ブレックファースト
ドラゴンを首まで完全に埋め終わった俺達は次空間から取り出した朝食を食べていた。
「こいつ、どうするかね」
「あ、そのこもぐむぐ、殺さないどいてね」
「もむもも、ウチらを侵入者としてもむもむ、攻撃しただけみたいっすしねもむもむ」
「あんのさぁ、お前ら喋るか食うかどっちかにしろ」
「だってむぐむぐ、ルアンの作ったご飯もぐもむ、美味しいんだもん」
「もむもむ、もむっすよ」
言っても食べながら喋るのを辞めない二人に苦笑いをすると取り出したサンドイッチを頬張りながら先程のドラゴンの元へ歩み寄る。
「さて、殺さないとは言ってもこいつが起きたらドラゴンブレス吹っかけてくるよなぁ………………口輪でもするか」
独り言をボソッとこぼすと口を開けないように地面をドラゴンの口へ纏わり付かせ口輪を作り出す。
「もむみん……んぐっ、ご主人それなんすか?」
「あぁこれか?こいつがまたアホみたいにブレスを吐かないように口を開けれなくするものだ」
「ちょ、それエグくないっすか?」
「あのブレスに比べたら可愛いもんだ」
俺がフィルにそう返すとファルがちょいちょいっとフィルの肩をつつくと耳元で何かを言ってブレックファーストへ戻って行った。
そんでもってファルに何を吹き込まれたのかフィルがニヤニヤとこちらを見て「ご主人はほんっとに優しいっすねぇ?」と一言残しまた朝食を頬張り始める。
全く、ファルは何を吹き込んだんだ?少し気になるな…………やめだやめだ、こんなの聞いたって教えてくれるわけもあるまいし。
こいつが目を覚ますまでは飯でもくって落ち着いてよう。
〜〜〜
そんで、起きたのはいいものの…………
「Grrr」
「ごめんね、痛かったよね。ごめんね?うちのお馬鹿さんが」
「Grrrrrr」
現在俺の目の前にはコメディ状態のドラゴンではなく地に伏しているドラゴンとファルフィル姉妹、いや姉妹では無いか。
「大丈夫っすか?うちのご主人スイッチ入ると老若男女誰これ構わずやり過ぎるっすかあだだだだだだ?!」
「だーれがそんな暴君みたいな事をしたって?」
「ひぎゃー!!頭、頭割れるっす!!」
学習装置をフィルの頭に取り付けるとそれを起動してフィルに学習させる。
「ファ、ファルさーん、助けだだだだだだ?!」
「いやー、今のはフィルが悪いからなぁ……」
「Grrr……」
現在何故こんなことになっているかと言うとあの後目が覚めたドラゴンが暴れ━━
━━ることは無く、大人しくしていたので警戒しつつ口輪を取りファル達と会話をさせると何故か意気投合━していたように見えた━しドラゴンをさらし首の刑から解放しファルが色々話を聞き、それにフィルまで混ざり現在に至るという訳だ。
「んで、今はそいつは敵意は無いという判断でいいんだよな?」
「うん、大丈夫だと思うよ」
ファルの言うことだ、素直に信じる他ないだろう。
「それとルアンの事若干怖がってるよ?」
「ああそうかい、そりゃ口ん中ボッロボロにして目ん玉飛び出させたくらいだからな」
「そうだね…………あ、それと何故命を奪わずにいたのか不思議に思ってるっぽいよ?」
「殺したら面倒くさそうだからとでも言っといてくれ」
俺がそう返すとファルはふふっと小さく笑いドラゴンに耳打ちをした。




