紅い瞳
嗚呼、胸糞悪い。何故あんな奴らのために動かなければならないのだろうか。
せめて彼女の、妹の居場所さえ分かればこんなヤツらの命令に従う理由もないのに。
そんなことを考えながらイカズチと呼ばれた男はただ目の前にいる標的を追いかける。
その瞳は十文字の入った燃え盛るような紅いものだった。
標的は船に直行しているな、本当に場所が分かるとでも言うのか?……そんな事はどうでもいい、このまま標的を殺して船長に妹の場所を聞き故郷へ帰るそれだけだ。
〜〜〜
空賊共に毒ナイフをお見舞したあと、瓶とナイフを次空間にしまい、空賊達を笑いながら観察する。
しばらく見ているとポツポツと苦しみ始める奴が出始めてくる。
ちなみに、奴らに投与した毒はアテナと出会った図書館で読んだ本に書いてあった『毒物創成』という魔法を使って作り出したものだ。
毒が効くような相手がいなかったり使う暇がなかったりで今の今までお蔵入りならぬ次空間入りをしていた物だ。
「まさかこんな所でこれを人間相手に使うとはね、いやぁ人生何があるかわかったもんじゃないね」
俺はふざけた笑いを浮かべながら馬鹿にするように言い捨てると念の為に作った解毒薬を取り出し空賊共の目の前をチラつかせる。
「これ、なーんだ?………………声すら出せないみたいだね?」
その嘲笑に空賊達が元々毒で歪んでいた顔を更に歪ませ、こちらを睨んでくる。
さて、どう処理したもんかね。
取り敢えず船長は殺してここのヤツらに差し出すとして、船員は適当に燃やしとくか。
そんなことを考えていると
「おいてめぇ、こいつがどうなってもいいのか?」
唐突に船長の声がする。
「それを早くよこさねぇとこいつの命はねぇ」
船長はそう言うとファルの首に剣を添えムカつく嘲笑を浮かべる。
「わかったこれはやるよ、だからファルを離せ」
「物分りが良くて助かるぜ、ほらそこに置け!!」
「はいはい、そっちはファルを解放しろ」
「はっ!!てめぇみてえなバケモン相手に人質無しじゃ対応出来ねえ…………よ……?」
再生すると言っても時間は少しかかるし時の無視を使えば救出は楽なんだよな。
さて、アスがどうにかしてくれるまでこいつにお仕置きしなくちゃな?
再度時の無視を使うと船長の至る所に魔法で炎を灯しまくる。
その箇所が二桁いった当たりでやめ、先程の地点に戻りその様子を観戦することにした。
「あぁ?あぁぁぁ?!」
おーもーえろよもえろーよーせんちょうよもーえーろーってな。
船長が燃え、皮膚が焼け落ちるが先程から手を焼いているが能力が焼け朽ちることを許さない。
あー、不死身って不便




