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前方不注意

アスと二人で添い寝をした翌日、俺達は日も録に上がっていないうちに街を出ることにした。


「むうぅ、まだ眠いっすよぉ…………」

「我慢しろこの時間じゃないと街のやつに見られるかもしれないんだから」

「それはそうっすけどぉ……」


俺の回答にフィルが目をぐしぐしと擦りながら不服そうに答えてくる。


「こらこら、フィルちゃん、街にドラゴンがいたら騒ぎになっちゃうからしょうがないよ」

「うぅっ、そうっすね」

「ほら、そんな事より早く行かないと日が登ってきちまうぞ」


俺は二人にそう言うと背中から腕の長さよりほんの少し大きいサイズの翼を出し羽ばたく。

すると一回目で身体が宙へ舞い、二回目で勢いをつけ上がっていく。


やっぱりこの浮遊感好きだな、前の世界ではジェットコースターなり何なりで味わえたがこっちに来てからは実際に飛べるようになったもんな。


そうして物思いにふけて飛んでいると目の前が一気に星が見えないほど真っ暗なった。


「んぁ?!」

「んっ!!」


俺の間抜けな声と共に何故かファルの可愛らしい声が出た。

何が起きているのか確認しようと顔を動かそうとするのだが何か柔らかくて温かいものに当たっていて顔を動かそうにも難しい。


「ファル、フィル、これどうなってんの?」

「んあっ、ル、ルアンそこっ、喋らないでっ……」


どういう事だ?空を飛んでいたら急に目の前が真っ暗、そしてファルのこの様子………………あ…………。


「ご、ごめん!!」

「んうぅう……」


現状をやっと理解した俺は即座に謝ると上へ向かって羽ばたき急降下する事でそこから抜け出し恥ずかしさからファルに目を合わせられなくなる。


「えっち…………」

「ご主人、それはダメっすよ……」

「事故だから!前見てなかったのは悪いけど事故だから!!」


必死に弁明するもファルは顔を抑えながらもにょもにょ何かを言っているだけで、フィルは少し説教じみた言葉を俺に放ってくる。


「あ、あの……ファルさん?」

「こういう事は手順を踏んでからじゃないと…………」

「え?」

「あ!!なんでもない!!」


俺は謝るために近づいたのだが近づいた途端何か心臓が跳ねるようなことを聞いてしまった。

そしてその後に静寂が訪れ━━



━━「御二方、早く行くっすよ?」


フィルのフォローによって移動を開始することが出来た。


竜達の領地に着くまでの間はファルから話しかけられることは無かった、勿論俺はちゃんと前方確認を怠らないようにした。

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