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馬車?の中身と堕天使の策

ファルを抱え馬車のようなものの中に入るとその中は驚く事に人が住めるような設備や空間があった。


なんだこれ……


その空間はまるで二階建の家を丸々使った様な事になっているのだ。


今ファルがこのような状態でなければ少しだけはしゃいでいた気がしないでも無いが今は別だ。


最優先でファルを寝かせることの出来る場所を探しだす。


一階にいい場所が無いと分かるとすぐさま2階に駆け上がっていく、するとそこには左右に扉がずらりずらりと並んでいる。


その内の一つの扉を開けるとそこには八畳程の部屋が広がっていた、更に部屋にはベッド、机、椅子など最低限のものが揃っていた。


一先ずファルをベッドに寝かせて見守るしかないか。


俺はファルをベッドに寝かせると部屋にあった椅子を移動しファルのすぐ横で座る。


その部屋にはファルの穏やかになった寝息のみが聞こえてくる。


ファルがあそこまでうなされる悪夢とは一体なんだったのだろうか、それにうなされていた時に出てきたもう一人のファルのようなものも気になるな。


シファー、ちょっと来てくれ!!


しかし、何も起こらなかった。


じゃなくて早く来てくれ、ちょっと急用なんだ!!


「はい!何でしょうか?」

「シファー、ファルがさっきからこの状態なんだが大丈夫なのか?」


俺がそう聞くとシファーは目を細めてファルの体をマジマジと観察すると顔を顰めてファルの胸に手を当て━━━



━━━「もしかして私よりもある?…………いや、まだ私の方が上d…………」


スパァン!!


俺はふざけたことを抜かしたシファーの頭にそこらにあった手頃なスリッパで頭をすっぱたく。


「いったい!!な、何するんですか!!」

「ふざけるお前が悪い」

「ふざけてないです!!いたって真剣です!!女の子にとって胸の問題は」

「はいはい、わかったよ…………それで?ファルの状態は?」


俺が質問し直すとシファーはばつの悪そうな顔をして押し黙ってしまった。


「ルアンさん、今ファルちゃんは少し面倒な状態です。ここだけの話ファルちゃんは昔邪竜として反英雄と街を破壊しまくってたんです」

「そんなこったろうとは思ってたよで、どうせ記憶を失ってるから大人しいみたいな事だろ?」


俺の言った事が完全回答だったのかシファーは驚いた顔のまま固まっていた。


「面倒な状態って事は記憶が戻って暴れそうって意味か?」

「いえ、悪の方のファフニールが外へ出ようと抗っているようでそれをどうにかしないとこの状態からの回復は難しそうです」


なるほど、それは面倒だ。


「それはどうすれば治せる?」

「それは、かなり困難極まりますが良いんですか?」

「困難だろうと楽勝だろうとファルの為だ、何だってやるさ」


その台詞を聞いたシファーはニコッと笑うと虚空から何かを取り出し━━━


━━━それを俺の頭に叩きつけた。



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