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強くなりたい

はぁ、正直雑魚ですねぇ、あまり楽しめなかったですしぃ。何しろ人間なんて種族がやってるとは拍子抜けですねぇ。


ベルゼブブは口に広がる鉄臭く生臭い匂いと骨の髄から染み出る髄液を楽しみながら思考にふけていた。


あのベルフェゴールがあの程度の人間を選ぶとは思いづらいですし、それに傲慢さんの駒っぽいですしやっぱり傲慢さんが手駒に怠惰を宿させたとしか思えないですねぇ。


骨を貪りデザートの脳みそを平らげるとベルゼブブは背に二対の蝿の羽を生やし街から飛び去って行った。



〜〜〜



「酷いざまだな…………あーぁ、やっぱ雑魚だよなー俺」


ボロボロになった自分の身体を見てため息と共に悪態をつく。


「そうですね、七大罪の中で言ったらルアンさんが最弱ですね」

「やっぱり?」

「でもこの世界全体としては弱くはないと思いますよ?」

「それじゃダメなんだよ、今のシファーに助けて貰っているこの状態じゃあみんなの事が守れない」


シファーはその台詞に嬉しさと呆れの混じった笑いを浮かべるとこちらに指をビシッと指し


「それでは竜勢力の中心国に乗り込みましょう!!」

「ふぁ?」


いきなり敵の本拠地に乗り込むと言い出した。



〜〜〜



「お前、本当に行くんだな?」

「はいっす、一応ウチの故郷なんすよ」

「お前そんな所からはるばるやってきてしf…………サタンにとっ捕まってたんか?」

「は、ははは…………やっぱり食欲は強敵だったっす…」


シファーは一体どんな罠をしかけたんだ?

そう疑問に思いシファーの方を向くとシファーは咄嗟に顔を明後日の方向へ向き、我関せずといった様子で口笛を吹いている。


「行くのは俺、ファル、フィル、シファーでいいんだよな?」

「大丈夫ですよ」

「ケトも来るか?皆で空飛んで行くけど?」

「て、てめぇ私が苦手なの分かってて言ってやがりますね?」

「さぁねぇ?」

「マスター、わたしもいきたい」

「ごめんなアス、俺達が留守の間竜車が心配だから守っておいてくれないか?」


俺がそう説明するとアスは渋々ながらも首を縦に振ってくれた。


「マスター」

「ん?」

「さびしいからきょうはいっしょにねていい?」

「いやいつも潜り込んできてるじゃねーかよ」

「ん、ばれた?」


そう悪戯に笑うアスの顔は少しだけ悲しそうだった。



〜〜〜



「で、結局潜り込んできてるわけね」

「りょうしょうえたからね、きょうはわたしとマスターだけ」

「なんの話ししてんだよ……」


アスからの一言に若干呆れながらも横に転がるアスの頭をクシャクシャっと撫でる。


「連れてけなくてごめんな」

「全然大丈夫だよ、マスターは私達を守るために向こうに行って強くなるんでしょ?」

「お、流石知的なアスだ」


アスの正確な予想に俺はふざけつつカラカラと笑うとアスの額に自分の額を当て


「アスもファルも皆大切な仲間だから、誰一人として欠けないようにみんなを守るために行ってくるよ」

「ふふふ、それで……こそわが…マス………タ……」

「おやすみ、アス」

「おや、すみ……マスター」


アスはウトウトとしながらそう答えると俺に抱きつき幸せそうな顔で寝息を立てていた。

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