ひと夏の思い出
海で遊び食べるものを食べて、みんなとワイワイ騒いでいると知らぬ間に日が傾き海が真っ赤に染まりより一層輝きを増してみんなのことを照らす。
「もうこんな時間か、楽しかったな」
「だね、またここに来ようね?」
「ファルの可愛い水着姿がまた見れるならいつでも…………とは言わないがまた来るさ」
「なっ?!ルルルルルルアン!!何を言ってるの!?」
夕日のせいでファルの恥ずかしがって赤くなってる可愛い顔が見れないのは残念だがこれはこれでいいかな。
みんなで夕日を見て感傷に浸っていると突然目の前の海が盛り上がり水が弾けたと共に細長いシルエットが天高く登って行き、こちらへ急降下してきた。
「やっぱこの世界じゃ感傷に浸るのすら一苦労だな!!」
俺はそう言いながらフィルとメアを回収しその場から飛び退く、すると先程までいた所には何かによって抉られたれた跡が残っていた。
なんじゃこりゃ、当たったら思わず痛いってなる痛さじゃねぇぞ?こんなの食らったら一瞬で終わりじゃねーかよ。
『くっふっふ、やはり人間を襲うのはやめられん、特にこうしてリア充みたいな奴らはな!妬ましい!!』
「羨ましいだけかよ!!…………ってあれ?」
思わずツッコミをして思念が送られてくるほうを見るとそこには鏡のように光を反射する鱗を持った蛇のように長く体長50メートルはあるであろうドラゴンが水中から身体を出していた。
『全く、妾の海でキャッキャウフフしてるヤツらなどこうしてくれるわ!』
ドラゴンはそう言うと口元に水の塊を作りだしそれを口に含むと次の瞬間ポケ●ンのハイドロ●ンプばりの水のビームを放つ。
それは砂浜にいとも容易く巨大な切断跡を作り出すものだった。
『くふふ!!主らがそんな羨ま……けしからん事をするからこうなるのだ!!』
「混ぜて欲しいならそういえばいいじゃねーか」
『へ?』
「丁度日が暮れてるんだ、あれを買ってきたかいがあるってもんだ」
『いや、あの……妾が?え?へ?わら、わらわ?』
どうやらドラゴンは予想外のことに戸惑ってるみたいだ、動きと言動を見れば子供でも見ればわかるほどに。
『い、いや……だって妾……』
「うるさい、黙って砂浜にいろ、いいもん見せっからさ」
『うるさい?!』
「おーしみんな、こいつ参加しても構わないよな?」
「当たり前だよ!」
「しょうがないな」
「ド、ドラゴンさんとはお友達になりたい…………です」
「同じドラゴン同志の好でいいっすよー!!」
「って事だけどどうするんだ?」
『わ、妾も入れて……下さい』
だんだんと尻すぼみになっているがドラゴンはしっかりと頭を下げて仲間に入りたいと言った、なら言うことは一つ。
「当たり前だろ?」
思わぬ乱入があったが気を取り直して夏の〆と言ったらこいつしかないだろ!!
俺は次空間から取り出した大きな導火線の着いた玉に火を付け空高くへ放り投げる。
するとしばらく空を登った玉は弾け、空へ大輪の花を咲かせる。
そう、花火だ。
「まだまだやるからしっかりと思い出に残しとけよー?」
その日、ラキュース海岸は色とりどりの火の花が咲き乱れ周囲一帯の人達に騒音被害と引き換えにひと夏の思い出を作ったのだった。
〜〜〜
「もう行くのか?」
『妾にはやることがまだあるのでな』
「そうか、またな?」
『う、うむ…………ま、またここに来てくれても良いのだぞ?』
「その時はちゃんと最初から仲間に入れてやるから来いよな?」
『も、もちろんじゃ!!』
「じゃあみんな、行こうか」
「ばいばい、ドラゴンさん」
「またね~」
「またね、です」
こうして忘れられないひと夏の思い出がドラゴンにも俺達にも出来たのであった。




