室へと戻り何かを懐にあるアイテムポーチにしまう。
最後に立て掛けてある剣を訓練用の人形で試し斬りするとそれを鞘に収め鎧を身にまとった人型ドラゴンと共に闘技場へと足を進め始めた。
さて、今回はどんな猛者がいるのだろうか、楽しみでたまらんな。
その獲物を狙うような獰猛で鋭く強い視線は正に龍王と呼ぶのにふさわしいものだった。
最近は体を動かす機会がなかったからな、いつもの数倍楽しめそうだ。




