第二日本人発見
俺が日本人だという事を知った市長はロープを穴へ投げ込み俺が出るのを手助けしてくれる。
「まさか君が日本人だとは思わなかったよ」
「その台詞そっくりそのまま返すよ」
市長と共に笑い合っていると市長の後ろにいるシー・プゥがどういう事だ?という視線を送ってくるので少し説明を入れてやることにする。
「俺達は同じ故郷から来たいわば同郷者なんだ、そこからこっちに来るやつはなかなかいないから同郷者を見つけるとみんなテンションが上がるんだよ」
俺の説明にシー・プゥは小首をかしげながらも理解に至ったようだ。
「あぁ、それとルアン君。同郷者だからと言って君が平和の邪魔になる様なら………………その時は容赦しないからね?」
「それはこっちの台詞だ、何か変な事考えてたらその首叩き斬ってやる」
互いにニヒルに笑いながら釘を刺し合うと市長は虚空から何かを取り出した。
「ルアン君、龍を呼び出す七つの玉を集めるアニメは知ってるかい?」
「知ってるどころかほとんど見たくらいさ、それがどうしたんだ?」
「なら話は早い、これなんだがね?これはほぼ完成した段階の試作品なんだが、このスクロールはカプセルハウスとほとんど同じ効果なんだ」
そう言いながら市長が出したのは長さ30センチ程の巻物だった。
「そんな事が出来るのか、それで使い方は?」
「これはだね━━━━━
━━━━━とまぁこんな感じだね」
一通り説明を終えると市長は満足そうなにしてこちらを見て若干ドヤ顔気味で見てくる。
「ありがとう、色々と困ってたからこういうのは嬉しい。かなり面白い発明だね、作り方とか教えて貰いたいほどだよ」
「なぁに、久々の日本人だし試作品なんだ、偶に使ったデータをこちらに教えてくれれば今度他にもいろいろ試してもらうとするよ。あ、でも作り方とかは教えられないかな」
市長と俺は互いに笑い合いまた会うことを約束すると固い握手を交わし、俺はファル達の元へと戻る。
〜〜〜
「行ったか、シー・プゥ他の魔神たちを呼んできてくれ。あぁ、後魔神達には忙しくなるとだけ教えておけよ?」
市長は手に持った十字架を回して遊びながら言う。
ルアン、日本人か……だとしたら強力な能力を持っててもおかしくないな、どんな能力だ?少なくとも都市内に張り巡らせた魔道線じゃあ攻撃魔法固有の魔力の流れはなかった。
まぁいいそんな小さいことは関係ない、彼がルアンである事に意味があるのだから。
市長のその悪戯な笑みは子供のような無邪気な笑みなのか、それとも悪魔のそれなのか。それを知るものは市長以外はいなかった。




