第三の試練
亜人の子の返事を聞き届けた俺はドラゴンにスマイルとお礼の言葉を言うとその場を離れた。
その時亜人の子の顔は絶望と憤怒に塗れていた。
さて、これだけ離れればバレないかな?
俺はドラゴンの少ない場所へ来るとあたりを見回して【時の無視】と念の為【潜む気配】を使い完全にバレない状態にしてから先程の亜人っ子の所まで行く。
「おい、助けに来たぞ」
「あえ?さっきの……………どっかいったんじゃ………」
「助けるって言ったろ」
亜人っ子に笑いかけるとこんを居合い切りの容量で鎖を斬り裂━━けない。
「無駄だよ…………その鎖はドラゴンのブレスでも切れないって……」
「ほんじゃ重力さんの力で」
ガギンという音を立て音速とほぼ変わらぬような速度のナイフが下から上へ鎖を断ち切りながら打ち上がる。
「?!」
「やっぱ重力さんは偉大だなぁ」
そう俺がカラカラと笑うと亜人っ子は目に涙を浮かべ俺に飛び込んで来た。
「おわっと、危ないぞ?」
「ありがとうございます、本当にありがとうございます」
「いいっていいって、俺が見過ごせなかったんだよ」
後問題は魔力がこの子を安全な場所に送るまで持つかどうかだな。「また奴隷の子を助けて、ルアンはお人好し過ぎ!!」と聞こえてきそうだな。
心の中でファルの言いそうなことを想像し思わず笑みがこぼれる。
「ど、どうしました?」
「ん?あぁ、何でもないよ。うちのパーティーになんて言われるだろうかなんて考えてたらちょっとね?」
〜〜〜
あの後亜人っ子を抱え国の外に出てしばらくの間街まで飛んでいると突然亜人っ子が光を放ち始めた。
「おわっ、なにごと?!」
『おめでとうございます、第三の試練クリアです』
俺の脳内に無機質で綺麗な声が響く。
「第三の試練だぁ?」
『はい、アテネ様より伝言を預かっております。これを聞いているということはやはり貴方は優しい方なのですね。それと最後に一つ、あのルシファーには気を付けなさい。との事です。それでは失礼します』
「ちょっとま━━」
次の瞬間辺りは光に包まれ気が付くと俺はファル達と一緒の場所に立っていた。
あのルシファーには気を付けろってどういう事だ?




