虹と少女と姉御part2
うんとこしょ、どっこいしょまだまだ街にはつきません
馬車を押し始めてからはや二時間━こっちの世界では二刻というらしい(姉御情報)━全く街に近ずきません!!
俺は車輪の外れたところを持ちながら野郎共と押していた
馬は商人の1人が先に街まで届けに先に行ってしまった
もうやだ普通に歩いておうち帰りたい
『ルアンさん弱音はめっ』
『そう、マスターめっ』
アスさん?なんか復唱多くない?!まぁ二人に言われたら仕方ないな。頑張るしかない、でもさ……
「なんでアンタら乗ってんだよおぉぉぉ!!」
「仕方ないだろう?疲れちまったんだ」
「マスターがんばってー」
「よし、元気が出てきた!!じゃねぇよ!!進みが悪くなるから降りて!!」
「「無理」」
「おんまえらぁぁぁぁ!!」
押す押す押す押すとにかく押す俺が全力で押し続けてもゆっくり自転車でこいでいるほどの速度しか出ない
「もう休憩しましょうよ……」
「男が弱音を吐くのかい?」
「誰のせいだ!!」
結局休憩をとることになった俺は草原に思いっ切り横たわる
あぁ、何でこんなクエスト受けたんだろ……。
『が、頑張ってくださいルアンさん!!』
あぁ、ファルは優しいな……それに比べてあの二人は………
『何か文句ある?マスタ…あぁぁ、痛い痛いこめかみグリグリはやめて』
だが断る
『マスターの意地悪』
アスは頭を抱えて唸る
「因果応報だよ」
「因果応報とは何ですか?」
アスはこめかみに手を当てながら質問してくる
「因果応報っていうのは悪いことをしたら別の場所で悪いことが返ってくることだよ」
「うぅメモリしておきます」
「そこは素直でよろしい」
アスの頭を猫を撫でるように撫でているとファルさんが恨めしそうにしていた
撫でて欲しいの?
『なっ!!そんなこと……ない……です』
しょうがないのでファルも撫でることにする
自分の中にいるのに撫でる。何を言っているかわからないだろうが俺自体何を言っているのか分からねぇ。
「さて、そろそろ行くよ!!」
姉御が馬車に乗りながら偉そうに言う
「こんの尼がぁ!!」
「あま?何だい何だい知らない言葉だけど何かいい気分じゃないね。よし、お前らも乗りな」
姉御がそう言うと一緒に押していた野郎共まで馬車に乗る
「裏切り者共が!!あぁそう来ますか。ならこっちにも考えがある」
親指を犬歯で少し噛みちぎりそこから出てくる血を視界に入れ強制的に狂化する
「テメエら!!捕まってないと大怪我するぞ!!」
「何をする気だ━━━」
姉御の言う事を無視し街に向かって駆ける
「マスターやりすぎ」
「何でこんなことになんだよぉぉぉぉぉ!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
「お助けーー!!」
「おいおい嘘だろ?!」
「ふはははは!!ざまぁみろ!!」
馬車組が騒がしいが気にせず進む
大体時速30キロは出ているのではないだろうか
ファルやシファーの加護に狂化を合わせるとここまでの力が出るのか。今頃だが恐ろしいな
『ルアンさん、ルアンさん!!聞こえますか?』
『うん。聞こえる』
『そうですよね、やっぱり聞こえてるわけないですよね。大体何故制御できないのにこんなことを』
『ハッキリと聞こえてるよ?』
『ふぇえ?え?狂化しているのに、なんでぇ?』
『さぁ分からない。まぁなんでもいいさこいつらに一泡吹かせる事が出来たからなぁ!!』
狂化して押すこと5分程度街の門が見えてきた
「最初からこうすれば良かったんじゃないかい?」
「お前らを惨殺するかもしれなかったんだぞ?」
「あんたそれをわかっててやったのかい?」
「あぁそうですとも。でも、お生憎様精神は正常だよ」
門の前に着くと門番が目を丸くして呆然と立っていた
「ノーマ?ノーマ?大丈夫か?生きてる?」
「あ?あぁルアンか、いきなり馬車が猛スピードで来るから何事かと思ったよ」
呆然と立っていたことについては触れないでおいてやろう
「恐ろしい速度だな、一体馬もいないのにどうしてそんなに速いんだ?」
「強制的に狂化して全力で動かして来た」
「そういや俺が借りたっていう馬車はどうしたんだ?」
「あ、」
「あ〜あやっちまったな」
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ふぅ、今回はかなり楽に来れたな
『頑張りましたもん!!』
あぁ、ありがとうファル
あの後姉御達と情報交換と報酬の受け取りをした後、ファルの力を借りてゴーレムの墓場に来たのだ
てかファル表に出てこれるなら言ってくれればいいのに
『まさかもう現界出来るとは思いませんでした』
『ファルすごいドラゴンだったんだ』
アスにはまだ言ってなかったな。ファルはドラゴンなんだ、俺がこの世界に来た時に初めてあったのがファルなんだ
『あの時は本当に死ぬかと思いました………。』
『マスター……何したの』
いや?!俺は何も?!死にかけていたところに出くわしただけだよ?!
『ルアンさんは悪くないです。そしてアスさんにそんな扱いした神は悪いです』
『そいつ、マモンってなまえ』
マモン?マモンって七大罪の中の強欲を表す悪魔だぞ?!
『悪魔が神様を名乗っているのですか?』
『ちょーしょっく』
あぁ、恐らく。俺の前にいた世界ではマモンってのは悪魔だ
『それよりもマスターの過去が聞きたい』
仕方ないなマモンの事も話した方がいいだろうしついでに俺の過去について話すよ
『やったー』
『ルアンさんの過去ですか……凄く気になります』
結局街に帰るのは日が少し落ちた頃になった




