女神石像の酷い扱い
イカズチを閉じ込めたアスはイカズチの処理に頭を悩ませていた。
うーん、この人どうしようかなぁ……この人はマスターの機嫌を損ねたりしてないから気分次第で生かしておいた方がいいなんてことにもなりそうだし、まぁ取り敢えず拘束してマスターの所に持っていけば解決かな。
アスはフフフンと鼻歌を歌いながら大きな握り拳の元へと歩き大いなる大地の呪縛を解くとイカズチを取り出しガチガチに拘束して引き摺りながら探索を再開する。
「うん、ここら辺のはず……特に目立ったものは無いなぁ」
アスが独り言をブツブツと言いながら探しているとどこからとも無く時計の針が動く音が聞こえてくる。
なんだろうこの音、初めて聞く音だな。
音が気になり辺りを探り回ると船首にある女神を象った石像の中からすることに気づいた。
アレの中に音の正体があるのかな…………よいしょ
アスは石でできた手で船首をもぎ取ると女神の石像を真っ二つにし、中身を確認する━━━━
━━━━「ない?」
石像を縦に真っ二つにするが石像の中からは何も出てこなかった。
何これ、ちょっとムカつく
怒ったアスは石の手で女神石像の左半分を持つと思い切り振り上げ━━━
━━━地面に思い切り叩きつける。
すると石像の心臓にあたる部分から何かが飛び出し一瞬の内に破片へと変貌する。
「あ、見つけたし壊れた」
〜〜〜
一方ルアンサイドは地獄と化していた。
船長は燃えながら悶え苦しみ、船員達はどうにか毒から解放されるために自分を殺そうと必死に自分を刺し、自分を斬っている。
「あー、ねぇファル…………これどうしよう」
「知らないよ!!」
「相変わらず鬼畜だね」
「こ、怖い…………です」
「後先考えねぇからですよ」
おかしいな、俺はファルに言ったはずなのに皆から否定の言葉(一人ただ単に怖がっている子がいますけども)が贈られてきたぞ?!
そんな事を考えていると目の前にいる空賊達がプツンと途切れたように動かなくなる。
「お手柄だな、アス」
「こいつ、自分でやっといて何言ってやがるんですかね」
「はい、ケトちゃん?少し静かにしてくれる?」
「ほんほうのほほをひっははへはほ?!」
俺は少しうるさいケトの頬を引っ張るとケトを無視し船長の襟首を掴み持ち上げる。
「おい、羊」
「羊じゃメェー、シー・プゥだって」
「いや羊じゃん」
「メェー!!」
羊の叫びを無視し質問を続ける。
「こいつ差し出してここを救ったから暗殺をやめて俺達を歓迎しやがれって言ったら成功するかな?」
「んなこと出来るわけメェーだ「出来るんじゃねぇのか?」メェー?何言ってやがる?」
「いや、上の奴らはルアンという名を聞いて反英雄だと勝手に判断してるからそんな命令を出したんじゃねぇのかってこった」
なるほど、馬鹿だと思ってたがこっちも意外と頭良かったりすんのかな?
「まぁ、よく分からん!俺はお前の事悪いやつだとは思わない、直感だがな!!」
前言撤回こいつ馬鹿だ。




