アガナ達の仕事
ネズミ狩りや墓参りをした次の日、俺は竜車に書き置きを残してアガナ達の傭兵の仕事を見に来ていた。
「よう、アガナ調子はどうだ?」
「ボチボチだ、今月は盗賊団二つに殺人犯五人それくらいだな」
「…………お前らもう警察とかでいいよ」
「何の話だ?」
「なんでもないさ」
まさかアガナくんがここまでのことをするとは思わなかった。もうこの集団傭兵やめちまえよ、警察とか自衛隊みたいなのにしとけよ。
「兄貴ー!こんなもん届いてやしたぜ!!」
明るい声と共に少し柄の悪そうな男が紙を握りしめてこちらへ走って来る。
それをアガナはやれやれと漏らすと男から手紙を受け取り中身を確認する。
「ルアンさん、ちわッス!!」
「お、おおう」
なんかこの光景不良とかの間で良くありそうな光景だな…………。
そんなことを考えているとアガナが立ち上がり一つ溜息を吐くと
「これから王都に行くぞ、準備しろ」
驚きの言葉を発しそそくさと準備に入る。
アガナ達が王都へ行く準備が終わり用が済んだ俺は帰ることにしようとしたのだが「お前は創設者みたいなもんだから一緒に行かないと駄目じゃないのか?」と、言われてしまい付いて行く事になった。
〜〜〜
アジトを抜けしばらく馬車で揺られていると何かの気配が色濃く感じられた。
「アガナ、囲まれてるぞ」
「んなこた分かってるさ。ちょっとそこで見てな、俺らの力見してやる」
アガナはそう言うと周りの傭兵達にアイコンタクトを送ると一斉に外へ飛び出した。
その様子を見るために俺も外へ出て馬車の屋根へと飛び上がり高みの見物をする。
まず最初に戦闘が始まったのは朝手紙を持ってきた男だ。
男は賊の攻撃をしっかり見て、全ての攻撃を最小限の動きで全て凌いでいる。
そして、その間男は全くもって攻撃らしい攻撃をしていない。
それに気を良くした賊は攻撃の回転数を上げ体力など考えずひたすらに攻撃し続ける。
あの賊はすぐに潰されるな。さて、アガナは━━
━━なんだあれ、殺陣みたいな事になってるぞ。
アガナは盗賊達を殺陣のようにバッタバッタと切り捨て一人だけで賊の大半を倒してしまった。
「安心しろなまくらだ、死ぬ事は無い」
「いやいや、ジャック・ザ・リッパーさん?切り裂きジャックのスキル発動してバッチリ切れてるからね?」
俺の台詞に顔を顰めると「もっと性能の低いやつでないとダメか」と呟くと懐から出した最低ランクのポーションを賊にかけ縄で縛り馬車へ積む。
流石に手馴れてるな。
「アガナ、こういう奴らはいつもどう処理してるんだ?」
「賊は近くの街の兵士に突き出して罪を償いたいならムショを出てからうちの傭兵団に入ってもいいと言ってある」
さすが傭兵団の頭、抜かりねーぜ。
そんな調子で俺達は王都へ着いたのだった。




